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第八十四話 「魔女の工房」

少しはスランプから抜け出せつつあるのか、想像より早く書けましたので、投稿です。

そして、宣言を一つ言っておきます。次辺りよりいよいよ戦闘です。そして。気づけばPVが35万越え、ユニーク6万を越えてました。本当にありがとうございます。

そして最近日中と夜間との気温差が激しいので、皆様も体調にお気をつけください。

 そして、光が晴れると俺達は早速辺りを見回すと、天井岩肌がむき出しになっていたが、対照的に足元は石が綺麗に嵌められた石畳だった。そして壁には松明が一定の間隔で置かれていた。


(なるほど、自然な洞窟に手を加えた感じだな。となるとこの上に建物があるのか?)


 僅かに流れる風で天井の高さはニ~三十メートル程で、横幅も凡そ同じほどのだなと調べつつ奥の方へと、恐らく上へと続いている事を【風を視る者(シュトゥルム)】で簡易的にだが分かり、そんな風に考えていると転移に成功したという実感が湧いてきたらしく辺りを興味深げに岩壁を触りつつティアが尋ねてきた。


「ねえ、シルバー。ここが転移先なの?」


「ああ、そのようだ。ついでに言えばティアが今触っているその岩壁だが、かなり厄介なものぞ?」


「え、これが?」


 俺の指摘にティアは見た目は何でもない壁を触る。確かに見た目と触った感触自体は普通の岩の壁で強度も高いだろうがそこは問題では無かった。問題はその岩壁に厳密に言えばその表面に仕掛けられている()()だった。


「まあ、口で言うよりも論より証拠だな。よく見てろよ、【風刃】!」


「えっ!」


「へえ、そう言う事ですか」


「‥‥マジかよ」


 ティア達からも良く見える様に割と大きめに風魔法【風刃】を発動して撃ちだすと、そこでティア達はそれぞれ驚きの表情と反応を示した。その理由は簡単だ。そしてその理由をティアが代表するようにしてくちにする。


「【風刃】が‥‥消えた?」


「ああ。俺が厄介と言ったのは、こう言う事だ」


 ティアが思わずといった感じで言ったように、俺が放った二メートルサイズの【風刃】が距離にして凡そ一メートル辺りで全体的に歪み、二メートルの辺りではギリギリ形を保っている感じとなり、三メートルに到達する辺りでは完全に形を保てなくなり完全に霧散してしまったのだ。しかし、俺には全くの驚きはなく寧ろ予想通りとすら思っていた。


「ま、恐らく容易に自分の所に行かせないための魔法か何らかの仕組みなんだろうな。そしてその仕組みが恐らく天井や壁、床にと組み込まれているんだ。そして岩壁に刻まれた術式の効果は恐らく、発動者から一定の距離を離れた魔法の術式を崩す事なんだろうな」


 まだ仮説の域を出ないが魔力が最後に霧散する事から間違ってはいないだろう。それに詳しくは分からないが、凡その効果については予想できていて、先程【風刃】を使ったのもティア達に分かり易く見せる為と、自分の中にあった仮説を立証する為でもあった。

 まあ、敵の本拠地(?)であるならばその程度のギミックが無ければおかしいと言うべきだろう。そして個人的に壁をぶち抜こうとも考えたが、そこら辺に関してもしっかりと対策がされていた。


(…なるほど。どうやらあの松明が灯ているのは、照らしている場所全体に魔力を供給しているって訳か)


 どうやら、松明の光が当たっている場所、と言ってもこの洞窟全体なのだが、その辺り一帯には俺にとって見た事ない紋様がびっしりと刻まれており、その効果はどれも表面的には【耐久強化】【耐魔強化】だったが恐らく本命は魔法術式を崩す方がメインでそれをついでに偽装していると言った感じだろう。


 それに、偽装と言っても流石にこれだけの数の【耐久・耐魔強化】が重ね掛けされていれば、ぶち抜くのはほぼ不可能と言ってもいいだろう。(なお、不可能とは言わない)


「さて、それじゃあ大雑把に現状を把握した所で、敵が来たぞ」


「「「ッ!」」」


 俺がティア達にそう告げると同時にティア達はそれぞれの武器を構えると、奥の方から何か重たい物が移動してくるような足音がティア達の耳にも届き始め、やがてのっそりと姿を現したのは、高さ十メートル程の大きさでゴツゴツとした岩で作られた体を持つ石人形(ゴーレム)だった。


(まずは、様子見ってところか?)


 恐らく何かしらの魔法か術、または魔道具によって高みの見物をしているかもしれない相手に手の内を見せるのは正直もともとの怒りもあったのでその腹いせにと辺り一帯を魔力で囲うようにして結界を構築すると同時にある大事な事をティア達へと伝える。


「ああ、遠距離の魔法は使えないが、身体強化魔法(ボディエンチャント)は使えるからな。全力でぶちかませ!」


「そう言う事ならッ!」


 そう言うと、いの一番に動いたのはティアで、身体強化魔法(ボディエンチャント)を発動さえると雷光もかくやという早さで岩人形(ゴーレム)に接近すると同時に、手にしていた剣を振り上げる。


「いやああぁぁっ!」


 加速によるスピードによる重さの乗ったティアの身長を越える程の刀身を一息に岩人形の左肩から右わき腹へと振り下ろすと、岩人形は真っ二つとなり、その断面は何か強い力で無理やり引きちぎられたといった断面になっており、核を潰された岩人形はガラガラと言った音を立て崩れ落ちた。そして、ティアは破壊したした岩人形には目もくれずに次の岩人形へと移動していた。


「おおおおおっ!」


 そして一方、素手で戦うレオンは身体強化魔法ボディエンチャントを纏った拳で、岩人形を爆散させて倒すという面白い戦い方をしていた。しかも魔力の効率が良いのか、ニ、三発撃ち込む拳撃の内に一発は爆発し、岩人形を内部から破壊し、核を粉砕して倒していく。


(あれは…相手に自分の魔力を撃ち込んで爆発させる事で核を砕いているのか?)


