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第六十七話 「回想 クラス分けバトルロイヤル 前編」

本当に、時間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。

取り敢えず前編を投稿です。おかしな箇所などあればご指摘、よろしくお願いします。

メインの戦闘シーンは次話に持ち越します。申し訳ありません。

四月二十二日現在、もう一つの方に手がかかり、また内容を良くすために修正しつつ書いておりますので投稿が少し遅れます。本当に申し訳ありませんが、今しばらく待っていただけると幸いです。(本当にすみません

五月二日、現在六十八話の方の改稿作業をしています。その内容としてはこの話から登場したアルザーネの部分に作者として違和感を感じたので、その部分を弄っています。早ければ数日中に改稿したものを投稿します。

「風翼」で空をエルの近くにたどり着き下を見下ろすととそこには、緑豊かであったであろう地面は土が剥き出し、周りにあったであろう木はなぎ倒され、また焼かれて炭と化している木すらあり、その中で一人、エルだけが一人で立っていた。


(ああ~、これはまあ、一段と派手にやったな…)


 何となく、理由があってこうやったのだろうが、それでももはや、元の面影がない程に破壊に思わず何とも他人ごとのようにそんな事を思ってしまいながらそうこうしつつ、エルを見つけた俺は近くに降りる為に高度を落とし、【風翼】を解除し地面へと降り立つとエルがどことなくシュンとして、転移させられる前と今とを比べると明らかに元気なさげな感じで俺の近くに歩いてきた。流石に何となく予想が出来ていたがそれでももしおかしい所があったりしてもいけないので尋ねて見る事にした。


「どうしたんだ?」


「その‥…やりすぎちゃった…」


 敢えて周りを見ない様に気を付けて触れない様に意識を逸らしていたのだが、思いっきりエルの方からその話題に触れてきて、しかも恐らくだが後先考えずに魔法を撃ちまくった事で俺に起こられるんじゃないかと思いシュンとしていたんだろうなと何となく辺りが付いた。


「あー、ところであれだけ魔法を撃ちまくっていたが、疲れや魔力は大丈夫なのか?」


「‥魔力は、大丈夫。疲れも気にならない、けど」


 いいの? とまるで愛犬が見上げてくるかのようにエルが見てきたので、俺は頭を優しく撫でた。


「ああ、取り敢えず今は気にするな。余計な事を気にしてクラス分け試験で負ける、なんてシャレにもならないからな。まあ、全部が終わったら話を聞くが、それまでは気にしなくていいだろ。でもちゃんと話は聞くからな?」


「…分かった」



 取り敢えず俺の考えが分かったエルはそう頷き、一方の俺は問題の先送りにしかならないが、それでもエルが余計なことに気を配ったせいで負けるという事態は (あまり想像できないが)少なくとも回避できたかな、と思いながら風を視る者で辺りを索敵するとまだ少し距離はあるがここに近づいてくる気配が少なくとも四つ程確認できた。


「よし、それじゃあすぐ移動しようか。何人か近づいて来ているからな」


「‥分かった」


 俺の話を聞いてエルは頷く。まああれだけ派手に魔法をフルバースト(ぶっぱな)したのだから引き寄せられるのも致し方無いだろうと思いながら、このままはどうかなと思いある事をして行くことにした。


「なあ、エル。このまま逃げるとなんだかここに来る奴らに申し訳ないよな?」


「…そう、だね?」


 不思議そうに俺を見てくるエルはしかし俺に合わせて同調してくれた。


「なら、少しばかりの置き土産を置いて行こう」


 恐らく、いたずら小僧の様に、いや少しばかりそれより黒い顔をしていると自覚しながらも俺は微かに笑みが自覚しながらも浮かぶのを抑える事が出来なかった。




 先ほどエルが魔法のフルバーストで起こした派手な爆発が生じたその場所へは、東と西から一人ずつ、南と北それぞれ二人組が、合計して六人ほどが向かっていた。もちろん彼らが四方を囲む様にしてシルバー達がいた場所に向かっているのは全くの偶然で、彼らにはシルバー達の様に特殊な眼や魔力を感知する技術や感性を持ち得ておらず、また磨いていなかった。


 しかしそんな彼らでもあれだけ派手に魔法を撃てばその魔力の反応に気づき、あれだけの魔法を放ったのだ疲れて動けない所を襲い脱落させるのも、そして、確実に倒すために二人で行動をするのは確かに一つの手であり、戦略とも言えた。


「おい、そろそろだ。詠唱の準備は良いか?」


「ああ、大丈夫だ。高威力の魔法を撃ち込んで一撃で終わらせてやる!」


「意気込むのは良いが、外しても助けないからな」


 そんな事を話しながら、南から向かって来ていたのはシルバーと同じ学院の制服を身に纏った二人組だった。そして二人が互いに準備は良いかと視線で確認する。

 一人はくすんだ赤茶色の少年で、もう一人は同じく少年で、こちらの少年の髪は淡い土色の髪だった。

 二人は目的地に向かっていて偶然会っただけで、目的であるあれだけの魔法を撃ち弱っているであろう存在を倒すまでは共闘をするが、それ以降は再び敵同士という一時休戦状態であった。


