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第七十一話 「決着と閉幕」

戦闘シーンは一番苦労しました‥‥試行錯誤を繰り返して、ど、どうにか、大丈夫と思えるものが出来ましたので‥…投稿‥‥。またこの場を借りまして、評価、ブックマークをされた皆様方、本当にありがとうごさいます。

六月四日、読み返して、違和感を感じた箇所などを修正をしました。それによって少し内容を弄りました。(本当に少しですけど…)申し訳ありません。

アルザーネと俺は互いにその場から一歩も動かず、視線や僅かな体の動きによるフェイントを仕掛ける。

 この戦いでは、超近接格闘であるアルザーネ出来るだけ俺は剣を振る事の出来ない間合いに入れさせない事だ。


(まあ、入られたら、やばいだろうな)


 もし入られた場合、最悪滅多打ちにされるという可能性も否定はできないからだ。そう考えながらアルザーネのフェイントを潰しながらもこちらもフェイントを織り交ぜながら攻撃をしようとするが【獣化】した影響か、動物の直感とでもいうかのように即座に俺が突っ込もうとした動きを潰してきた。


(そう簡単にはいかないと思っていたが、想像以上だな…しまった!)


 その思考を読んだわけではないだろう、だがしかし、その時俺はアルザーネのフェイントを潰すのが僅かに遅れ、コンマ数秒程の隙がうまれてしまい、その僅かな隙にアルザーネは消え去っていた。

 それを認識した瞬間、俺は即座に自分の周囲を自身の神経を研ぎ澄ませる為に目を閉じる。

 視界を閉ざすことにより、五感の大半を占める視覚を閉じる事で他の四つの感覚が研ぎ澄まされより僅かな空気の流れや音に集中する事が出来るのだ。

 そしてアルザーネが姿を現すその瞬間を逃さない様に研ぎ澄ませる。その時、微かな気配を感じ取った。


(…左、斜め後ろ!)


 第六感といってもいいその感覚に突き動かされる様に体を右回転させ振る抜く様にして【ジョワユーズ】を左斜め後方へと振るう。するとその場に硬い物同士がぶつかったかのような鈍い音が響き、そこには【風渦】を纏わせた右腕で剣を受け止めたアルザーネが居た。


「へえ、見失っていたはずなのに、どうして私が後ろから来ると分かったのかな?」


「それは、第六感のお陰さ」


 まあ、具体的に言えば、一時的とはいえ【天叢雲剣】の力を憑依させている事によって肉体や感覚などが全体的に強化されているおかげでもあったが、第六感のお陰というのもあながち間違いではなかった。

 実際問題、前世でも主にスポーツ選手などに見られる、ごく稀に起きる現象を【既視感】、読んで字のごとく既に視たことのある感覚、とでも言える現象が起きるらしい。

 その現象とは色々あるが、例えば数秒先に相手がこう動くという頭の中で映像として流れ、実際に相手がその通りに動くという既に見た事のある映像の通りに相手がまたは事象が起きる現象の事だ。またの名を【既視感(デジャブ)】という。


 一説には、脳にある記憶自体が徐々に消えていくことと、脳が残っている記憶を組み合わせて、情報処理をしていることに由来するものがあるとかないとか。詳しい事は分からないが、話を戻すと、実際に、前世に俺も、このような体験を幾度となく経験したことがあった。

 恐らくそれと同じく今回は【既視感】と感覚を研ぎ澄ませていたことによる第六感のでアルザーネの動きを先読みする事が出来たのだろう。


「なるほど、ね!」


「っと!」


 アルザーネは俺の頭めがけて蹴りを放ってきて、俺はそれを一歩後ろに下がる事によってその蹴りを剣の腹で受け止め、衝撃を流す為に幾分か後ろへと後退を余儀なくされ、そうしてアルザーネと俺は再びにらみ合う。

 ここまで、僅か十秒に満たない時間だが、俺はそれ以上に時間が経ったように感じていた。そして、俺はその感覚を知っていた。


領域(ゾーン)に、入っているな)


