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第八十一話 「星見と凶星」

どうにか、仕事が一段落したのと、ようやく書けましたので、投稿です。

謝罪を、投稿が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

「あー、美味しかった! 特に最後のデザート、プルプルしつつも甘くて、それでもしつこくないあの味。本当に美味しかった!」


「そうか、喜んで貰えたなら、おばちゃんも嬉しいだろうさ」


 そんな事を話しながら店を出ると辺りは徐々に暗くなってきており、夜の帷が徐々に迫ってきていた。

 それにしても、ティアはかなりの料理を、凡そ二人前に届くであろう量を食べていた。その後にデザートのプリンを食べていた。それでも、ティアの見た感じはスリムなままで、甘いものは別腹だというのだから、とティアは言ってはいたが…。


(女子というのは、よく分からないな)


 と俺は改めて感じつつ、暗くなる道をティアと歩きつつ声を掛けた。実は今日はもう一つ、ティアに見せたいと思っていた物があった。そしてそれは夜で無ければ見えないもので、そろそろ移動しないといけない時間帯に差し掛かっていた。


「ティア、悪いんだが、最後にもう少しだけ付き合ってもらっていいか?」


「え、うーん。まあ、いいけど。でも門限までもう一時間くらいしか残ってないけど?」


「ああ、そこら辺は大丈夫だ、空を飛んで行くからな」


「え、空? って…うわぁっ!」


 いきなり抱きかえられたせいなのだろう、ティアは驚きの声を上げたが俺は気にする事なくそのまま風魔法【浮遊(フロウ)】で風を操作し、体を浮かび上がらる。もちろん、下の方では人が驚いたりなどしている気がしたが俺は気にする事なくその場から飛び立った。そしてそのまま飛んで凡そ十分ほどの場所にある標高の高い山へと向かって飛ぶ。


「…シルバーって、空を飛べるんだね」


「ああ。小さい頃に色々と試したお陰でな。もちろん最初は今みたいに制御が出来なくて失敗はかなりしたけどな」


 実際、今でこそ飛ぶのは息をするように可能になったが、最初は浮いては墜落するという事を何度となく繰り返して、途中何度となく諦めようとも思ったが諦めずに挑戦し続けたお陰だった。


「いいな~、シルバーは空を飛べて」


「いや、別に俺だけしか飛べない訳じゃないぞ? 少なくとも俺が知っている限りだと二人ほど飛べる奴が居るぞ?」


「うっそ~!」


「ホントだって!」


「へえ~。まあ、それはそれとして一体何処に向かっているの?」


 とそんな他愛もない話をティアとしていると流石にティアもどこに向かっているのかが気になったのか尋ねてきた。


「ああ、言ってなかったな。いま向かっているのは、山だ」


「やま? 山って、あの山よね?」


「ああ」


 山に行ってどうするの? といった感じの表情でティアが見てきたが、着いていないのにまだここでネタバラシをするわけにはいかない。それに今の内から闇夜に目を慣らしておかないとこのあと少し歩く予定なので、歩くのに少しばかり支障が出る可能性が否定できない。


「まあ、着いてからのお楽しみという事で。損はしないからさ」


「…分かった。それじゃあ楽しみにさせてもらうわ。とそう言えば、今更だけどどうして風が少しも当たらないの?」


「それは俺とティアを風の膜で包んで飛んでいるからだな」


 ふと気になった感じでティアが行って来たが、確かに風が全く体に当たらないというのは不自然だった。だがそうなるにはどんなことでもそこには仕掛けがある。それは魔法も同じだ。


「風の、膜?」


「ああ、今の俺達には風の影響を受けない様に、流線状に、まあ卵のような形の風の膜で包まれているんだ」


 風の膜につつまれているお陰で空気抵抗も少なく、風が上手く流れる様にしたお陰で魔力消費に加え、更に風の膜内部の温度も一定なので体力の消耗も抑えられる事に成功したのだった。


「…聞いて悪いけど、あんまり分からない、かな?」


「まあ、簡単に言えば俺達は卵の殻のように包まれているお陰で大丈夫ってことさ」


「あ~、何となく分かった、かな」


 卵の殻という分かり易いものから何となくイメージが出来たのだろう、ティアは少し納得したとばかりに頷いた。とそんな事をしていると目的の山の頂上が見え始めていた。


「よし、ティア。あの山に下りるぞ」


「分かった」


 一言そう伝えた後、徐々に地面へと降下し、地面まで一メートル程の所で発動させていた【浮遊(フロウ)】を解除し、少しぶりの地面へと降り立った。


「う~ん。なんだかちょっと変な感じがする」


「まあ、慣れない間は違和感を感じるかもしれないが、少し歩けば自然とおさまはずだから。それじゃあ行こうか」


「ちょ、待ってよ~」


 何処となくひょこひょこ歩きでついて来るティアの早さに合わせる様にして歩調を合わせて歩くこと一分と少しで目的の山頂の少し開けた場所へと到着した。まあ、元々山頂のすぐ近くに降りたのですぐ着くのは当たり前だが。そしてその間に違和感が無くなったのだろう、ティアの歩き方も元通りになっており、更に闇夜に目が慣れたお陰だろう、ティアも問題なく着いて来れていた。まあ、身体強化魔法で視力の強化を併用していたが、問題は無かった。そして俺はといえば『風を視る者』のお陰で全く問題は無かった。


