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第八十話 「未知の料理」

タイトルですけど、ティアにとってはという解釈で御願いします。

(…仕事がまじで忙しいの…書く暇が無い…)

今話はなかなか上手く浮かびませんでした。(…リフレッシュ計画、練るかな…)

「どうも。おばちゃん、店の盛況そうで何よりだ。それで席は‥‥空いてなさそうだね」


店の中をぐるっと見た感じだが、店のどの席も埋まっており、正に満員御礼というのに相応しい状態だった。という子こうしている間も従業員も含めて皆、忙しそうだった


「ああ、悪いね。休日というだけあって満席なのさ。そこは嬉しい事なんだが、ちょっとばかし手が足りてなくてね」


「手が足りてない? もしかして従業員が足りてないのか?」


おばちゃんが困った表情を浮かべていて、改めて見てみるがホールのスタッフに関しては少ないと感じなかった、と思ったところで人手が足りていない場所におおよその検討が付いた。


「もしかして、厨房の方の人手が足りていないのか?」


「ああ、そうなんだよ。流石の私もここまで混むなんて予想外で、今もてんやわんやさ」


「どれどれ…うお、凄い。正に戦場って感じだ」


どの程度に風に意識を集中させ、【風を視る者】で厨房の方を視てみると、従業員たちが絶えず手を止めずに動いているその様子は、正に戦場と言っても差し支えないものだった。だがそれは俺にとっては少しだけ都合が悪かった。


「はぁ、仕方がないか‥‥おばちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど」


「なんだい?」


ティアに聞こえない様に俺はおばちゃんにある提案をした。それはおばちゃんにとっても、もちろん俺にとっても(少しマイナスはあるが)悪くはない内容だった。


「いや、でもそれはねぇ…」


だがそれを聞いたおばちゃんは申し訳ない表情でちらっとティアを見た後首を横に振った。


「いや。やっぱり駄目だよ。せっかくの仲睦まじい時間にアンタを手伝わせるのは…」


「いや、これは俺にとっても嬉しい事なんだよ。実は手伝った後に調理器具や厨房の一角を借りたいんだよ」


「…どういう事だい?」


「実はね‥‥」


俺が手伝う事に難色を示し、渋い顔していたおばちゃんに俺は今日の目的の為の事を伝えた。俺がこの店を選んだのは偶然ではなく、今日の目的、ティアへのご褒美を果たすにはどうしてもこの厨房を借りなければ思っていたのだ。


「…という訳なんだ」


「なるほどね、分かったよ。それじゃあ少し待っててな。それと、席を確保するその間にちゃんと彼女に説明をしときなさいよ」


「ああ。悪いな、おばちゃん」


厨房へと向かって歩いてくおばちゃんにそう声を掛けるとおばちゃんが軽く手を上げ、そのまま厨房へと戻って行き、俺は不思議そうに首を傾げていたティアに声を掛けた。


「ティア。悪いんだけど席が空いたらそこで待ってもらってていいか?」


「え、シルバーはどうするのよ?」


「あ~、俺はちょっとばかし厨房の手伝いをしてくる。実はこの店を選んだのはおススメだったのと、ちょっとばかり厨房を借りようと思っていたんだが、この混みようでただ借りるだけというのは申し訳ないからな」


「え、だったら私もっ」


「いや、ティアは先に席に座っていてくれ。今日は元々お前へのご褒美でこの店に来たんだからな」


それに手伝ってもらえるのは正直にありがたいが、ちょっとサプライズの様な感じにしたいのでバレるのは少しばかり困るというのもあった。だがそれを教える訳にはいかない。

それでもティアはまだ諦めていないようだった。


「でも、手伝った方が早く終わるでしょ?」


「ティアが手伝おうとしてくれるのは嬉しいよ。でもそれだと俺の立つ瀬が無くなっちゃうだろ? それにこの波も後一時間あるかないだろうから、ティアは席で待っててくれ。頼む」


「はあ、‥‥分かった。それじゃあ私は一足先に待たせてもらうとするわ」


「悪いな」


ティアは尚も言いつのろうとしたが、ティアに手伝われては今日の目的からすれば本末転倒もいいところので、いくら言っても俺が折れないのが分かったティアが折れてくれたので俺はお礼を言うのと、おばちゃんが姿を現すのと丁度同じタイミングだった。


