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プロローグ
流れる様な剣捌きは龍をも虜にし、誰もが見惚れる高身の美丈夫は自ら作り上げた屍の山を突き進む。
光を浴びて白金に輝く髪を振り乱しながら雄々しく吼える様は、傷付き砕け掛けていた戦士達の心を震わせた。
「勇者様の後に続け!これ以上、魔王の侵略を許すな!今日こそこの長き闘いを終わらせるぞぉ!」
“オオオオオォォォッ!!!”
ある者は血反吐を吐きながら、またある者は折れた脚を引き摺りながらも剣を手に取る。
其処には希望があるからだ。
祖国を滅ぼさんとする“絶望”を打ち滅ぼす光があったからだ。
後に人々はこう語る。
“正しく彼は勇者であった”、と──…。