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第九十八話 「別行動」

あぁ…地獄を見た…(どうでもいい)ので、投稿です。


 あの後、俺達は問題なくシュルトの街へと到着した。そして街に入る時に俺の事を知っていた守衛の人が冒険者ギルドへ駆け出そうとした(好意なのだろうが)という事以外、なにも起こらず俺達は無事に街の中へと入った。

 そして半年ぶりに来た街は、以前に比べ、更に活気に満ちている様に感じられ、ティアは物珍しそうに辺りを見回しながら話しかけてきた。


「へえ、ここがシュルトかぁ。活気に満ちてるね」


「まぁな。けど、シュルトが鍛冶の街と呼ばれる所以はもう少し奥に行ったらわかるぞ?」


「そうなの? なら、楽しみにしてようかな」


 そう言うと、楽しそうに足をユラユラ揺らしながらも露店に見ているティアの様子に嬉しさを感じながら俺は前を見ながら街の雰囲気に感覚を研ぎ澄ます。


(‥‥まあまだ離れて半年も経ってないけど、何処となく前より活気が満ちてる気がするな)


 あの後、馬車へと戻らず俺の隣にずっと座っていたティアとそんな事を話しながら町中へと馬車を進めていく。目的の場所は冒険者ギルドにある馬繋場だ。もちろん、ギルド以外にも馬繋場はあるが、それだと帰る時にわざわざ馬と馬車を取りに行くという二度手間を防ぐためだ。


(…ん?)


 と、その時視界の端に見覚えのある店、炎のような髪、そして髪より少しばかり色が穏やかなオレンジ色の眼、そして何より一番目を引いたのは左目に着けてあった黒い眼帯を身に着けた女の子、イシュラが経営する武具店「ヘーパイストス」が目に入った。


(覗いてみるか)


 まず、店の外に三人がいるのは見えたので、見えなかった店内を風を視る者で見てみると四、五人ほどの客と思しき冒険者の姿と、カウンターで客を応対をするイシュラの姿も見えた。


(どうやら、繁盛しているようだな)


 知り合いの店が繁盛している事を嬉しく思いながら頭に過ったのは、以前の戦闘で柄以外の全てが壊れた大剣だ。


(あとで、アレの修理も頼まないといけないし顔は出したいが‥‥何て言われるやら)


 もちろん正式な商品ではなく貰った物なのでイシュラは気にせずに鍛え直してくれるかもしれない、が持って行く側の俺からすれば少々心苦しいなど、内心でそんな事を考えながら、そのまま冒険者ギルドへと俺達は街道を進んでいくと、道を歩いているのは武具を身に着けた前衛職と思しき厳つい人やだけではなく、杖やローブと如何にも紙装甲と言った魔法使い達の姿が増え始め、鍛冶の街特有の音が聞こえ始める。


「ねえ、さっきから聞こえ始めたのがもしかして?」


「ああ。これが鍛冶の街と言われる所以だよ。それと」


 そう言いつつ前を指を差す。目の前にが大理石で作られた外壁、その奥に白亜の宮殿が見え始めていた。


「アレが目的の場所である冒険者斡旋所、通称冒険者ギルドだ。ついでに言えば、その奥にある山は【フレイムベルク】と呼ばれる活火山で、鍛冶の街と呼ばれるシュルトにとって必要な資産ともいえる鉱石を埋蔵している鉱山でもあるんだ」


「へぇ~! あの山が火山なんだ!」


 恐らく、初めて火山を見たのであろうティアは物珍しそうに見ている様子に俺は微笑ましく思いながらも馬車を進め、やがて冒険者斡旋所(冒険者ギルド)へと到着し、そのまま馬車を置く為にギルド敷地内にある馬繋場に行き、馬車を外し馬を繋いでいると馬車からエル達が降りてくると、馬を綺麗にする為に使うブラシなどの道具を持ったエルが近づいてきた。


