表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生は履歴書のどこに書きますか  作者: 打段田弾
「恋慕とリンボのニシャサ」編
182/369

再起する剣 1

「よし、テンバーのやつを上手く唆してやった。俺の作戦通りだろ?」

「本当ギリギリもいいところだったけどね」

「ですです。

 「テンバーとドーゲンをぶつける」って言ったときは耳を疑いましたけどね」

「テンバーは最初からドーゲンにいい印象を持っていなかった。それに加えて黒剣を奪われて、相当頭に来ていたはずだ。ミチチカに刺さっていた黒剣を引き渡すと同時に、心中の炎に油を注いでやったのさ。

 それで、ミチチカの容体はどうだ?」


 作戦が功を奏して上機嫌のリュージーンは、笑顔の面持ちを潜めて道周に駆け寄った。マリーとソフィの腕の中で目を瞑る道周は、安定した呼吸を取り戻していた。


「この通りだよ。セーフ」

「止血完了です。欠乏した体内の血液も治療の魔法で補填して、命に別状はありません」


 2人の報告に、リュージーンは満足そうに頷いた。そして作戦を発案した参謀らしく、時点の策を提案する。


「よしよし、あの危機からよくぞ持ち直した。このまま逃げるぞ……!」

「おいおい……。敗けっぱなしで、追われるかよ……。アホトカゲ……」


 臆病風に吹かれたリュージーンを、掠れた声の道周が笑い飛ばした。


「ミッチー!」

「目を覚ましたんですね!」

「大丈夫なのか?」


 道周の目覚めに、マリーたちは嬉々とした声を上げる。と同時に、その身体を労わり、起き上がろうとする身体を支えた。


「快調ではないが、まだ戦える。あの男を倒さなければ、俺たちは先に進めないだろう?」


 道周は覚束ない足取りの反面、眼光はドーゲンに向けられていた。

 道周の視線の先では、ドーゲンとテンバーが大乱闘を繰り広げている。

 天へ届く火柱が立ち昇ると、その天空から眩い落雷が大地を穿つ。割れた大地は一人で二うねり隆起すると、自我を持つようにテンバーを襲う槍となる。テンバーが竜翼を駆使して高速で飛翔しようと、猛威を奮う暴風がテンバーを絡め取った。

 天変地異と見紛う阿鼻叫喚は、全てがドーゲンの権能によるものであった。

 圧倒的な力を見せ付けるドーゲンに、テンバーはそれでも食い下がる。たとえ雷霆に焼かれようと、岩盤に道を阻まれようと、暴風に敵わずとも、テンバーは黒剣を振るのを止めない。

 それこそが、テンバーが口にした「竜人族の誇り」であるのだと、道周は魂で理解する。

 だからこそ、道周の言葉に二言はない。これから先の試練には、必ずドーゲンと言う壁が立ち塞がるのならば、今この好機を逃すわけにはいかないのだ。


「テンバーの攻撃に合わせ、俺たちも追撃をしよう。少しでいい。隙を作れば、俺が止めを刺す……!」

「「魔性開放」を使うのか?」

「もちろんだ。出し惜しみして勝てる相手じゃない。何せドーゲン、あいつこそ、勇者「マサキ」だ――――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