「おばちゃん、席の方はどうだった?」


「ちょうど空きが出来たよ。それでどうだい、話の方は終わったのかい?」


「ああ。大丈夫だ」


「それなら、ほらこれを付けな」


「ありがとう」


そう言っておばちゃんが渡してきたエプロンをお礼を言いつつ受け取り、手早く身に着ける。


「それじゃあ俺は厨房に行くから、ティアを席に案内してあげてもらえるか?」


「分かってるよ。えっとそれじゃあティアちゃんだっけ、席に案内するよ」


「すみません、よろしくお願いします。あ、それと私の事もシルバーと同じように呼び捨てでいいですよ」


「あら、そうかい? それならティアと呼ばせてもらおうかねぇ」


っと、まるで孫とおばあちゃんといったように早くも打ち解けて仲良さげにおばちゃんはティアと話しながら席の方へと案内していく。


(よし、気張るとするか)


そしてその様子を確認した俺は、戦場となっている厨房へと足を踏み入れたのだった。





そして、一時間後、頭を酷使したせいなのだろう、少しばかりの頭痛と戦場を戦え抜いた事による僅かな倦怠感を感じながら、ティアの居る席へと辿り着いていた。


「あ、戻ってきた」


「悪かったな。待たせて」


「いいよ。それじゃあ大分待ったけどお昼ご飯を食べようか」


「ああ。そうだな。おばちゃん。頼む」


「はいよ~」


おばちゃんに声を掛けると、おばちゃんは二つの皿を運んで来てくれた。


「はい、おまちどうさま。まずは前菜の野菜のスープからどうぞ」


「あれ、私達まだなにも頼んで…」


「ああ。実はシルバーから事前にこういうのを頼まれて作っておいたのさ。所謂スペシャルメニューってやつだね。さ、冷めないうちに召し上がれ」


「赤い、スープ?」


そう言っておばちゃんがスープの入った皿をテーブルに置くと、皿から野菜特有の甘味に香辛料の香りといった、如何にも食欲を誘ういい香りが鼻孔をくすぐり、俺は迷うことなく、ティアはスープの色が気になっていたがそれぞれスプーンを手に取り、紅玉の様に赤いスープを掬い、口に含む。

するとまず最初に訪れたのは優しい酸味だった。そしてその後に続く様にして一緒に煮込まれたであろう様々な野菜の旨味が口の中一杯に広がる。


「わあ、このスープ、凄く美味しい!」


「それは良かったよ。それじゃあ次はこれだね」


一旦厨房に戻ってきたおばちゃんが持つ皿の上にはよくありがちなサンドイッチが二つ乗っていた。


「それは、サンドイッチですか?」


「まあ、食べてみれば分かるさ」


意味深なおばちゃんの言葉に早くも綺麗にスープを飲んだティアは不思議そうな表情をしながらもテーブルに置かれた皿の上のサンドイッチを手に取り、一口食べて飲み込む。


「お、美味しすぎるッ!」


そう言うと手にしていたサンドイッチをまるで早送りしたかのように瞬く間に食べてしまった。


「なんですか、このシャキシャキの野菜もさることながら、中に挟まれているお肉の柔らかさは! こんなお肉今まで食べた事ないです!」


「ああ、それは良かったね」


ティアの言葉に嬉し気におばちゃんはそう言い、そうしている間もティアの手は更に乗っていた残りのサンドイッチへと伸び、これも瞬く間に食べきってしまった。


「‥‥‥‥」


「はい、お替わりはあるから、たんと食べな?」


「あ、ありがとうございますぅ!」


こうして、待たされたて空腹だったことと、見た目は知っているはずなのに食べた事が無い料理、その美味しさにティアの手は止まる事がなく、しかしそんなティアを俺は嬉しく思ったのだった。



どうにか、二週間以内に投稿です(多分大丈夫なはず)次回の話でティアとの話(息抜き的な話)は終わりにして、いよいよ話が前に進みます。

取り敢えず、その部分に関しての構想は出来ていますので、手早く書いて投稿できればと思います。

ですが、もう1つのやつがちょっとばかり不味いので少し遅れる可能性があります。申し訳ありません。

今話も少しでも楽しんで頂けると幸いです。また戦闘を楽しみにされている方、もう少しお待ちしていただけると幸いです。

最後にですが、誤字脱字、違和感のある箇所などあれば、ご報告していただけると幸いです。次回も二週間以内で投稿を目指しています。

それでは、失礼します。

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