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第八十五話 「魔眼と変貌」

何故だろう、まだスランプ脱却が出来ていないのか…ペースが全く上がらない。けど、どうにか出来ましたので投稿です。

 扉を開き、内部へと踏み込んで最初に見えたのは、奥の方の一段高い場所には、両手を纏めて鎖で縛られているエルだった。正直、エルの姿を見た瞬間に駆けだしたいという言う思いが沸き上がったがそれを押しとどめ、エルの元へと行こうとするのを阻む様にして立っている二つの影と相対する。


(この作りと椅子の配置‥‥もしかして教会を模しているのか?)


 この場所に入って分かったが、椅子や奥が一段高くなっている事等から、ここは地下に作られた教会といった感じだった。そこでどうしてこのような構造なのかが気になったが、そんな俺の考えを遮る様にラークがローブの女に怒鳴った。


「おい、一体どう言う事なんだ! こいつがここに来るときには土人形ゴーレムで消耗した状態で来るだろうって言っていたのはアンタじゃなかったか!?」


「少し黙りなさい‥‥‥ふむ。どうやら、仲間と一緒に来たみたいよ」


 どうやら俺が全く消耗していない様子を見て予定と違うと怒鳴ってるラークの剣幕など眼中にないという感じで、しかしそれでも仕方がないといった感じでローブの女は目を俺にではなく、その奥、壁で塞がれているはずだが見透かす様に見た後、俺がどうして消耗もせずにここに来られたのか、その理由をローブの女はラークへと教える。


「くそが! それくらい想定しやがれ! それじゃアイツをいたぶって殺せねぇじゃねぇか!」


 どうやら、ラークは消耗した俺をいたぶって殺そうと思っていたことが本人の口からカミングアウトされた。まあ至極どうでもいい。

 そう思っているとローブの女はこちらからは見えないがその眼でラークを見据えたのだろう、ラークは緊張によって体が固まる。


「ッッ!」


「黙りなさい。たかが人形の癖に私に指図するなんて、…消されたいの?」


 その言葉には、あらゆるを凍らせる氷の様に冷たいながらも、その内部には烈火を思わせる怒りが内包されている事に声が聞こえた俺にも分かり、直視されつつ言われたラークの表情は赤い表情から真っ青な表情へと変化し、体にも力が籠っている事が分かった。それは正に蛇に睨まれる蛙のようだった。


「‥‥まあ、いいでしょう。私本来の目的は既に達成しているから、お前が勝つか負けるなどどうでもいいわ。けど」


 そう言ってラークへの視線を切り、ローブの女は紫の眼を俺に向けて来た。


「私の人形にした以上、無様に負けるのは面白くないから」


 そう言いつつローブの女が手を横に振ると、何もなかった空間に文字と紋様が俺の周囲に包み込む様にして浮かび上がった。


「少しばかり、手伝ってあげるわ」


「おおっ!」


 ついさっきまで顔を青くしていたのに、即座に嬉しそうにしている辺り、なんやかんやで仲が良いのかもしれない。と内心で思ったがそんな事は置いておく事にしよう。まずはこの状況を切り抜ける事が最優先だ。と言ってもやる事は単純。


(全部、壊す!)


 内心でそう宣言するのと、宙にあった文字と紋様が輝いたのはほぼ同時だった。

 俺は身体強化魔法ボディエンチャントを発動、同時に天叢雲剣を抜き様に一歩前へと踏み出すと同時にその勢いを乗せて抜刀する。


「はあっ!」


 居合の要領に加え踏み出す力を加えた天叢雲剣は手始めにとばかりに撃ちだされた四大属性の初級魔法を容易く打ち砕く。


「なにっ!」


「…へえ? やるじゃない」


 一撃のもとに初級とはいえ四つの魔法全てを破壊した俺をラークは驚き、ローブの女は面白いといった感じで微笑む。


「じゃあ、これはどうかしら?」


 ローブの女がそう言った直後に光ったのは上下の文字と紋様だった。それが分かった瞬間、俺は後ろへと飛ぶ。そして今しがた立っていた場所を鋭利な戦端を持つ【岩石弾(ストーンバレット)】が通り抜け、互いに衝突し破片を辺りにまき散らす。


「ちっ!」


 破片が目に入るような愚は犯さず、左腕で目元を庇う。と同時に四方から魔力を感じ取る。流石に目元を塞がれば魔法が来るという事は分かっても見えない故に対処は難しい。だが、【風を視る者】がある俺は何が来るかが分かり、その場でしゃがみ込みと同時に後ろに倒れ込む様にしてバックステップを取る事でその場から離脱、そして俺が先ほどまで立っていた場所に標的を失った四つの魔法がぶつかり、小さな稲妻を散らした。