 そしてこれらは彼らだけではなく、知らずに残りの西、北、東から向かっているこの二人は知らないが同じ様に互いに一時休戦しているだけに過ぎず、相手の隙をつくか、はたまた囮か盾にでも使い生き残ろうと虎視眈々と狙っており、それに意識を向けてしまったそれ故に彼らは誰も気が付かなかった。向かう先には派手に魔法を使い弱った魔法使いは既に居ないという、そもそも魔法が使える、中でも風が使えるのであれば空を飛んで逃げるという事が可能だという事を完全に失念していた。

 そして静かに森を進む中、淡い土色の髪の少年、ソイルが一時休戦し行動を共にし、先頭を歩いている赤茶色の髪の少年、ティザーへと声を掛ける。


「なあ。静かすぎやしないか?」


「ああ。だが魔力の回復する為に体を休めているんだろ?」


 大丈夫だろう、と赤茶色の髪の少年、ティザーは魔法を撃つために最適な場所を探す為にさらに森の中へと動き始め、一方のソイルはそうだろうか、と不安を感じながらもあいつ一人で倒れるのであればと思い直しティザーの後を追って行った。それがシルバーとエルが去り際に幾多もの置き土産、罠が仕掛けられた場所への片道切符だと知らぬままに。


「おい、そろそろ近くに居るはずだ。幾ら弱っていたとしても、何をしてくるか分からない。魔力の反応は動いていないが待ち伏せしているかもしれない。気を付けろよ」


「お前に言わなくても。そのくらいは分かってるよ」


 ソイルの忠告をティザーの切り捨てる様にしてそう言うと一足先に先へと進んでいき、ソイルは内心でそうかよと愚痴りながらも周囲を警戒しつつ目の前の開けた場所から動いていない弱弱しい魔力の反応のある先ほどの爆発の影響か森の中にしては少し開けている場所に少女と思しき人影がいる事を確認する。


「よし、それじゃあ今から三十秒後に俺が【ファイヤーボール】で攻撃して注意を逸らす。その間にお前は魔法で動きを封じてくれ。」


「ああ、分かった」


 ティザーとソイルはそれだけを話すとティザーは魔法を撃つのに適した狙撃ポイントの場所を探す為に動き出し、ソイルは詠唱をせずに魔法を行使する為に拾っておいた石に刻印を刻み始める。

 予め刻印を刻むことにより詠唱の時間を無くし、素早く魔法の展開が可能とする、それが元々の刻印術だからだ。

 もちろんソイルはティザーには土属性の魔法が使えるとだけしか伝えておらず、刻印術が使えるという事は、伝えていなかった。

 そして石に施しているのは刻印術は二つあり、一つは何かあった時の防御用、もう一つはティザーを倒す為のものだった。


(これで、油断した所を倒してやる)


 ソイルはそう思いながらも怪しまれない為に出来るだけ手早く石に刻印を刻み終えると、ここに来る前に話した作戦の通りに行動を始めた。

 ソイルとティザーが立てた作戦は至って簡単で、ティザーがまず狙撃地点を見つけるとそこで【ファイヤーボール】を標的である少女へと撃つ事で注意をティザーの方へと向け、注意が向いた瞬間【土魔法】が使えるソイルが【土鎖(ランドバインド)】で動きを拘束し、そこにそれぞれの最大威力の魔法を撃つ事で勝負を付けようという算段だった。


 そしてきっかり三十秒が経った時、少女のいた場所に向けてかなりの大きさの【炎球(フレイムボール)】が飛んで行き、しかしそれは防がれたのか、【炎球】は消失した。だが防がれたという事はティザーの方へと注意が逸れているに違いなく、ソイルは手早く相手の動きを縛る為に詠唱を開始する。


「大地よ、鎖となりて、形を成せ【土鎖(ランドバインド)】」


 詠唱を完成させ、眼で捉えている少女の足元の土を鎖のように変化させ、その動きを拘束する。もちろん先ほどのティザーの【炎球】の様に破壊される可能性もあったため、強度を増す為に通常の二倍の魔力を注ぎ発動させていた。そしてソイルには魔法を解除された感覚は無く、【土鎖】が破壊されず、拘束できたことを感覚として伝えて来ていた。

