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第七十五話 「特訓です」

いつもと違う時間にすみません。その原因は、予約投稿が出来ていなかったことのようです。(おかしいな…)取り敢えず、どうにか、書けましたので、投稿です。(特訓…いやな思い出が(ガクブル)

七月七日、終わりの部分を少し書き換えました。すみません。

 フェイからの紹介で出会って、凡そ一週間が過ぎ、いつも通り起きた俺は、いつものようにエルたちと鍛練をしたのだが、そこに一週間前から参加し始めたティアとレオンの姿があり、ティアは俺に気が付いたのか手を上げて挨拶をしてきた。


「よろしく~!」


「ふあぁぁぁ~」


「って、ちゃんとしろ!」


 ティアは元気よく挨拶をしてきたのだが、レオンは朝に弱いのか、その隣で大きな欠伸をしていたのだが、それに気づいたティアがレオンの頭を叩き、


「痛って! いきなり叩くなよ!」


 レオンは叩かれた頭の箇所を抑えながらティアに言い返し、しかし、ティアが反撃しないという事は、無かった。


「うっさい! 欠伸をしていたアンタが悪いのよ!」


「なんだと!」


「なによ!」


 それを皮切りに、二人はにらみ合いながら喧嘩を始めた、二人の様子を見ていた俺は思わず苦笑をするしかなく、それはこの場にいるエル達も俺と同じく苦笑と、何処か微笑ましさを滲ませながら見ていた。


「大体ね、一週間も経っているんだから、朝にいい加減に慣れなさいよ!」


「朝に弱ぇんだ、仕方ねぇだろ! それにこれでも努力してるんだぞ!」


「それは、貴方が腑抜けだからじゃないの?」


「言ったな。なら勝負してみるか?」


「いいわよ。やってやろうじゃない!」


 そして、見ている間にも二人はヒートアップし、なにやら今にも戦い始めそうな雰囲気がしだしたので、俺は仕方なく仲裁に入ることにした。因みにこれは、鍛練を始めて以降、知っている限りでは一日に最低一回は起こっていた。これは最早、喧嘩するほど仲が良いと言えるほどじゃないのかと思うほどだ。


 そして、それを示すようにこの二人、二体二のタッグ戦の時には互いの動きを邪魔しないように動くのだから、本当によく分からないのだ。


(やれやれ、本当に仲が良いのやら、悪いのやら)


 そう思いながら、俺は喧嘩を止める為の、今の二人にとって必殺といえる言葉を言う事にした。今にというのは、今後は効くか分からないから故だが。


「朝から元気だな。それだけ元気ならトレーニングの内容を倍にしても問題はないかな?」


「「ごめんなさい。それは勘弁してください」」


 ティアとレオンは先ほどの喧嘩が嘘みたいに仲良く声を揃って謝ってきた。思わずわざとやっているんじゃないかと俺は何度も疑ってしまうほどなのだが、実際喧嘩は良くしているが、本当に仲が悪い訳ではないようで、一種のコミュニケーションの様なモノなのだろうと思う様になった。


「なら、さっさと準備運動をした後に走り込みと筋トレをやるぞ。今日はいよいよ迷宮に挑むんだからな」


 俺の言葉を聞いてティアとレオンの表情はいい感じに引き締まり、雰囲気も変わった。


「いい感じだ。それじゃあまずは準備運動をした後、やるぞ」


「ええ!」


「おう!」


「迷宮に挑む」その言葉を聞いて二人がやる気を出した事に俺は頷きながら自分の体を解す為に準備運動を始めつつ、視界の端で同じく準備運動をしている二人を見る。


(最初に比べると大分、良くなってきたな)


 ティアとレオン。二人はこの一週間で体は眼に見えてではないが、幾分か鍛えられ、魔力操作に関しては最初に比べると明らかに洗礼されていた。

 そもそも、二人は身体強化魔法しか使えないが、身体強化魔法は単純故に、魔力の制御、操作能力がモノを言うのだ。


(にしても、ティアの家が剣を教えていたというのは、知らなかったな)


 ティアの家は、護身程度だが剣を教えていたのに加え、本人も剣を少しだが使えていた、身体強化魔法を軸に、力ではなくスピードを活かした戦い方を一緒に模索した。

 一方のレオンは身体強化魔法でも比較的肉体強度を上げるなどの防御が得意そうだったので、ルヴィにお願して格闘術と、暴力的だが、殴られ続ける事でピンポイントの強化が出来る様になったようだ。