「静かだね。さっきまでの喧騒が嘘みたい」


「まあ、辺りには何もないからな、 っとほれ。これに座れ」


 ティアは周りを見ている間に俺は『風神の天廻』から敷物を取り出して一足先に地面に敷いた敷物へ座り、誘導する。


「ん。ありがと。それで山に来たのって、星を見る為?」


「ああ。確かこの季節だと星が見えた事を空を見てさっき思い出してな」


「あ、思い付きだったんだ。でもよくこんな場所を知ってたの?」


「時々ランニングで山を登ったりしていたからな。その時に偶然見つけたんだ」


「‥‥‥驚くべきことなのに、もはやシルバーならやりそうって思った私って結構、毒されてるのかな?」


「さあな?」


 何とも言えない表情でそんな事を聞いてきたティアに対して俺は肩をすくめるにとどめると、そのまま空を見上げ、俺が答えないとみたティアも諦めたのか、切り替えたのかは分からなかったが、同じように夏が近づいて来てる夜空を見上げた。


「今日は北斗七星が良く見えるな」


「ホクトシチセイ? セブンス・ステラじゃなくて?」


「ああ、本来はそっちで呼ぶんだろうけど、ある場所ではセブンス・ステラを北斗七星って呼ぶんだ」


「へえ、そうなんだ。じゃあレーヴェは?」


 因みに、セブンス・ステラとは前世での北斗七星の呼び名であった。そしてその事から分かるように、どうやらこの世界の星の配置に関しては詳しくは分からないが、前世の星とかなり類似しているのではと俺は考えていた。しかし俺がそんな事を考えているとは知らないティアは寧ろ、俺が言った星座の呼び方が気になったようだった。


「レーヴェは獅子だな」


「ユングフラウは?」


「ユングフラウは‥‥確かおとめ座、だった。っとすまんがこれ以上は聞かないでくれ、全部が全部覚えている訳じゃないんだ」


「え~、つまんないの」


「勘弁してくれ。それよりほら、星を見るぞ。あまり長い時間居れないんだからな」


 そう言ったが、ティアは本当につまらなさそうにしていたが、俺がこれ以上答えないと見て分かったのか、今度は静かに星を見始め、それを横目に確認しつつ俺は内心でホッと胸を撫で下ろした。

 実際、俺は星座にさほど詳しくも覚えている訳でもないのだ。寧ろそう言うのは調べている奴に聞いて欲しいのが俺の本音だった。


(やれやれ‥‥うん?)


 とそんな事を思いながら俺は再び北斗七星、もといセブンス・ステラを見た時ある星が、変光星と呼ばれ、古くは不吉な星と呼ばれる星、アルゴルが瞬いた様に見えた瞬間に、全身に良く分からないが、悪寒が走りすぐにアルゴルを見たがそれは幻だったかのように他の星と同じく光っており、全身の悪寒も無くなっていた。


(‥‥なんだったんだ。今のは?)


 まるで、狐に摘ままれたかのようなそんな感覚だったが、それでも何か体の中心が冷えるような、何かが起きる、そんな感覚が残っていた。


「‥‥ティア。急にで悪いんだが、街に戻ってもいいか?」


「えっ、それはいいけど。シルバー、顔の色がなんだか悪いよ、どうしたの?」


「分からない。だが何か嫌な予感がするんだ」


「分かった。それじゃあ急ごう」


「悪い。それじゃあ飛ばすから背中に乗ってくれ」


 ティアに一言誤った後、後ろから抱き着いてきたティアを背負うと【浮遊(フロウ)】を発動させて空中に浮くと、ここに来る時以上の、神速と言っていい早さで街へと戻ったのだった。

 そして街に戻り、急ぎ足で寮へと戻ると寮の外で寮母の人が立っていて、俺を見つけると駆け寄ってくれた。


「良かった、見つけられて!」


「どうしたんですか?」


 寮母さんに呼び止められた事で俺はその予感が間違っていなかった事を確信しつつ寮母さんに尋ねた。


「落ち着いて聞いてね。リリィちゃん達が何者かに襲われて、それで…リリィちゃんが君に伝えてほしい、って伝言がるの」


「リリィは何て?」


 自分でも制御できないほどに冷たい声が出た事に気が付いたが、今はそんな事を気にしている余裕が無かった俺は寮母の女性に次の言葉を促す。


「それが‥‥エルさんが、私達を庇ってローブの女に攫われた、と」


「…そうですか。それで、リリィ達は今どこに?」


「えっと、命に別状はないけど、重傷だから今は街の中心に知己治療院に運ばれているはずよ」


「そうですか、ありがとうございます。それじゃあ俺は治療院に行きます」


「え、ええ。夜道は危ないから気を付けてね」


「分かりました」


 何処となく怯えながらも教えてくれた寮母の女性にお礼を言い、俺は治療院へと走り始めた。そして無自覚の内に力を込めていた掌からは、赤い血の雫が伝りつつある事に気が付きながら、そうする事で溢れそうになる怒りを抑えながらリリィ達の居る治療院へと向かったのだった。


投稿が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

ここ一週間近くはかなりハードな仕事内容だったのと重なり、投稿が遅れてしまいました。

ですが次回からはまたいつも通りで、二週間以内での投稿に戻していこうと考えています。

それでは、今回はここで失礼します。どうか、次話を楽しみにしていただけると嬉しいです。

それでは、失礼します。

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