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第九十一話 「過去の影」

どうにかこうにか書けましたので、投稿します。

やはり、戦闘シーンは難しい(いつも通り)

 私、ティアは今も目の前で繰り広げられる戦いを前にそれは思わず夢なのではと思うほどの、人知を越えるほどの戦いが繰り広げられていた。


「ぜあああぁぁぁぁぁ!」


「はははははっ!」


 シルバーは気迫が籠った声を上げつつ剣を、一方のドラゴンは笑い声を上げながら拳を振るい、剣と拳がぶつかり合い辺りへと衝撃によって空気が震える。


「ちぃっ!」


 そして、シルバーは反動を利用するかのように後ろに飛び、


「おらおらおらっ!」


 追いかけるようにしてドラゴンが踏み込みシルバーに対して拳を振るうがシルバーは木葉のようにフラフラとその拳を避けつつ、足場がない宙でまるで何かを踏み台したかの様に足をグッと曲げたかと思うと、今度は弾き飛ばされる様にドラゴンへと距離を詰め剣を振るうけどその全ての攻撃を頑丈な鱗が何枚か壊されながらも両腕で防ぎ切ってしまい、お返しとばかりにシルバーに拳を繰りすも、シルバーはそれを剣の腹で流しながら距離を詰めて行く。


(凄い……)


 それを見て私が抱いたのは、そんなありふれた、けどそうとしか表現できない感想だった。そして同時にあの場に援護に行ったとしても何も出来きずやられる、寧ろシルバーのお荷物になる事が容易に解る事から感じる自分自身の無力感だった。


(私は、こいつと違って何もできない‥‥)


 そう思いつつ視線を自分の足に向けるとそこには私たちを守る為に龍のブレスを防ぎ切った後から、疲労によるものか、それとも魔力を使い過ぎた影響なのかは分からなかったけど、崩れるようにして急に眠りに就いたレオンがいた。


 当初は毒や何かしらの攻撃を考えて心配したけれど、エルさんが診た感じでは攻撃ではなく、魔力不足と疲労が原因じゃないかと言われて一安心は出来たけれど、それでも揺すったり今も戦いの音がしているのに一向に目を覚まさないという事に不安を抱き特に好きではないが膝枕をしてあげていた。そして私と同じく付き合いが長いフェイも心配そうに、今もレオンの様子を見ていた。


「…もう、早く起きなさいよ、脳筋馬鹿」



 ???


(ここは‥…何処だ‥‥)


 気が付けば、俺はそこに立っていた。周囲には何人もの人たちがいて酒を片手に騒いでいる人もいれば、大食いで競っているのか幾つもの皿を重ねる人もいた。


「…ねぇ、***ってば、聞こえてる?」


「ん、ああ」


 名前を呼ばれた気がして横を見ればそこには動きやすさを重視した軽装の鎧、両の腰の鞘にはそれほど長くない短剣にしては少し長めの剣を腰に携える、やや明るめの灰色の髪と瞳の女がいた。

 そして視線を正面に向けると大ぶりな盾と大ぶりな剣をテーブルに立て掛けた大柄な体躯にしっかりと焼けた肌に砂色の髪を短く切ったこのパーティーのタンクである盾剣使いの男がジョッキを片手に不思議そうに俺を見てきた。


「なんだ? もう酔っぱらっちまったのか?」


 そう言ったのはその男の隣に座っていた手に持っている木製のジョッキを少しづつ舐めるように飲むのはローブを身に着け、一メートルを超える杖と弓を立てかけている魔法と弓による遠距離からの攻撃と援護を担当しているの魔法使いの男だった。


「はは、まあ流石に今回の依頼は疲れたからな。流石の***も疲れで酔いが早く回ったんじゃないのか?」


「なに、確かに少し疲れちゃいるがまだ酔ってねぇよ」


 盾剣使いの男へとごく自然に、まるで喋っているのが自分ではないかのように返事を返した後まだ大丈だとばかりに俺は手に持っていたジョッキを一気に空にするが、酒と思しき飲み物の味は全くしなかった。


「もう、今日は大変だったんだから深酒は控えてよ?」


「まあ、出来るだけ気を付けるが、約束はできねぇな?」


「はぁ…全く」


 俺の隣に座る女にそう返すと慣れているのか仕方がないとばかりに軽く頭を振るだけで、それ以降止めるような事は無かった。そして一度目を閉じると場面はいきなり戦闘へと切り替わっていた。


(こいつは…タートル? いやドラゴンか…?)