 もちろん、それを聞いた瞬間、レオンは見た事がないまでの早さで逃走を図ったが、ルヴィによってすぐ気絶させられた状態で捕縛され、その後目を覚ましたレオンは逃げる事が不可能だと思い知らされた、悲しい程に表情が死んでいて、その後の様子は、まあ察してあげて欲しい。

 そんな事を考えながら、俺はエル達にある事を尋ねた。


「それで、そっちは攻略の方は、どうなんだ?」


「順調」


「私達も、エルさんほどでは無いですが、順調ですよ!」


「そうか」


 俺の質問にエルとリリィが代表して答えてくれた。俺達は学院長より直々にパーティーを組んではダメです。との命令を受けていたので、それぞれ別々のパーティーを組んだのだ。


 そして既に迷宮が解放されて一週間が経った現在、エルはルヴィはクラスメイト、そして騎士科の女子とパーティーを組み、現在二十五階層まで攻略しており、一年にして迷宮最速攻略者として注目を集め、一方エル達ほど早くはないが、リリィとレティスも同じくクラスメイト、騎士科の女子でパーティーを組み、十三階層までを確実に攻略していた。

 そして分かるように、俺達のパーティーは未だ、迷宮にすら踏み込んでいなかった。もちろんその理由をフェイには説明し、本人にも納得してもらっていた。そしてその理由は俺が今日、迷宮に挑むといった理由、それはある程度は大丈夫だろうと判断したからだった。


(後は、実戦で慣らしていく方が良いだろうからな。それにそろそろストレスも溜まっているだろうからな)


 そう。実際、迷宮が解放されて一週間が経っているのに、迷宮に一度も潜っていないのは、俺達のパーティーだけで、他は程度の差はあれ、一度は迷宮に潜っていた。そしてそんな状況下であれば、周囲からの視線や陰口などがあり、ストレスが溜まるのは致し方がない事で、模擬戦をしていたのは実力を身に着ける為と、ストレスの発散が目的だったのだ。


(…まあ、個人的に言えばストレスによる苛立ち等、自らの感情をある程度制御出来る様になって欲しかったのだが。)


 実際、怒りなどの感情に任せて魔法を使えば、隙が出来る可能性が十分に考えられたからだったのだ。


(でも、流石にそこまでは難しいよな)


 俺は、まあ、小さい頃から虐められる等、色々な事があったお陰(影響?)もあってか、ある程度は感情を制御する事が出来るようになったのだ。


(……改めて思うと嫌な副産物だ)


 そんな事を考えながら準備運動を終えると、俺達は本格的なトレーニングへと移り始めた。まず初めはランニングからだ。取り敢えず一周五百メートルほどあるので、凡そ五周ほど走る。もちろん、ただ走るだけでは意味がないので、所々エルに頼んで地面を【土魔法】『大地変化(エルデ・シズモス)』で地面を隆起させたり、柔らかくしたりと変化させていた。もちろん地面は鍛錬が終わった後『大地変化』でちゃんと元に戻している。


「よし。それじゃあ、行くぞ」


「「「「おお~!」」」」


「おー」


 俺の号令のもと、俺達は走り始め、最初はごく普通の整備された場所を走っていたが徐々にデコボコへと変化し、足全体に適度な負荷が掛かるのを感じ、それを乗り越えると今度は砂の様に柔らかくなり、踏みしめた個所から足先が飲み込まれるように力が分散するのを感じながら走り続け、やがて地面は再び硬く整備されたものへと変わる。これをあと四周ほど繰り返すのだ。


(にしても、やっぱり砂の場所はきついな)


 山などの足場の悪い所を走り慣れた俺でも、砂の部分をなかなかにきついものがあった。先程も言った通り、踏み締めた場所から力が逃げて行くので、走るのはかなりきついのだが、足腰とインナーマッスル、更に膝や関節への負担を軽減する事が可能となるらしい。


(ふぅ、砂場が足腰を鍛えるのに最適なのは知っていたが、同時に俊敏性を下げるというのを知った時は驚いたな…)


 そう、砂の上を走るのは良い事ばかりではなく、敏捷性、即ち瞬発性が下がってしまうという調べた覚えがあったので、平地で瞬発力、山岳そして砂地では下半身全体を鍛える事が出来る様に考え、全体的にバランスよく鍛えられるようにしたのだ。(別名、ハードともいう)

