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第九十三話 「その双拳(剣)、龍を撃つ」

ど、どうにか書くことが出来ましたので…投稿です。

時間が空いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

(土下座)

 レオンと打ち合わせをし、時間稼ぎをするために戦い初めてまだ五分ほどしか経過してないはずなのに、俺の感覚ではもはや一時間以上は戦っているような感覚だった。


(キツいな…)


 僅かに深呼吸をすることでバラバラになりそうな(集中力)を束ねる。

 一撃が重いグレンデルの攻撃を流す事はかなりの集中力と神経を磨り減ら消耗する。そして重なれば小さなミスも大きなミスに繋がる可能性が高く、それを避ける為に俺は攻撃を逸らすのではなく、体力を消耗するが極力回避を選択し、回避も最小限の動きに留める。


 それでもキツイ事に変わりはなく、更に少しづつ重なっていた出血により体の動きも鈍くなっている事を感じながらそれでも必ずレオンならやり遂げると信じて俺は回避、どうしても回避できない攻撃は逸らしながら時間を稼ぐ。


「ハハハッ!避けてばかりじゃ意味がねぇぞ!」


「は! 余計なお世話だ!」


 太く硬い腕から繰り出させる拳戟をどうにか攻撃を回避と流す事で対処しつつ一旦距離を取りつつ、グレンデルに一矢報いる為の準備をしているレオンを風を視る者(シュトゥム)で視る。


(程よく力を抜きながらも集中しているな。魔力もかなり細かく制御しているようだしな)


 レオンではないので何となくだな、後もうちょっとといったところか、と判断する俺に対して距離を詰めてきたグレンデルが拳ではなく引き裂こうと爪を振るってきたが俺は振るわれたグレンデルの攻撃を全身ではなく右腕だけを身体強化魔法(ボディエンチャント)で強化した状態で剣を振るう事で弾き返し、それによって予想以上の威力だったのだろうグレンデルは後退を余儀なくされ再び俺との距離が開く。

 その時だった、待ちに待った声と魔力の爆発を感じ取ったのは。


「シルバァァァァァァァーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」


「…ッ!」


 まるで解き放たれた獣のような咆哮のような声による合図が俺の耳朶を打ったかと思うと、直後‥‥色の光が俺のすぐ隣を通過する。


(レオンっ!?)


 目で追おうとしても魔力光の残像が見えるばかりであり、風を視る者ですらレオンの姿を捕える事は出来なかったが、その様子はまるで流星が燃え尽きながら光を放つかのようだった。そして、そんな流星と化したレオンは一直線にグレンデルへと距離を詰め、一方のグレンデルの顔には新しい楽しみが増えたとばかりに笑みを浮かべ正面から打ち合うとの宣言とばかりに拳を引いており、その間もレオンはグレンデルへと距離を詰めて行く。


「やらせるかよ」


 俺は後ろではなく前へともはや後の事は考えずレオンが確実にグレンデルに攻撃を命中させる為に必要な隙を生み出す為にまず俺は残っていた全魔力の半分を身体強化魔法(ボディエンチャント)を発動させ【風神の天廻】から剣を取り出す。取り出した剣の大きさは全長凡そ二メートル、重さは凡そ六十~七十キロに迫る程の黒色の大剣。


(まさか、使う機会があるなんてな…)


 取り出した剣は別に名剣という訳ではなく単にイシュラが頑丈さに重きを置いて試作で作った剣の内の一本だ。もちろん試作といえど手を抜かずに作られている為に切れ味もよく、作成時の目的の通り頑強であるのだが少々重く、身体強化魔法を使用しないと長時間振る事が出来ない、いわゆる失敗作。


 そして作った本人が売るつもりがなく工房で埃を被っていたのを俺が見つけてもらったのだった。

 貰った理由は、某ゲームキャラが大剣を使っていたのを思い出したからという至ってどうでもいい理由で、つい先ほどまでは【風神の天廻】の中に埋もれていた。そんな剣に改めて視線を向ける。