 人が極度に集中しているときに起こる、相手の動きが遅くなる、または相手の僅かな動きから無意識のうちにその動作を予想できるなどが可能となる現象。

 今回は恐らく、アルザーネの動きを読もうとした事と、一時的に【天叢雲剣】の力を憑依させる為に集中したという二つの事が影響して【領域(ゾーン)】への入るきっかけになったのだろう。

 そして、領域へと入れたことは正直、ラッキーだった。【天叢雲剣】の力を【ジョワユーズ】へと一時的に憑依、力を解放してはいるが、解放してみて分かったが、カルアスと戦った際に【天叢雲剣】を用いての力の解放をした時と比べると、幾分ほど強化の度合いが落ちているように感じていたので、

 アルザーネ相手にはかなり苦戦するだろうと予想していたのだ。

 だか、そこに【領域(ゾーン)】が加われば、幾分かは有利に戦えるかもしれなかった。


(さて、それじゃあ、次は俺から)


 そう内心で呟きながら、もう一度、剣を体全体で隠すようにして構え、脚に力を込める。


(行かせてもらう!)


 踏み込み、脚に込めた力を、余すことなく解放した俺は一瞬にしてトップスピードへと至る。しかし不思議なのは力一杯踏みしめた地面が一切割れ、砕けていない事だった。

 しかし、その理由は単純だった。地面が砕けるのは、溜め込んだ力が地面へと分散、無駄にしてしまっているからで、だか真に力を無駄なく解放できれば地面が割れ、砕ける事はないのだ。


 音もなく、一気に加速した俺の早さが、自身と同程度の早さで接近してきたことに、アルザーネは驚きの表情を浮かべていた。


(驚くのは、まだ早いぞ!)


 音もなく一気にトップスピードに至るこの独特な疾駆(はし)る技術、その元は前世で好んで読んでいた某騎士の物語を描いたラノベ小説、その中の最強と呼ばれる剣士が使っていた技だった。

 この世界に転生して、強くなるためにこの世界でなら可能なのではと、思い再現することに挑んだのだか、元は空想上の技ゆえに、再現は困難を極めた。

 しかし諦めることなく、苦労と研鑽、研究を繰り返した。そして試行錯誤と研鑽をすること凡そ二年、研鑽と修練の果てに遂に体得できた、技術だった。そして、これを流用することで、その最強剣士の剣を、僅かだが模倣、再現することができた。

そして今から放とうとしている技はその技術と今の俺の剣技の中で最速の剣技の合わせ技。


(剣技)


 体で隠すようにしていた剣をまるでごく自然に、音もなくしかし一瞬にしてトップスピードへと至り、そのまま剣を振るう。それはまるで音もなく閃き、通りすぎる雷のような、一瞬の剣筋。


「【閃雷(せんらい)】」


 剣を振り抜くようにして通り過ぎ、一拍。直後その場にガラスが砕けたかのような破砕音が響き。その事にアルザーネも驚いた表情を浮かべていた。


「…えっ?」


 俺が放った斬撃は、アルザーネの腹部を横一文字に浅くだが、切り裂いていた。だがそれより驚くべきことは、アルザーネが剣の動きを先読みして腹部を守る様に三重に覆っていた風魔法【風渦】が全て砕かれた事だった。


(隙、あり!)


それに驚いているアルザーネを傍目に、俺は剣を止める事無く、続けて振り向く様にして、その動きで生まれる力も余すことなく剣に乗せ袈裟切りを放った。


「‥‥くぅっ!」


 呆けていても、危機感を感じ取り正気に戻ったのだろう、即座に、アルザーネは【風渦】を発動させると、剣を受け止めた。そして今度は【風渦】は先ほどと同じように破壊される事無く、互いに競り合う事になった。恐らく、【風渦】が砕かれた事によって念のために強度を上げた結果だろう。