(【雷玉】か)


【雷玉】は風魔法より上位に存在する雷属性の初級魔法で、簡単に言えば球状の電気の塊を作り出して撃ちだすという魔法で、この辺りは四大属性魔法の初級と同じだ。因みに風の上位属性である雷以外にも火の上位である炎、水の上位である氷、土の上位である大地の四種が存在する。


 まあ、俺から見れば上位魔法の炎・雷・氷・大地は基礎の四大属性魔法の複合魔法だと感じているのだが、この世界の認識ではどうなのだろうか…。と思わずそんな事を考えながらも次の攻撃に備えつつ魔女を見たが、魔女は何処か不思議そうに俺の事を見ていた。


「‥‥アナタ‥‥もしかして…魔眼を持っているの?」


「‥魔眼だと?」


【魔眼】 それは特殊な力が宿った眼の総称にして幾つかだが文献にも記されており、そして読んだことある文献の中に幾つかあったのだが、その中で有用な【魔眼】を上げるならば相手の情報を見るだけで大雑把に分かるゲームで言うステータスが見える『解析眼』または魔道具などの性能がわかる『鑑識眼』などその効果については千変万化という事。


 そして、ここまで考えて何故魔女が俺が【魔眼】を持っているのかといった理由に何となく検討がついた。恐らく、さっきの雷魔法を視界が塞がれた状態で避けたからだろう。


(恐らく、『予見』の魔眼でも持っているのではないか、と考えているんだろうな)


 もちろん、俺は【魔眼】なんてものは持っていない。あるのは風のある場所では目を閉じていても視える権能にして俺が勝手に名付けた【風を視る者】だけだ。まあ、傍から見れば同じように見えるだろうが俺の感覚としては何となくだが違うと感じていた。だが、態々そんなことを教えるつもりなど毛頭無い。


「さて、どうだろうな?」


 教えるつもりなど毛頭ないが、正直言って違うと感じているのはなんとなくの自分の感覚であるが故に、知っているのであれば教えて貰えるとありがたいとすら俺は思い、はぐらかすようにして答えた。


「そう、なら貴方を殺した後に調べさせてもらうわ」


 興味を失ったのか、魔女は俺から視線を外すとごく自然な動きで隣に立っていたラークの体にローブの中から取り出した赤黒い剣を突き立てた。


「え?」


 ラークは何が起こったのか分かっていないような不思議そうな声を上げ、自分に刺さっている赤黒い剣を認識すると呆然とした声で魔女に尋ねる。


「きさま、一体何を…う、あ、アアアアア、ガ、アアァァァァァァァァァァァァ!」


 だが、その問いを全て口にすることなく、ラークの口からは何処から出てきているのか分からないほどの叫びへと変わり、ラークの変化の様子を魔女は楽しげに見ていた。


「うふふ、何って貴方がちゃんと戦えるようにしてあげているのよ。もちろん、貴方という自我は残らずに消し飛ぶでしょうけどね?」


 残酷な事実をラークへと突き付けるなか、魔女の足元に先程空間にて固定された文字や紋様によって構成された魔方陣が展開される。感じ的にあれは脱出用の転移術と思われた。


「い、イヤだ、消えたくないっ! グ、ガアアァァァッ!おい、タスケロ、メティス…!」


「嫌よ。人形は主人の為になってこそが本望なの。それに力を欲して貴方は自分の意思で私の人形になった。だから、この契約は絶対に履行されるわ」


「オレノ、メティス・ブラッドォォォォッッ!!!」


「さよなら、ラーク。そして頑張ってね、白き龍に見初められし者」


 その瞬間、俺へと明確な敵意を滲ませた直後、魔女、メティス・ブラッドの姿はその場から消え、残ったのは俺と捕まっているエル。そして、


「グゥゥゥ、ゴロズ、ゴロズゥゥゥ!!!」


 身長は凡そ五メートル、横幅は正に巨漢の力士と言った感じの巨漢となり、肌の色が薄黒い緑へと変わり、元の風貌が何一つ残っていないラークの成れの果てであるトロールという名の魔物だけが残された。

次回も戦闘です。まあ、今回の話は小手調べみたいな感じの前哨戦と言った感じです。次からが戦闘の本番ですよ。まあ、その前に調子が明らかに狂ってきているのでなんとか調整して書けるようにならないといけませんが(自虐にして事実)

二週間の投稿が遅れるのは私としても打破したい状況です。どうにか元のペースに戻せるように努力をしていきたいと思います。

ですので、次回の投稿も二週間以内に出来るように頑張ります。どうか、次話を楽しみにして頂けると幸いです。あ、誤字脱字もですが感想やブックマークなど頂けると嬉しいです。

それでは、失礼します。(頑張らねば…)

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