 どうやら、レオンは拳を岩人形の内部に自分の魔力を、いわば浸透頸の様に岩人形の内部へと撃ち込み起爆させることで内部を、岩人形の核を破壊して倒しているようだった。


「よし、それじゃあシルバー! 先に行けっ!」


「え?」


「え? じゃねえよ! 俺達がお前に付いて来たのはなっ、お前を先に進ませる為だったんだよっ!」


(なんだ‥‥そうだったのか)


 レオンの技を見て今度、練習してみるかを割と真剣に検討していた俺に、レオンが更に岩人形を爆散させながらそう言ってきて、俺はなんでああも付いて行くと言っていたのかについて、ようやく腑に落ちた。


「ま、俺達もちゃんと戦えるって言うのを見せたかったってのもあるけどな!」


「あるのかよ!」


 ちょっとばかり感心した俺の気持ちを返して欲しいと一瞬だけ思ったが、それでもここで少しでも無駄な消耗を抑える事が出来るのは、それだけ万全の状態で戦えるというのは正直助かるというのが本当だった。


「はあ、分かった。それじゃあここは任せる、が無理はするなよ!」


「おう!」


「大丈夫!僕が指示を出すから!」


「任せる。ティア、無茶するなよ!」


「アンタもね!」


 レオン、フェイ、ティアにそう伝えた後、俺は身体強化魔法ボディエンチャントを発動させると一向に数が減る様子が見えない岩人形の隙間を突く様にして一息に駆け抜け、後ろを振り返る事無くこの洞窟の奥へと突き進む。



「全く、女子に対して無茶するなって、もっといい言葉を言えないのかしらね?」


 岩人形の間を通り抜けて行ったので姿が直ぐに見えなくなったシルバーに対して、無意識の内にそんな事を口にしていた事に私自身も驚きながら、直ぐに意識を切り替えて私は岩人形を剣で更に屠っていく。


(本当に、遠いわねっ!)


 迫る岩人形を倒しながらティアは思った。背を追い掛けても追いつけないシルバーの戦場がこの先なのだとしたら、そして心配されずに任された今この場こそが自分(私)の戦う場所であると。


「さて、それじゃあ早くこいつら(岩人形)を倒して、シルバーの援護に行くわよっ!」


「ああっ!」


「そうだね。それじゃあ頑張ってみようか!」


 ティアの鼓舞の元、レオンとフェイ、そしてティアは数が増える岩人形の群れへと突っ込んだ。


 * * *


(…この奥か)


 走り続けておよそ五分後、辺りを見回してみると壁と天井は白に変わっており、床の石畳も白に変わっていたが壁の松明に関しては変わらず一定間隔で置かれつつ奥へと続いていた。ここに着くまでに幾つかの分岐点があったが、風を視る者(シュトルム)で奥へと続いている道を選んでここへとたどり着いた。そして、念の為に後ろを振り替えるとそこはもと来た道はすでになく、変わりに壁になっていた。恐らく分断させティア達が援護に来られない様にしようというつもりなのかもしれなかった。


(まあ。戻るつもりは無かったからどうでもいいがな)


 そう思いつつ壁や床をザっと見た感じだが、どうやらここにも壁、天井、足元に魔法の威力を減衰すると思われる魔法陣が刻まれているようだった。


「なるほど、流石にこの辺りは最初と比べて段違いだな。魔法でぶち抜いてやろうと思ってた事を予想してたのか?」


 独り言を言いつつ、俺は目の前に現れたこの場にそぐわない木製の扉の前へとたどり着いた。そして幸いにも【風を視る者(シュトゥルム)】は魔法とは違った異能と言うべき権能だったので問題なく使え、そのお陰でその内部に三人の気配がこの奥にあることも確認していた。そしてそのなかによく知っている気配があることも。


(…エル)


 リリィ達を庇い敵に捕まったエルの事を思うと、その場に居なかった自分自身に対して怒りの炎が強くなるのを感じ、深呼吸をする事でその炎を制御していると俺はあることが気になった。


(どうして、攻撃をしてこない?)


 目前にまで迫っているのに、いやそれ以前にここに来るまで距離こそあったがその他に踏む抜いたら槍が四方八方から出てくる罠や巨大な石が上から降ってくると簡易的な罠しかなかった事だった。(因みにその罠の全てを解除、または破壊した)


(まあ、入って見れば分かるか)


 そう思い、一呼吸して俺は目の前の扉を押し開き、その部屋へと足を踏み入れた。

本当にスランプは辛いですね…。頭の中で少しも話が浮かばず、書こうという意欲がわかないのですから。

さて、私事はその辺に投げておきまして、一応、これでティア達がシルバーについていこうとしていた理由を書けたのでは、と思います。

そして、次はいよいよエルを奪還する為のシルバーの戦いに焦点を当てた話を書ければと思います。少しでも楽しみに待って頂けると幸いです。

長くなりました。誤字脱字、違和感のある文章などあればご報告していただけると嬉しいです。

また評価、感想、またブックマークして頂けるととても嬉しいです。


次話の投稿はいつも通りの二週間以内投稿を予定しています。少しでも楽しみに待って頂けると幸いです。それでは、また次話で。

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