「‥‥私の魔法が砕かれたのは、初めてだ」


 競り合っている状態で、アルザーネの眼は何処か、まだ呆けている、いや微かにだが何かに対する()()や高揚の色のようなモノが、その眼に見て取れた、ような気がした。その時俺は、何となく何かやらかしたような気がしたが、気のせいだという事にして現状の打開の為に頭を切り替える。


(‥‥後、一分程か)


 それは、一時的に開放している力を扱う事が出来る、限界時間だった。時間にして、凡そ五分。それがいまに発動させている力の開放の限界時間だった。そして一分とは、アルザーネに対してはあまりにも短い。しかしどうしようにも限界時間を伸ばすことは、まだ現状では不可能なのも、また事実だ。

 ならどうするか、答えは至極簡単。


(限界が来る前に、戦いを終わらせる!)


 だが、先程の一撃【閃雷】でも【風渦】を突破するも、アルザーネには僅かほどしか切る事が出来なかった。そして先ほどの二撃目を防がれた事から可能性として、次には【閃雷】を防ぎきるという可能性も否定はできない。なら次は防ぎきる事の出来ない攻撃をするほか、無かった。だが、その剣技は、今の状態と同じくまだ未完成で、正直不安は残る。


(けどまあ、どうにかなるだろう)


 そんな楽観的に考える事にした。そして、これが死闘であれば、提案せずに問答無用で試すのだが。


「なあ、互いに、次の一撃で勝負を決めないか?」


 だが、これは結界内での試験、言ってしまえば死なない戦いだ。なら、正面から互いに全力でぶつかり合った方が遺恨なども残らないだろうと、俺は考えたからだ。だが、場合によって、それは相手を馬鹿にしていると取られてしまう可能性もあった。だが俺のそんな心配は杞憂だったようだ。


「…いいだろう」


 アルザーネはまるで表情をわざと消したかのような無表情で頷くと、一足で数メートル程距離を取った場所へと移動し、拳を構えた。

 張り詰めた空気のなか、俺は【ジョワユーズ】を鞘に納め、居合の構えを取ると息を整える為に深く深呼吸をする。


(さて、上手くいくかどうか…)


 今からしようとしている剣技は、まず流れる様に抜刀、そこに加速を加えた斬撃を叩き込み、そこからさらに返す刃で最初に斬撃を叩き込んだ同じ場所に叩き込む、堅い防御の相手の守りを壊し、確実に相手を仕留める。それが今から成そうとしている技「(かさね)」だ。だがこの技は同じ場所に寸分たがわず、まったく同じ箇所に斬撃を当てるという事は困難を極める。

 動かない木を的に練習を繰り返していたが、動かない物であった場合の成功率は八割ほどだが、もし対象が動く場合は恐らく二割に届くか否かというほどにまで成功率は落ちてしまう。

 だが【領域ゾーン】と、力を解放したお陰で五感を含め、全体的に能力が上昇している事を加味すると、成功する確率は四割程に届く‥‥はず。まあ今更後悔しても遅いんだけどな。

 とそんな事を思いながら一方のアルザーネの様子を伺うとアルザーネは腰だめに拳を構えた状態でこちらを見て来ており準備は出ているようだった。

 そして互いにその場から動く事無く過ぎた時間、凡そ三秒、まるでひかれあう磁石の様に俺とアルザーネは互いに、ほぼ同時に地面を蹴り飛び出した。そうこうしている内に互いの距離はつまっていく。


(なにっ!?)


 俺は抜刀をしようと剣の柄に右手を添えた時、更にアルザーネが急加速するという俺は信じがたい現象を目にした。それは。アルザーネが、その場で更に急加速し、その動きは俺がアルザーネにさっき、見せた動きだった。


(あの僅かな時間の間に、覚えたとでも言うのか!?)


