第八十八話 「白衣転装」
あ、明けましておめでとうございます。そして前回の投稿から時間が空いてしまい申し訳ありませんでした(土下座)
取り敢えず、まだリハビリと感覚を取り戻す意味も兼ねまして短いですが書けましたので、今年最初の投稿です。
※年明け早々、申し訳ありませんでした。投稿予約の日時が一週間先の所になっていました。
1月10日の投稿を楽しみにされた皆様、本当に申し訳ありませんでした。
その謝罪として、少しですが増量しました。
* 一月二十日に内容の加筆・改稿。またタイトルの変更をしました。
本当に申し訳ありませんでした。
「おおおおぉぉっ!」
自分を鼓舞するかのように声を上げながら更にレオンは全身から纏っていた身体強化魔法の強度を更に強化したのだろうが制御しきれなかった魔力がレオンから噴き上がるが、レオンは気にした様子もなく拳を引く動きを見せる。その動作から見て何をしようとしているのか、推測は出来たがそれでも俺はその行為に驚きを禁じ得なかった。
(まさか…あの火球を殴り飛ばすつもりなのか…っ!?)
レオンがしようとしているのは身体強化魔法の強度を上げいわば鎧の様に展開、それを着込むようにして熱を遮断、そして熱を防げている間に強化した膂力で殴り飛ばすという算段なのだろうが、成功には本人の身体強化魔法への思い込み、言い方を変えると自分の力を信じ込む事が出来るかどうかだ。本来であれば止めるべきなのだろうが、いずれは自分だけで戦う時も訪れる。故に俺はレオンに任せてみることにした。
(やって見せてみろ、レオン!)
もしそれが成功すれば、身に纏う身体強化魔法はレオンを守る、熱をも遮る強固な鎧となり、手では触る事も弾く事も出来ないあの火球を殴り飛ばすことが出来るだろう。だがもちろん失敗の可能性もある。故にいつでもフォローに入れるようにしっかり地面に足を付けつ、力を貯めつつ状況を見守る事にした。そして。
「だあらっしゃーッ!!」
見ている先で。雄叫びと共にレオンの拳が炎の塊を確かに捉え、そのまま勝ちあげる様にして火球を上へと確かに弾き、いや殴り飛ばすのを確認し、俺は足に込めていた力を解放して跳躍し、一瞬にしてレオンが殴り飛ばした火球へと追いつく。
「シッ!」
そして、再び重力に体が引かれる前に全身を使って体を独楽の様に回転させその勢いのまま火球を一刀の元に両断し、そのまま空中で体勢を整え足全体で衝撃を吸収するように地面に着地すると先に地面に着地していたレオンが声を掛けて来た。
「悪いな、シルバー」
「全くだ。殴る事にも驚かされたが、ちゃんと後の事も考えてくれよ?」
あのまま火球を天井に当たってしまっては岩盤が崩れ落ちてくると云う可能性があった。そしてそれを指摘するとレオンは決まりが悪そうに頭を掻く。
「悪い、本当に全く考えてなかったぜ。ま、お前が居るから大丈夫とは思っていたけどな」
「なんだよ、それ…ってレオン後ろ」
「ははは、え? がふっ!」
信頼しているからやったと言っているレオンからの言葉に思わず苦笑を浮かべつつ、絶対にこの後何かあるだろうなと思っていると、レオンの姿が俺の視界から掻き消えるも動きは終えていたのでそのまま視線を下に向けるとレオンがまるで地面にキスをするようにして倒れていて、
「全く、後先考えずに何をやっているの? まさか、もうさっきの事を忘れたんじゃないでしょうね?」
そのレオンの背中にはレオンを張り倒した人物の足があり、その足から徐々に視線を上げていくとそこには氷を思わせるほどに冷たい、しかしその瞳には怒りの炎がちらついて見えるティアの姿があった。
「ぐ‥‥おい、足をどけぶべっ!」
「あら、ごめんなさいね。思わず踏んじゃった」
「いや、絶対にわざふべっ!」