「手伝う?」


「いや、いいよ」


 エルからの申し出にそう返しながらもエルから道具を受け取った俺は馬に着けていた鞍を外してやり、まずはテッピと呼ばれる道具を使って蹄を綺麗にしていく。


「エル、俺を待たなくていいからティア達と一緒に冒険者斡旋所(冒険者ギルド)に行ってもらっていいか?」


「…いいけど、馬の世話が終わったら、シルバーはどうする?」


「そうだな‥‥」


 馬の蹄に汚れが残っていないのを確認し終えると、次の工程、桶に入っている水に布をつけ硬く絞り馬の顔を拭いていると、ここに着くまでに見たイシュラの事を思い出した。


「世話が終わったら、【ヘーパイストス】に顔を出すよ」


「分かった、それじゃあ私達は冒険者斡旋所に行ってくる。待ち合わせはここで?」


「ああ。そっちの鑑定と登録に然程時間は掛からないだろうし、俺もイシュラに顔を見せたら戻って来るつもりだからな」


「分かった、イシュラによろしく」


「ああ」


 そう言うとエルはこちらを見ていたティア達の方へと行き、皆に説明を終えた後に冒険者斡旋所へと向かって行き、俺はブラシを手に取り最後のブラッシングをかけ始める。


「どうだ?」


「ブルルッ!」


 そう話しかけると、気持ちが良いのか一旦干し草を食べるのをやめ、俺の方を向いて鼻を鳴らしてきたので、俺は優しく頭を撫でてやる。そして満足したのか馬は再び干し草を食べ始め、俺もブラッシングを続けた。


 そしてそれから、十分後。馬のブラッシングを終えた俺は新しい水を桶に入れた後【ヘーパイストス】目指して街の中を歩いていた。


「やっぱり、馬車で視た時よりもこっちの方が肌で活気を感じられるな」


 そう独り言ちながらも歩いて行きやがて十分とかからず、目当ての店【ヘーパイストス】へと到着し、俺はごく普通に店へと入る。


 店の中に入るカウンターに人影はなく、先ほど視た時にいた冒険者は既に買い物を終えたのか姿は無く、更に先ほど受付をしていた人もおらず、無理に呼ぶ必要も無かったので、戻って来るまでは並べられている武具を見ようとした時だった。


「あ、いらっしゃいませ! どのような物をお探しで‥‥‥」


「よっ! 半年ぶりだな」


「‥‥‥‥‥」


 微かな音がしたと思いカウンターを見れば要件がある人物、イシュラが出て来たところで、客にする挨拶が途中で途切れたので、手を上げつつ挨拶をすると目の前の情報を処理できなくなったのか、イシュラがその場で硬直してしまった。


「お~い? もしも~し?」


「‥‥‥…」


 再度声を掛けても反応が返ってくることが無かったので、近づいて目の前で手を振っても反応が無かったので、ここは物理的な方法で再覚醒させる事にし、イシュラへと手を伸ばし、そのままムニッと掴む。


「きゃっ! な、なにするのっ!‥‥ってシルバー? え、夢?」


「こらこら、勝手に夢にしない!」


「いひゃい、いひゃい…てぇこひょはひゅえじゃにゃい?」


「当たり前だ。全く」


 ようやく現実だと認識したイシュラに若干苦笑を浮かべながら頬を引っ張っていた手を離すとそのまま、俺はイシュラに手を差し出す。


「元気そうで良かったよ、イシュラ…どうかしたか?」


「あ、え、う、ううん。そっちも、元気そうで良かったよ、シルバー」


 俺が深く突っ込まなかったの事が幸いしたのか、復帰したイシュラはそのまま俺の手を握り返した。


今回の話はまあ、単純に再会ですね。

そして、次はエル達視点の話を書いて、いよいよ実家への帰省といった流れにしたいと思います。

…投稿は二週間を維持して行きたいですが、真面目に話が浮かびません…。

ですが、どうにか、この沼(虚無)を抜け出せるように頑張りますので、宜しくお願いします。

また誤字脱字報告、評価など皆様本当にありがとうございます。それでは今回はこれにて失礼します。どうか、また次話で。

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