 俺でも再現、模倣をし、使いこなせるようになるまで二年を要したというのに、アルザーネはそれをこの僅かな戦いの間に体得したのだろう。だがまだ覚えて間もないせいだろう、体の動きと足の運びが悪く、地面を踏むごとに僅かに罅が生じている事から、力を完全に変換されていない事が分かった。

 だが不完全であれどその加速によってさらに一歩踏み込まれ、そしてそれはアルザーネの拳の間合いだった。そして近づいて気が付いた。その拳には圧縮された風が渦巻いているという事に。


風纏拳(ウィンド・ブロウ)!」


「くっ! 【無空双月】!」


 恐らく魔法と近接格闘術の合わせ技だろうと認識すると同時に、受けると拙いと判断し、予定を変更して剣を抜き放った。

 剣と拳、本来であれば一目瞭然の勝負、だがこの世界では魔法があり、風も時にはとてつもない強度を誇るのだ。その証拠に、アルザーネの拳と俺の剣は拮抗していた。だがそれ以上に厄介な事があった。


(…ッ! 予想していたが、それ以上だ。それに、これ程風が厄介だとわな!)


 そう、アルザーネの拳に纏わせた風によって剣が横に逸れそうになってなかなかに厄介だった。なんとか逸れない様にしてはいるが、そこにアルザーネが拳を押し込んで来るのだから、二倍に厄介だった。


(くそ、このままじゃ、押し切られる!)


 風によって剣が逸らされない様に注意しつつ力を籠めないといけないので、押されてしまうのは、必然といえるのかもしれなかった。そして押している事にアルザーネは何処か勝利を確信したような笑みを浮かべていた。


(くそっ!)


 抗っていたが、剣が風によって横に流されてしまい、アルザーネの拳が迫るなか、俺は体を屈め拳の下へと入り込み、それを最後に互いの影は交差し、体を包んでいたオーラが消えると同時に俺は倒れ、アルザーネの体が光に包まれた。魔力を削られ切ったことによる結界内からの強制転移の光だった。


「まさか。 返す刃を隠していたとはね…私の完敗だ。だがまた戦いたいものだな」


「…ああ。また、な」


 どうにか思い体を起こして消えていくアルザーネを見送り、アルザーネは嬉しそうな笑みを浮かべると光に飲み込まれて消えていった。


「あ~‥‥勝った…」


 アルザーネが消えた後、俺は最早起き上がる気力すらなくその場に寝転び、最後の、無意識の内にした動きを思い出す。あの時、アルザーネの拳の下に入り込んだ俺は、逸らされた剣を返す様に左へと切り払ったのだった。もちろん、当初に予想していた攻撃とは違うものになったが、それでも何とか限界前に勝利を得たとはいえ、正直、かなりの辛勝といったところだろう。


(今後は、徐々に鳴らして力の操作なんかと、色々とやっていかないとな‥‥っと)


 そう思っていると、体が、いや体だけじゃなく、辺り一帯が光に包み込まれ始めていた。それから分かる事は、この試験が終わるという事なのだろう。


(という事は、これで試験は終わりという事か)


 そう思うと、安心して気が緩んだせいだろう、徐々に眠りに落ちて行くように意識が曖昧になっていき、眼を覚ますと、俺は学院の治癒室と言う名の前世で言う保健室のベットに横になっていたのだった。

 最後こそ、締まらなかったが、こうして学院のクラス分けバトルロイヤルは幕を下ろしたのだった。

 

今回で入学の場面は終わりまして、いよいよ本編が動き始めます。実はこの話を書いている際、本当に一つも話が書けなかったのですが、ある友人と遊びに行って色々な事を話した結果、この話を書くことが出来ました。改めて、その友人に感謝です。

さて、話を戻しまして、次回は取り敢えず、学院生活と迷宮攻略の為にパーティーづくりの話を書けたらと思っています(あくまで、予定です)

さて、今回はこれで失礼します。どうか、読者の皆様が楽しんでいただけたら幸いです。またどうか次話を楽しみにしていただけますと幸いです。

最後にですが、誤字脱字等、違和感のある個所などあれば、ご報告をしていただけますと幸いです。

長くなりました。それでは失礼します。また次話でお会いできますように。

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