第七十七話 「攻略、開始です」
間が空きましたが、それでも少し、話が先に進めました。(文字量も増やした…)
けど、正直に言いまして、なかなか上手く纏まってくれないです…(スランプかな?)
八月一日に改稿を致しました。それに伴い、文字量が幾分か減ってしまいました…無念。
まず、謝罪を。時間がかかってしまい、申し訳ありません。現在次話に取り掛かっています。楽しみにされている方。申し訳ありませんがもう少しお待ちください。
そして、そんなこんなありながらもヴァルプルギス魔法学院の地下、巨大な結界の内部に作られた人工の迷宮、その第五層へと辿り着いた俺たちは五階層より更に下、第六階層へ行くための門番にして五階層の階層支配者である黒い牙を持つ黒牙猪の魔物黒牙猪と戦っていた。因みに第二階層の階層支配者は体長凡そ四メートル。口から毒を吐く芋虫の魔物であるポイズンワームで、ティアの剣によって両断され、続く第三階層では麻痺の効果のある鱗粉をまき散らす蝶の魔物であるレームングバタフライで、俺とフェイの魔法で翼を壊し、飛べなくなり地面に落ちた所をレオンとティアが攻撃を加えて倒し切った。まあ止めを刺す際にレオンが鱗粉を浴びてしまい、十分程身動きが取れなくなってしまうという事もあった。
それでも、四回も階層支配者を倒したお陰だろう、全員の動きは最初に比べてかなり良くなっていた。
「レオン、その黒牙猪の動きを止めろ!ティアはレオンが動きを止めた直後に足を斬りつけてくれ!」
「おっしゃー!」
「分かったわ!」
俺の指示で、レオンは身体強化魔法を発動させると、その射線上にてどっしりと受け止める構えを取り、その後ろにティアが剣を抜いた状態で何時でも動けるように身構える。その様子を確認した後、俺の隣にいたフェイへと声を掛ける。
「フェイ、俺と一緒にティアが黒牙猪に傷をつけたその傷に魔法を撃ち込んでくれ」
「了解。まずは足を止めるってことだね!」
「ああ!…来るぞ!」
後ろ足で地面を掻いていた黒牙猪は、一直線にレオンへと向かって突進していく。
端から見れば、体格の差は歴然であるが、レオンは逃げる素振りは全く見せない。それはあたかも鎮座する巨大な岩のようだった。そして、黒牙猪とレオンは正面からぶつかり合った。
「BMOOOOOOOOッ!」
「くっ、オオオオッ!」
まるで、大人と子供の相撲取りのような絵図のなか、レオンは最初こそ勢いに押されたがどっしりと構えていたお陰で、押された距離は二、三メートル程で、しっかりと受け止めていた。そんなレオンの体には白いオーラのようなものが体から立ち上る。それは発動させた身体強化魔法の光だった。
「ティアッ!」
そして、レオンがしっかりと受け止めたことで、ティアに指示を出すとティアが動き始めた。
「行くよッ!」
レオンと同じく、白いオーラを足に纏わせると、まるで掻き消えるかのような速さでティアは移動し、その姿は黒牙猪の後ろへと移動していて、足を斬られたせいだろう、黒牙黒牙猪は僅かに体勢を崩す。
「後は、お願い!」
「任された! 行くぞ!」
「おう!」
ティアの声に答えた後、俺とフェイはそれぞれ黒牙猪の左右に移動していく。
使う魔法は鋭い切れ味を誇る風の刃を打ち出す風魔法『風刃』で、俺は無詠唱で発動させた二つの『風刃』をティアが斬りつけた黒牙猪の、人で言うところのアキレス腱へ、反対ではフェイが火魔法【火刃】をほぼ同時に撃ち込む。
「BMOOO!?」
足に深いダメージを受けた影響で黒牙猪は体勢を更に崩し、膝をつく。そんな膝をついたその黒牙猪の前に飛び上がった一人の姿があった。レオンだった。
「ぶっ飛べぇぇぇ!」
先程よりも激しく身体強化魔法を発動させたレオンの拳による一撃が黒牙猪の眉間へと突き刺さり、その巨体が吹き飛ぶ。そこに追撃を掛けるもう一人。
「ハアアアアァァァァ!」
「BMOOOO…」
飛び上がり突き刺したティアの剣は、黒牙猪の眉間に深く突き刺さり、それがトドメとなったのか、小さく声を上げた後、黒牙猪の体は消滅した。そして、僅かな静寂の後。
「「やった~~!!」」
ティアとレオンは両手をあげて喜び、
「ふう、どうやら今回も上手くいったな」
「そうだね。やっぱりポジションもそうだけど、視野が広い君の指示のお陰で、ずいぶんと戦いやすいよ」
「それなら、良かったよ」
俺とフェイは互いに小さく息を吐いた。フェイが言ったポジションとは、敵を引き付ける前線である前衛、前衛を援護する中衛、そして中衛と同じく援護をしつつ指示を出す後衛を俺の提案でそれぞれ分けたことだった。
なにかと息が合うが喧嘩ばかりするレオンとティアを前衛に。前線の援護をする中衛にはフェイ。そして、指示を出す後衛には俺が担当していた。