 目の前にいた魔物はまるで(ドラゴン)と亀が合体したかのような魔物で、つい先ほど見た大きな盾を持つ男が盾とは反対の手に持っていた剣で魔物に一撃を加えるが弾かれたのか甲高い音が辺りに響き、


「クアアァァァッ!」


「おっと!」


 魔物からの噛みつきを盾で防ぎその勢いを殺さずに利用する事で俺の近くまで下がって来た。


「く、やっぱり硬ぇ!身体強化魔法を使っても攻撃が通らねぇのは龍の亜種である地龍とはいえ腐っても龍か!」


「当たり前だ、じゃなきゃ俺達に依頼が来るはずないだ、ろ!」


 そう返しつつ入れ替わるようにして今度は俺は身体強化魔法を発動させ風を置き去りにするほどの早さで龍へと距離を詰める。もちろん龍もただ距離を詰めさせるつもりは毛頭ないようで足を踏み鳴らす事で地面を隆起させ俺の動きを阻害しようとする。が俺はまるで自然な動きで寧ろ隆起した地面を足場にし更に前へと加速する。それを見て龍は更に足踏みをすると今度は龍の周囲に幾つもの岩石が浮遊し、距離を詰める俺へと岩石を撃ち出してきた。


「ふん、芸が細けぇことだな!」


 だがそんな飛来してきた岩石を俺は足を止める事無く拳で破壊しながらも距離を詰めて、龍まで後十メートル程の距離に迫った時、目の前の龍から悲鳴の様な声が上がった。


「キュエアァァァァッッ!?」


「***にばかり気を取られ過ぎて、足元が疎かよ?」


 見ると地龍の四つある足の内の右の前足が切断されており、その場所にはつい先ほど見たばかりのやや明るめの灰色の髪と瞳の姿が目に入り、両の手に握られた二振りの剣はまるで両方とも抜刀されたかのように抜き放たれていた。その事から恐らく二つの剣による抜刀術を放ち、地龍の足を切断したのだろう。

 そして体を支える地龍はバランスを崩す。


(全く、相変わらずの剣技だな)


 地龍の硬い鱗に覆われた足を切断してのけた事にもはや慣れたとはいえ対して呆れとも感心ともいえない表情になってしまうのは、流石に仕方のない事だった。そして突然の事態にも関わらず龍は何とか態勢を立て直そうとするのも関係なく俺は女と入れ替わるようにして一歩踏み出すと同時に龍の頭がある高さまで跳躍した。

 そして辿り着いたのは龍の至近距離、もはや目と鼻と言える距離にまで距離で、しかし俺は焦る事無く一切の力みがない自然な動きで触るようにして龍の眉間に拳が当たる直前、その刹那と言える瞬間に一気に腕に力を籠め、当たった瞬間にその衝撃を余すことなく全てを龍の頭部へと撃ち込むと同時に龍の顔を足場にして後ろへと、跳躍すると龍の体はそのまま力なく地面にその体を横たえ、辺り一帯に衝撃と砂煙を巻き上げ、その体が起き上がる事は二度となく、俺はそのまま地面へと着地し体を起こす。


「ふい~、っと。これで依頼は完了だな!」


「…そうだな」


 俺は汗を拭うような仕草をしつつそう話しかけると両手に持っていた剣を小気味よい音をさせつつ納刀した女は言葉少なげに返してきた。そして一方では何やら、俺達二人を見てもはや毎度と言うべきことを話し合っている二人のパーティーメンバーが話す声が聞こえた。


「‥‥なあ、やっぱりあの二人は別格すぎやしねぇか?」


「言うなよ。それにもう慣れた事だろ?」


「おい、聞こえてるぞ。そんな事を話している暇があるならさっさと剥ぎ取りを手伝えよ」


「(うんうん)」


「…へいへい」


「今から行きますよ~」


 話していた二人に対してそう言うと女剣士も同じように思ったのだろう、無言のままその場で何度か頷き、それを見てバッチリと聞かれていたという事に気が付くと直ぐに気持ちを切り替えたのか、盾剣の男は頭の後ろで手を組み、構えていた弓を杖と同様に背負った魔法使いの男は肩を竦めながら歩いてきた。


 そして、目を閉じ再び飽けるとまた場面と視点が変わっており俺が見ている前では盾剣士の男も弓も扱う魔法使いの姿はなく、そこには先ほど俺が見ていた視点の人物と思しき男ともう一人、剣士の女だけであり雰囲気から何となくそれが別れの場面だという事は分かった。


「‥…、‥‥。‥…、‥……」


「‥…、‥‥?」


「‥‥、‥‥‥、‥‥‥…!」


「‥‥‥‥‥、‥‥‥‥‥‥‥‥‥、‥‥‥‥?」


「‥」


 二人の話している内容は分からなかったが、それでも雰囲気からして男が女剣士に謝っている事は分かり、

 女剣士はそれを聞いて寧ろ嬉しそうにお腹に手を当てた事で俺は女剣士のある変化に気が付いた。それはつい先ほどの時の全体的に細かったが、今は何処か女性らしさと言うべき柔らかさがあり、更に顕著だったのはそのお腹が明らかに膨らんでいた事だった。そして女剣士の体形自体は柔らかさはあるもほとんど変わっておらず腹部だけが膨らんでいる事から分かる事は一つ、女剣士は妊娠しているという事だった。