 柄から剣先までが黒一色の片刃の大剣と武骨にしてシンプルだが同時に頑丈であると背中越しから伝わってくる。そんな大剣の柄を掴みそのまま後ろへ、背負うようにして持ち二刀流の構えを取り、一歩踏み出す。


「疾ッ!」


 その踏み込みによる破壊は一切起こらず、踏み込んだ際の全ての力がスピードへと変換され、雷光もかくやという速度で、一度はシルバーを抜いたレオンをも抜き去る。それによって流星(レオン)が驚いたような気がしたが、それは放置し、俺はグレンデルへと一直線に跳躍する。


「!?」


 レオンだけという油断があったのだろう、グレンデルが驚きの表情を浮かべているのを尻目に俺はそのままグレンデルの懐へとなんなく潜り込むと手始めに右手に握る天叢雲剣を袈裟切り、そのまま流れるような動作で背負う様に持っていた黒色の大剣を叩き込みそのまま体を一回転させ更に斬撃を叩き込む。


 本来であれば、黒色の大剣は一撃目の時点で亀裂が入り、二撃目辺りで折れてしまっていた可能性が高かったが、二撃目を叩き込んでも折れる様子は微塵も視えなかった。天叢雲剣のような剣ではなく、普通の頑強なだけの大剣が折れず、グレンデルに傷を付ける事が出来たのは何故か。それは背負った際に武器に魔力を纏わせることで強度を一時的に高める【身体強化魔法(ボディエンチャント)】の武具版である【武具強化魔法(アームエンチャント)】を纏わせて影響に加え更にもう一つ。


 グレンデルに傷を付ける事が出来たのは風魔法【風振】の効果のお陰だ。その効果は施した対象を振動によって破壊するという効果だ。そして効果が切れるまで指定した対象に振動させ続ける。その状態は常に高周波を出し続けているので、その状態で対象を斬れば強力な切断能力を有した武器となる。心配なのは大剣が破損しないかという部分だが、その部分も武具強化魔法によって耐久性を上げているので、この場においては問題は無く、俺は休むことなく剣を振るう。


「ゼアアァァァァァァァァッッッッ!」


 動きを止めず風を圧縮する事で作り出した足場を蹴り、剣を垂直に斬り上げ再び両手の剣を振るう事で更に斬撃を叩き込むと流石に耐えかねたのかグレンデルの防御の姿勢が崩れ、そこにレオンが突っ込んでくる。それを見ずとも感じ取り俺も最後の一撃を繰り出す為に左手で弓を、右手で弦を引くかのように体を僅かに右へと捻る事で右手の剣はまるで弓の弦に引き絞られたかのような状態となる。

 そのタイミングでレオンも追いつく。


「「これで」」


「「最後だあぁぁぁぁっ!!!」」


 そしてレオンは拳を、俺は弦から矢が放たれたかのように力が籠められた剣による打突をグレンデルへ繰り出す。


「グオオオオォォォォォォ!!??」


 直後、俺とレオンの全力攻撃をまともに受けたグレンデルはまるで人が破城槌にでも吹き飛ばされたかのように後方の壁へと激突し土煙に呑まれる。


 そして、俺は崩れ落ちるかのようにしてどうにか地面に着地する事が出来たがレオンは完全に力を使い果たしたのか受け身すら出来ずに、後頭部と背中全体を盛大に打った事で声にならない呻き声を上げていた。


「~~~ッ!!!」


 体は動かせていなかったが悶絶していることで生きていることは分かったので取り敢えず俺は膝を付いた状態で肺の中に溜まった二酸化炭素を吐き出し荒い息で酸素を取り込むために呼吸を繰り返す。


「…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!……くっ」


 荒い息を吐きながらも剣を振るあいだ止めていたせいで酸素を欲している体に酸素を取り入れてながら顔を起こしグレンデルを吹き飛ばした方を見るがまだ土埃が収まっておらずその姿は見えなかったが、奴ならあり得るのではという嫌な予感に押されるように風を視る者(シュトゥム)で土煙の中を探し、グレンデルを見つけた。