当初、第一階層で戦った際、元々前世でしていたバレーで、後ろから見て予測などを伝えていたりという技術を磨いていた事と、風を視る者による視野の広さが組合わさり、かなり戦況を視ることが出来ていることから、自然と俺が後衛の指示を、一方、現状は近接でしか戦えないティアとレオンは前線で抑え、数を減らし、援護としてフェイに魔法を撃ち込んでもらうと戦いを第二階層から始めて、五層に到達し、迷宮に入っている時間は凡そ四時間ほどが経過した。
そんななか、レオンが服に付いた埃を払いながら口を開いた。
「いやー、それにしても入った時はどうなるかと思ったけど、案外と余裕だな!」
「それは、アンタの自業自得よ。偶然とはいえ、人の下着を見たんだもの。寧ろあの程度で済んで良かったと思いなさい」
「いや、確かにパンツを見たのは悪かったけど、赤の下着を履いてたお前も悪いんぐっ!」
「レオン。アナタもう一度、壁に向かって飛んでみたいのかしら?」
「いえ、もう結構です‥‥」
一度のみならず、二度もパンツの事をバラされたティアは身体強化魔法を発動させた手でレオンの顔をアイアンクローして黙らせた、ティアの顔には青筋が浮かんでいて、その様子を見て命の危険を感じたのか、プラーンと力なくぶら下がっていたのだった。
(あー、そんなことあったな…)
そんな二人を見つつ俺は。迷宮に入った時、恐らくディアネルが仕掛けた罠に起こったトラブルを、今から四時間前の迷宮第一層に入った所で起きたある出来事があったのだった。
まあ、それは今は脇に置いておこう。ティアに感付かれれば俺もレオンと同じようにされてしまう可能性があるからだ。とそんな事を考えていると、レオンへのお仕置きを終えたのだろう、いつの間にかティアが近くに来ており、ティアの後ろの方では、アイアンクローされてぐったりとしているレオンの肩を叩いているフェイの姿が見えた。
「ねえ、早く次の階層に行きましょ?」
「そうだな…」
そう言いつつティアの後ろを見ると丁度、レオンがフェイに肩を借りる様にして立ち上がるところで、フェイに視線を向けると大丈夫という事なのだろう、フェイが頷いたのを確認して、次の階層に行くことを決めた。
「よし。それじゃあ次の階層に行くか」
「じゃあ、早く行きましょ」
「おいおい…」
俺はティアに引っ張られるようにして、レオンはフェイに肩を貸してもらった状態でそれぞれ階層支配者が立っていた場所に出現した魔法陣の上に乗ると、もはや通算五度目の迷宮内に転移させられた時と同じ光に包まれる。
そして、時間にして五秒程で光は晴れ、視界が慣れてみたあたりの風景は、緑豊かな木々と草が生える森林だった。
「へえ、第六階層からは森林エリアって事なのか」
「凄いね。これが迷宮内部である事を考えれば、もう凄いしか言葉が出てこないよ」
確かに、迷宮内にこれだけのものを展開してもなお、まだ先があるというのだ。流石は大陸でも有名なヴァルプルギス魔法学院の学院長ディアネルと、素直に称賛出来る程に凄いものだった。それでも、子供っぽい仕掛けたりするからさほど尊敬できないな、と俺は内心で
思っている間、レオンとティアもしげしげと緑豊かな周りを見回していた。そんな時、レオンのお腹から空腹を知らせる音が響き渡った。
「あ、あははは。悪い。流石に腹が空いちまったみたいだ」
恥ずかし気にお腹を押さえるレオンを見て、俺自身もかなりの空腹を覚えており、丁度階層支配者も倒し終えて新しい階層に来たのだ。区切りとしてはちょうど良いのではないかと思い、俺はティアとフェイに尋ねて見ることにした。
「ま、それは仕方がないだろうな。結構魔法を使ったからな、それと確かそろそろお昼頃だろうからな。一端攻略はここでやめて、昼食を食べる事にしたいんだが、どうだ?」
「賛成~!」
「僕も異論はないよ」
「俺も無いぜ!」
「よし。なら一旦、迷宮を出るか」
全員の意見が纏まり、俺達はこの階層に降りるためについ先程使った魔方陣の上へと乗る。すると魔方陣が淡い緑色に発光し、やがてその光が俺達を包み込む。そして、光が収まると、そこは迷宮に入るために使った門へと戻ってきていたのだった。
今話は、最初に五階層のちょっとしたレオンとティアの成長がわかる戦闘と、成長前の話、そして、第六階層に関して少し書けれたかと思います。ですが、最近上手く書けている自信が余りなく(元々あまりないのですが)読みづらいなどあれば、本当に申し訳ありません。
…謝罪はここまでにしまして。次話に関してなのですが、もう少しして、出来れば次話辺りから話を動かします。
どうなるかは、どうか楽しみに待っていただけると幸いです。
長くなりました、今回はこれにて失礼します。どうか、少しでもこの作品を楽しんでいただけますと、幸いです。次回の投稿は二週間以内で出来ればと思っています。それでは、どうか、また次話で。