「、‥‥‥‥‥‥…。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「‥っ」


「‥、‥‥」


 そして、見ていると女剣士が急に男へと抱きつき、そのまま僅かな間だったが思いを伝えるかのように口付けを交わす。


「…、……、……!」


 そして口付けを終えると女剣士は足元に置いてあった荷物を持ち男に背を向けて歩き始め、男はただ黙ってその様子を見ていたが、俺はある事に気が付いた。まるで自分を抑える為に力を入れ過ぎたのか男の手から幾つもの血が流れていたという事に。

 そして、男は女剣士の姿が見えなくなるまで、ずっとその場に拳を握りしめたままその背を見つめ続けたのだった。


 そして、再び目を閉じた目を開けるとまた辺りの景色は変わっておりもはや夜に近い時間帯の中、一人の男とその何倍もの巨躯に深い毒々しい色の龍が互い相対しており、男が龍に対して問いかける。


「退く気はないのか?」


「ふん。人間風情が俺に質問とはなぁ?」


「答えろ」


「ふん。楽しみがあるのにわざわざそれを前にして退く訳ねぇだろ」


「そうか。 ならばグレンデル。今ここで滅ぼす」


 構えを取り、そう宣言した瞬間、男の体が発動させた身体強化魔法によって強化される。


「は、殺ってみやがれぇ!」


 男の挑発に乗った龍、グレンデルは勢いよくその拳を男へと振り下ろすも、男は難なく回避、そのまま距離を詰め拳をグレンデルへと放つが、グレンデルはピンピンしていた。


「はっ!そんな攻撃じゃ俺を殺せねぇぞ!」


「ち、やはり情報に合った通りか!」


 再び振るわれたグレンデルの拳を危なげなく回避した後、一旦距離を取るも即座にグレンデルが距離を詰めてきたので一呼吸分程の時間しかなかった。

 だがそれでも男は態勢を立て直し後ろにではなく、前へと踏みだす。「ハハハハハハハハハッッ!」


「ゼリャアアアァァァッッ!」


 龍は今のこの殴り合いを楽しんでいるのだろうが攻撃を喰らおうと笑い声をあげながら男へと拳を振るう。そして男は気迫と共に龍からの拳を出来る限り避け、時に逸らしながら一歩も後ろへと下がる事無くこれ以上先へは行かせないという覚悟を示すかのようにこの体の主は拳を振るう。

 その姿勢から男の「この先には行かせない」という覚悟が俺にも伝わってきて、それはつい先ほど見た女剣士と交わしていた会話が関係があるのではと勝手な予想をするしたが、後ろに灯がある事から街か

 確かにこの龍を【邪龍】グレンデルを行かせる訳にはいかないという事に関しては俺も同意だった。

 そして、そこから濃密な時間が始まった。


「…ッ…ハッ…ハッ…」


「くそが…ッ!」


 そして俺の体感時間ではもはや三時間は経過したように感じながらもまだ一時間ほどしか経過していなかったのだ、その間に幾分か陽が落ちて暗さが増すなかでも男は息も上がり体はボロボロになりながら、グレンデルは傷ついても即座に傷が治癒しつつも殴り合いが続いており戦いの影響か、声音に苛立ちが混じっていた。そんな二人の戦いを示すかのように周囲一体は荒れに荒れていた。

 だが、そんな中でも男が何かを狙っているが俺には分かった。そして、それが何なのかも何となく予想が出来ていた。そして、なかなか倒れない事に業を煮やしたグレンデルの体から先ほど人一倍にオーラを身に纏う。


「これで決めてやる!」


「は、いいだろう」


 そして、そんなグレンデルの動きは男にとって嬉しい事だったのか、口元に少しばかりの笑みを浮かべた後。全ての魔力を使いきる勢いで身体強化魔法を発動させ、全身の隅々を限界まで強化する。しかしそれを待つグレンデルでは無く、いち早く準備を整えたグレンデルはまるで馬に引かれた戦車(チャリオット)

 の様に全身を使って突撃してきた。

 そしてそんなグレンデルを前に男は静か意識を研ぎ澄ませるように息を吐く。

 そして、グレンデルが目の前に迫った時、男が拳を繰り出した瞬間を最後に俺、レオンは眼を覚ました。

読まれた方はお分かりでしょうが、回想が今回の話では多かったのですが、ちゃんとストーリーに関係してきます。そして、幾つか伏線と言えるかは怪しいですが仕込めました。

さて、話を変えまして、どうにか然程時間が空くことなく投稿が出来ました。最近は少し調子が戻りつつあり、そろそろ二週間投稿を開始していきたいと思います。

ですが、まだ本調子とも言えませんのでバラつきがあると思いますが、優しい目で見ていただけると幸いです。

長くなりました、最後に感想、誤字脱字などの報告していただけると嬉しいです。

それでは、どうか、次話を楽しみにしていただけると嬉しいです。それでは、また次話で。

皆様もお体にお気をつけください。

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