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第六十六話 「回想 入学式」

最初に言います。前回のは冗談では無かったのですが、本当に話を繋げるために回想がもう少し続きそうです!本当にすみません。(正座)

四月十二日現在執筆の為に格闘中です。どうにか来週の頭辺りに投稿を出来る様にしています。お待たせしている皆様、本当に申し訳ありません。

 

 学院の試験を無事突破したその二日後、俺達は昨日宿に届けられた藍色の学院の制服を身に纏い、学院の中で一際大きな講堂へと来ており、そこには既にかなりの人数の人が集まっていた。


「おおっ! 流石は大陸で有名な魔法学院、思っていたい以上に色んな奴が居るな」


「うん、本当に」


 一塊になっている俺達の周りには同じ制服を身に纏った、試験を突破した人間でひしめき合っていたが、その中でも違いというものは存在し、なかでも見かけるのは護衛と思われる恐らく王族と思われる奴だった。


(なんとまあ、過保護なことで)


 俺の中の価値観では、死ぬ時は死ぬのだと割り切っている部分がある。その為、最低限自分の身を守れるように力をつければいいと俺は思っていた。もちろん、護衛を馬鹿にしている事は断じてなく、生存率を上げる為に護衛を付ける必要性も理解しているつもりだ。


 とそんな事を考えながら更に周りを見ていると、同じく護衛を連れているがそれ以上に特徴のある少女が見えた。身長は146㎝程で、髪は白金、眼は緑金色、瞳は獣性を示すかのように縦に割れており、制服の上からではよくは分からないが、見た感じの印象はしなやかさと身軽さを持ちながらも、どこか気高さを感じさせるもので、しかし何より俺の眼を引いたのは彼女の頭に生えているある猫科の特徴がみられる耳だった。


(あの耳は‥‥虎、いや獅子、というよりはなんとなく豹のっぽいから豹の獣人か?) 


 そう、彼女の頭部に生えていたのは、地球では百獣の王の異名をもつ獅子も属する猫科の耳のようで、腰の辺りには尻尾もあった。


「義兄さん、あれって」


 俺と同じく彼女が見え、同じことを思ったであろうリリィがそう声を掛けてきて俺もそれに頷く。


「ああ、恐らく獅子か、豹のどちらかの獣人だな」


「はい、綺麗な髪ですね~」


 と俺とリリィがそんな事を話している横でレティスも俺の視線を読んで彼女を見ると納得したかのように声を上げた。


「ああ、アルザーネ殿下じゃないか」


「なんだ、レティスはあいつの事を知っているのか?」


「ああ」


 レティスは知らなかったのか? と見てきたので俺は素直に頷く。


「なら、ちょっと講義してやろう。この大陸に獣人の国があるのは、知っているだろ?」


「ああ、大陸最大国家ナトゥーア王国だろ?」


 グランブルム大陸では人間だけではなく、ファンタジーに登場してくるような様々な動物の身体的特徴を持つ種族、それが獣人だった。まあ、龍人がいる時点でいてもおかしくは無いのだが、俺は今まで獣人をこの眼で見た事が無かったが、それでも獣人の国はあるというのは流石に知っていた。そしてそれを確認したレティスのミニ講義は続く。


「ああ。彼女はナトゥーア王国現国王である獅子王の第二息女にして第二王女であるアルザーネ・クルィク・ナトゥーア殿下だ。別名は【疾風狂乱】だ」


「【疾風狂乱】とは、また物騒な二つ名だな…というか親は獅子だったんだな」


「ああ、それで彼女は獅子である父親より、母親の方の豹の特徴を強く受け継いだようだ」


「そういうことか」


 レティスの口から語られたアルザーネ・クルィク・ナトゥーアこと、アルザーネ殿下の父親が獅子である事が分かると、何処と無く気高さが混じっている事に俺は納得した。

 だが彼女(アルザーネ殿下)の二つ名が少々物騒なものなのは変わりがない。なので気になった二つ名に関して、その由来について聞こうと思った時、しっかり、いやキッチリと服を身に着け、ややキツメな目に眼鏡を掛けた一人の女性が壇上に上がると口を開いた。


「これより、ヴァルプルギス魔法学院の入学式を行います。進行は、ヴァルプルギス魔法学院副学院長、シヴィアが務めさせていただきます」


 シヴィア副学院長の進行の元、俺達の入学式が始まったのだが、正直言って前世の入学式と大差が無かったので、ここは割愛する。


「それでは最後に、この学院の長であるディアネル学院長から一言いただきます。」


 そうして式はつつがなく進み、いよいよ最後の学院の長であるディアネルから挨拶となり、壇上に、一人のエルフの男が上がると、周りから小さい畏怖と喜びの声があがり、しかしそれは当たり前でもあった。


「ようこそ魔法使いの卵たち、魔法の学び舎である我がヴァルプルギス魔法学院へ」


(あいつが、大陸最高峰、ディアネル・シルクードか)


 ディアネル・シルクード、エルフにして大陸最高峰の火を除く三属性の魔法を使いこなす天才。本気を出せば地形すらも変えてしまうといわれる最強と云える男だった。にしても、と俺はそんなあった事ないはずの男に何処となく知っているような気がしていた。


(なんだろうな、あの雰囲気、どっかで見た気がするんだよな…)


 何処でだったかな、と思い出そうとしている間もディアネル学院長の話は続く。


「以前までの学院であれば、実力を持たない者がはびこっていた我が学院だが、今では家柄でも、権力でもなく、己の実力で示せるようになっている。だから皆、身分にとらわれることなく、ここでは自分の力に驕る事無く、互いに研鑽し、競いあってくれ。それが君たちの更なる成長への糧となるだろう」