 そして一周を終えて後ろを見ると、エルやリリィ、ルヴィやレティスはまだ涼しい顔だったが、その後ろを走るティアとレオンの額には少し汗が浮かび始めているようだった。


(俺でもキツイから。二人も相当だろうな)


 だがもちろん、俺は鬼ではないので、最後まで魔法を使わずに走り切れというのではなく、あと一周と半分を走った後は身体強化魔法(ボディエンチャント)を発動させた状態で走り切る様にしていた。

 戦いの際、戦う場所を選べることはほぼ無い可能性が高いため、その環境に瞬時に適応できる適応能力と余分な魔力を使わない様に魔力操作の技術を鍛え高める目的もあった。

 だが幾ら後半魔法を使っていいとはいえ、このままでは、前半に酷使された筋肉は翌日悲鳴を上げて筋肉痛になる可能性は高いのだが、そこに関しては既に解決済みだった。

 言ってしまえば、ファンタジーと言えるその方法とは、【水魔法】『治癒ヒール』を施す事か、身体強化魔法で、肉体の自己治癒能力を強化させる事で、治るのだと本を調べて知ったリリィから教えられ、俺は納得と驚く事しか出来なかった。


(まさか、回復魔法や身体強化魔法で自己治癒能力を強化できるとは…)


 盲点といえばそうなのだろう。筋肉痛はいわば、使っていなかった体の筋肉を使った結果、疲労が溜まり、傷ついているので、そこに回復魔法を掛ければ効くのは、確かに理にかなっていた。いわば傷を瞬時に治すのが回復魔法という魔法なのだから。

 そして、一方の身体強化魔法を使っての自己回復能力を強化しても治す事が出来るが、こちらには限界がある。それは回復魔法の様に、瞬時に治らないという事だ。あくまで自己回復能力を強化で、傷が治りやすくなる程度のものだという訳だ。


 と、そんな事をしている間に二周目も終わり、あと半周で身体強化魔法を使って走るのだが、俺は、身体強化魔法を使わずに走ると決めていた。というのも一瞬にしてトップスピードへと至り、そのままはしるという技術の感覚を、より鮮明に体に、脳に感覚に覚え込ませるためだった。


(…ッ)


 二周半、その区切りを越えた瞬間、俺を除いた全員が身体強化魔法を発動させたのを感じ取り、俺は全身、全神経のスイッチを全て起動させ、走り始めて。


「あ」


 内に眼を向け過ぎていたせいだろう、上手く次の足が出ず、俺は派手にその場で前のめりに転倒したのだった…。

 結果的に、エル達は心配していたがさほど怪我などはしておらず問題はなかった。


「‥‥ぷっ」


「ぷっ、くっ、ちょ、ちょっと、レオン。笑わないでよっ」


「そ、それは、お前も…だろっ」


 しかし俺がこけたのを見て、ティアとレオンが密かに笑っていたのに俺は気づいていた。だが別に笑うのは別にいいのだ。だが俺に見えない様に密かに笑っているのは、若干イラっとした。なので。


(あとで二人には、説教タイムだな)


 その後、諸々のトレーニングを終えた後、二人に景気づけという意味と、若干(怒りの)仕返しを込めた少し本気で(二人は謝ってきた、もう遅い)二体一の模擬戦をして、その日の朝の鍛錬は終了し、傷を治した後、一旦それぞれ部屋に戻り、制服を着た後食堂に集合と伝えた後、俺達はそれぞれの部屋へと戻り、着替えた後、食堂へと向かい始めたのだった。

 …因みに、模擬戦を終えた後、ボロボロになった二人を回復している間、リリィからお叱りを受けたという事を、ここに追記しておく。

今回は、タイトル通り、まさに特訓ですね。

一週間でそこまで、劇的にレオンとティア強くなっているわけではありませんが、回復魔法で傷を癒せるので、かなり無理をしても大丈夫になってます。(流石魔法というファンタジー)

そして、次回はいよいよ迷宮に挑みます。出来れば、成長したレオンとティア、そしてリフェルトの戦いを書けたらと思っています。

私事ですが、PV二十八万、ユニーク五万突破してました。本当にありがとうごさいます。

長く長くなりました。少しでもこの作品を楽しんで頂けると幸いです。また誤字、脱字などおかしな所があれば、教えていただけると幸いです。

それでは、失礼します。

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