「これでも…‥‥ダメなのか…?」


 思わずそんな愚痴が口からこぼれる。何故なら、吹き飛ばされ土埃舞う中で風を視る者で視えたのは斬られた腹部とせりあがった事によって口から吐き出た血で口元を濡らしながらももはや凄絶とでも言うべき笑みを浮かべるグレンデルの姿があったからだった。


「ククククッ、アア、イイネ、イイネッ……サイコウだなぁ、おい!‥‥ゴフッ」


 痛みそのものを享受し楽しんでいるとも捉える事も出来るグレンデルの言葉を風を視る者で聞き正に戦闘中毒者、いや戦闘中毒龍だという事と同時に邪龍がどれほど倒すことが困難で厄介でしぶとい存在だという事を身をもって今まさに体感した。


(本当に邪龍ってのは厄介な存在だな‥‥)


 思わず小さくため息を吐く。だが諦めるという例えボロボロの状態である今も尚俺の中の選択肢にはなくどうにか動きに支障がないレベルまで呼吸が収まると気だるさと重さが増したように感じる体を引き上げる様にして立ち上がるが普段は重さを意識しない両の手に握る二振りの剣が今はひどく重く感じた。


(くっそ、剣が重い…)


 普段は全く感じえない剣の重さを感じ思わず剣を手放したい衝動に駆られるがそれをグッと堪えるが、同時に魔力を限界近くまで消耗している影響によって強力な睡魔が襲い掛かってきたが【身体強化魔法(ボディエンチャント)】と【風振】、そして左手に持つ剣に掛けている【武具強化魔法(アームエンチャント)】は何時グレンデルの追撃があるかも分からないため解除はせず、代わり眠気を払う為に柄を握る手に力を籠め爪を深く掌に食い込ませる事によって生じた痛みが走る。


(…っ)


 眠気による頭の靄が完全ではないが幾分か晴らすことが出来た。そして爪を喰い込ませた掌から温かい感触を感じたが今はそんな些事に気を割く余裕は当然ながら無かったがほんの僅か、針の孔ほどごく僅かな間意識が落ちた事によって視界が暗闇に閉ざされグレンデルから眼をそらしてしまったが、不幸中の幸いにグレンデルからの攻撃はなく、代わりに俺をいやレオンを見ていた。


「‥‥いまの、イチゲキは‥‥‥」


 そして小さく、呟かれた言葉こそ聞こえなかったが、明らかにグレンデルからの戦意が薄れていくのを俺は感じ取り、緊張の糸が完全に切れてしまったのか、今までの無茶による反動もあったのか急激に視界が迫ばり最後にグレンデルの楽しみだという意味深な言葉と後ろからエル達が俺を心配する声が聞こえたのを最後に、俺の意識は暗転し闇へと呑まれた。

前書きにも書きましたが、投稿が遅くなり本当に遅くなり申し訳ありませんでした。

まず言い訳をさせていただきますと、近場で色々とありその結果仕事が激務となり、とても書く気力がなかったことに加え、虚無感と話が上手く纏まらなかったことによる難産が今回の投稿が大幅に遅れた主原因です。

本当に申し訳ありません。


…謝罪はこれくらいにしまして、次の話で三章は終わりにし、四章へと突入したいと考えています。

四章の内容は今も色々と考えていますので、纏まり、着地点が作れ次第に書いて投稿をしていきます。

ですので、次話に関しては早め(二週間以内投稿目標)に投稿しますが、その後また期間な空くかもしれませんが、楽しみに待って頂けると幸いです。

現在はこのような時期なので、本作品も皆様の退屈の紛らわしに少しでもなれば幸いです。

長くなりましたが、今回はこれにて失礼します。皆様も体調、手洗いうがいなどお気をつけください。また誤字脱字の報告を頂けると助かります。

それでは、次話にお会いしましょう。失礼します。

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