 その事を確認すると後ろから人の気配がし、見てみるとティザーが近づいて来ている所だった。


「どうだ?」


「ああ、大丈夫だ。魔力を多めに消費して発動させた。これで破壊される事は無いだろう」


「そうか、だがあれだけの魔法を放つ奴だ。時間を置けば俺達がやばい」


「そうだな」


 ティザーはソイルにそう言うと時間が惜しいとばかりに足早に歩いて行き、ソイルも幾ら魔力を多く消費して【土鎖】を発動させたとはいえ時間を与えれば壊される可能性は全く否定できなかったので必然と気持ちが逸る。すると自然歩く足が速くなり、地面に意識を向ける余裕はなく、開けた場所に出たと思った瞬間、ティザーとソイルは光に飲み込まれ、そして開けた場所を中心にそれぞれ北と西、そして東からこの場所を目指し、半径一キロ圏内まで迫っていた全員を飲み込んだ。


 何故このような大爆発が起こったのか、それは地面に【地爆(アースボム)】が簡易的だが刻印されており、まるで地雷原の様に辺り一帯仕掛けられていて、それが一斉に起爆した事によってこれ程の大爆発が起きたのだった。

 そしてその起爆の鍵となるのが、土人形の中心に仕込まれた魔石だった。

 ティザーとソイルたちがと制服を纏った白い少女、エルと見え、魔法を防がれたと勘違いしていたが、実はそれは人型の内部に仕掛けられていた魔石のせいだったのだ。

 見た目をシルバーの風魔法【蜃気楼(ミラージュ)】によってエルの様に見える幻が施された土人形の中心に仕掛けられた魔石内部には魔力は無い。


 だが疲れていて魔力を消費している様に見せかけるためには魔力を流し込み、一定時間経過後に地面に仕掛けた【地爆】が一斉に爆発する時限式にするわけにもいかず、更に人形内部の魔力が多すぎると逆に敵が警戒して近づいてこない可能性もあった。故に魔石内の魔力をほとんど抜き取った状態で埋め込んだのだ。

 (因みに使用した魔石内の魔力はエルの魔力回復に使用した)

 ならばあと取れる手段は魔石に魔力を流し込んで時限式で爆発させるのではなく、敢えて魔石内の魔力を一割ほど残して弱体化したかのように見せ、後は単純に相手が撃ってきた魔法から魔力を吸収し、起爆する様にしたのだった。


 そしてエルと一緒に会敵し、襲ってきた連中を残さず退場させながら進んだ俺達の元にも

【地爆】の連鎖爆発によって生じたその爆発音が響き渡り、それは仕掛けた張本人である俺自身はすぐに分かっていたのだが、仕掛けに掛かった事を素直に喜べる状況では無かった。

 何せ、ナトゥーア王国の第一王女殿下である、アルザーネ・クルィク・ナトゥーアを含めた俺達三人は一斉に囲まれてしまっていたからだった。元はちょっと話をしていたのだが、風を視るシュトゥムのスイッチをオフにしていたせいもあっただろう、気づけば周囲を囲まれてしまっていたのだった。


(やれやれ、何ともまあ、随分と警戒されていたようだな。このお姫様)


 まあ、二つ名も物騒なものだったしなと、そしてそれに完全に巻き込まれている自分の今の状況に内心で思わずため息をついたが、それも致し方が無かった。何せ、三人に対して敵の数は風を視るシュトゥムでざっと影を潜めている者を含めるとこちらの二十倍、およそ六十人がこの場にいるのだった。そして恐らく逃がしてくださいといっても逃がして可能性はゼロでは無いだろうが、あっても0.1%程度だろう。そして何より。


「さて、結果的にお前たち巻き込んでしまったが、むしろお前たちの実力を見れると考えれば悪くはないか?」


 戦いなれているのか隙無く、力みもなく自然な状態で立ち、視線を俺達に向けないまま品がある程度に口元に笑みを浮かべていた。

 それは傍から見れば俺達がどう戦うのかを楽しみにしている笑みだと隠す事もなく俺達に告げて来ていた。


「はあ、厄介な奴に眼を付けられたもんだ。‥…エル。いいか?」


「大丈夫。行ける」


「分かった。それじゃあ仕方がない。一暴れするか」


「「「「「おおおおおっ!」」」」」


 俺のその独り言を聞いてか聞かずか、結果的にそれが徒党を組ん奴らとの、クラス分けバトルロイヤル最大級の戦闘への幕開けとなったのだった。


今回の話はまあ、エルとの合流と大乱闘の開幕の辺りまでを書き出しました。

まず、投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした。書きたいことを考えているとなかなか書いても修正を繰り返していたので、想像以上に時間がかかってしまいました。

まず言わせてもらいますと、次回はもっと本格的なシルバー達の戦闘になります(確定)

リリィ達の戦いも組み込んで書く予定なのですが、ご要望などがありましたらリリィ達の戦いなども本格的に組み込もうかと考えていますのでご意見をよろしくお願いします。

では、どうか読んでくださいました皆様、どうか次話を楽しみにしていただけるととても嬉しいです。

また誤字脱字などの御意見、よろしくお願い致します。次回の投稿は今まで通りで二週間以内に出来ればと思っています。

それでは、また次話でお会い出来れば幸いです。

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