「‥‥‥ああ、ごめん?」
レオンが何か反論をしようと体を起こそうとする度にそれをティアが物理的に封じるという事が何度か繰り返され、やがてレオンは何も言い返さなくなり、ティアがただひたすらレオンの背中をぐりぐりすると言ういわゆるSMの様になってしまった。だが、ここで忘れてはならない事があった。この間に嵐は完全に鎮静化し納まっているという事を。そして何より、嵐の中にいた存在も居るという事を。
「キサマラ、コノオレヲ、ムシスルトハ、イイドキョウダ!!」
納まった嵐の中から姿を現したのは、背に翼こそ無かったがそれでも全長十メートルを超えるほどの巨体に加え、毒々しい緑の鱗に縦に割れた瞳をそこには知性を思わせる光があると同時に何処か禍々しい雰囲気を感じさせる龍が姿を現している事に気が付いてはいたが、場違いなアブノーマルな現状の空気に呑まれていた俺とフェイは何とも言えない雰囲気のなか、
「ちょっと、黙っててくれない?」
まだ怒りが収まらないのか、何処となくある女王様職業のような雰囲気を漂わせ、特殊な性癖を持つ男が喜ぶであろう冷たい眼で姿を現した龍へと告げた。それはティア自身が怒りを御する事ができていなかった事もあるが、結果としてそれは怒りに油を注ぐことになった。
「オレニ、カナワナイタカガコムシノヨウナ、ニンゲンゴトキガ!」
「ちっ! どうにか俺が押さえるから、フェイ、取り敢えずティアを落ち着けておいてくれ!」
「分かった!」
俺がフェイにそうお願いし、フェイはティアを落ち着けるためにティアの元へと向かう。
「モエツキロォォォッ!」
言葉に怒りを滲ませつつ再び息を吸う動作をした直後、先程を越える大きさの火球がティアへと吐き出された。本来であれば威力も上がっており、触れただけども火傷は必須と思わせるほどの熱量をもつ火球だが、もちろん。それを黙って喰らうつもりは毛頭無く。
「それは、絶望を砕く。それは浄化と秩序をもたらす。それは守らんが為に我は歌う」
俺は剣を一度鞘に納めつつそれを紡ぐ。
「八雲立つ、出雲八重垣」
「妻籠に、八重垣作る、その八重垣をッ!」
スサノオが歌ったとされる和歌を口にしつつその歌に隠された意味、即ち大切な存在を守りたいといういう思い(意思)を具現化するように歌い終える。
「白衣転装!」
そして鍵となる、その形態へと至る言葉を言い終えると俺の体を優しい白い光が包み込む。そして光から形成されるのはエルの髪、肌と同じような純白の衣だった。そしてそんな俺の変化に後ろからは驚きの視線を感じながら俺は天叢雲剣の切っ先を迫りくる火球へと向けると、そこに白き光が集う。
「邪悪を払え、白龍」
そして、剣をそのまま突くようにして動かすと、切っ先に集った白い炎は東洋の竜となり、その勢いが衰える事無く火球と競り合うことなく飲み込み、その後ろに居た龍へと襲い掛かる。
「ホウ…」
白い炎の龍を前にそう呟きそして、そのまま禍々しいオーラを纏う龍は俺が放った白い炎の龍の飲み込まれたが、それで終わりではなく、これがこの戦いだと誰しもが感じ取っていた。
前書きにも書きましたが、本当に申し訳ありませんでした。今後はこのような事が起きないように気をつけて取り組んで参ります。
さて、気持ちを切り替えまして、改めまして、明けましておめでとうございます。本年も頑張って投稿して行こうと思いますので、皆様宜しくお願いします。
さて、今回は凡そ一月?ほどと結構な間が空いたのですが、その原因としては仕事が忙しかった事に加え、三日ほど高熱を出してしまったことが大きな要因です。本当に申し訳ありませんでした。
ですが、その間に幾分か頭の方を休めることができましたので、徐々にペースを戻せるように努力していきます。