 ディアネルの演説は俺達にとっても確かにそれは有益な事だった。強者と戦うだけでなく同年代と力を競い、更に考えるのは確かに良い経験となる事は間違いなかった。

 そしてディアネルの演説に声を上げる者達もおり、ディアネルはそれを手ぶりで納まる様に促し、やがて声が納まると、まるでこれが本命の様に笑顔を浮かべる。


「よし。では高説を語るのはここまでにして。今から君たちには勝ち抜けバトルロワイヤルをしてもらおう」


「「「「「「え?」」」」」


「君たちがする事はいたって単純だ。この学院は競い、自らの力とする学院だ。ならばこそ、クラス割もおのずと自らの力が競える者同士が同じ教室になった方が良いからね」


 笑顔でディアネルが口にした言葉には、先程声を上げていた奴らも驚きの表情を浮かべていた。まあかくいう俺は何となくあの笑顔を見た瞬間に、あ、これ何かやらかす類の笑みだ、と思ったので、さほど周り程の驚きは無かった。


(にしても、勝ち抜けバトルロワイヤルとは、また過激な)


 エルフってこんなだっけ、と何となく思ったが、もしかしたら長命な種族であるエルフは娯楽にも飢えていたのかもしれない、と。思い直すことにした。ディアネルみたいに他のエルフが戦闘種族のようか感じだと、儚い印象のあるエルフという幻想が崩れてしまいかねなかったからだ。

 そして俺がそう思いこませている間にもディアネルの動きは止まらない。


「ああ、特別な結界を張るから怪我の方は心配しなくて大丈夫だけど、怪我をすればその分魔力が削られるから注意してくれ。それから魔力切れになった者は結界の外に自動的に転移させるし、念の為の治療班もいるから心配はいらない。だから君たちは全力で自分の力を示せ。では、クラス割バトルロワイヤル、スタートだ!」


 ディアネルがそう言い、指を鳴らした瞬間、一瞬の浮遊感が俺達を襲い、いつの間にか俺は緑の絨毯の上に立っていた。


(これは、転移か?)


 一瞬の間に足元が緑の絨毯に変わるのであればそれはファンタジー、異世界によくあるルー〇、転移を想起させるが、しかし俺が転生して調べ、知っている限り、この世界に転移という魔法は存在していない。だがそれは認知されていないだけで、存在している可能性も確かにあり、ディアネル学院長が知っている可能性も否定はできない。

 だが何となくだが、これは転移では無く結界の中だと理解できた。だがそれだと如何にして俺達を結界の中に飛ばしたのかという疑問が浮かぶ。


(転移では無く、結界の中だとすると、魔道具によって構築した結界内に俺達を飛ばした、という線が濃厚。だとしても、その核となる魔道具は一体何処に‥‥)


 そう思いながら、先ほどまで立っていた場所の事をよく思い出していく。あの講堂に入った時、壇上を中心に何となく違和感というかごく微量の魔力を感じたのを。そしてディアネル学院長が指を鳴らした瞬間、壇上に感じていた魔力が増幅し、壇上を中心に結界が展開されたと仮定すれば俺達が結界内に飛ばされたという事に辻褄が合う。


(なんとまあ、手が込んだことで)


 思わず呆れながらそう思ってると、今いる場所から離れているが、魔力の反応があった。どうやら既に戦い始まっているようだった。


(血気盛んな奴が多いな…てっきり様子を見て、すぐに戦いにならないと思ったんだが)


 そう思いながら風に意識を向けここから凡そ一キロほど先の辺りで魔力の反応があった場所を、風を視る者(シュトゥム)で見てみる。戦っているのは護衛を連れていた何処かの国の王族か、俺と同じエクスカーナの貴族なのかは不明だが‥‥さてさて、どういう戦いになっているかと見てみるとそこには風・火・水・土の魔法がフルバーストで撃ち込まれていて、それによって制服を着た奴だけでなく護衛の者たちを含めて全員が防御に精いっぱいであった。だが魔法を撃ち込まれている奴らの方はどうでもいいのだが、それ以上に四属性の魔法全てを撃ち込める存在は、俺が知る限り、一人しかいない。


(ほぼ間違いないだろうが‥‥)


 念の為、とそう思いながら視線を魔法を撃ち込んでいる、正に現在進行形で魔法のフルバーストで環境を破壊している側を見るとそこには俺の予想通り、そこには雪の様に白い髪を爆風に靡かせ、宝石のルビーを想起させる鮮やかな紅玉色の目、そして人間とは違う獣性を示す、縦割れの黄金に輝く瞳に何処か怒りを宿した少女、エル・シュネーヴァイスがそこにいた。そして、俺から見ても分かる程にエルは明らかに怒りのオーラを纏っていた。


(一体どういう経緯であいつら、あれだけエルを怒らせたんだ?)


 エルとはかれこれ出会ってからもう十年くらいの付き合いになるが、そんな俺でもあそこまで怒った姿を見たことが一度もなく、しかしそうすると、エルが激怒した原因として考えられるのは、あの護衛を連れた奴が、エルに対して俺に関して何か馬鹿にするような事を言ったのが原因かも知れないな、と思いながら風魔法【風翼(ふうよく)】で背中に見えない風の翼を形成して浮かび上がるとと、そのままエルのいる、つい今し方まで爆音が響いていた場所へと飛んで向かい飛び立ったのだった。


前書きにも書きましたが、回想がもう少しばかり、具体的にはカルアス(カルネア)が登場するまでの回想を投稿します。具体的には、と二話ほどで回想を終わらせれたらと思っています。(そうでないと、話がおかしくなりそうな気がするので…)

さて、謝罪はこれ程にしまして、現在次の回想の構成を考えています。次はちょっとした戦闘シーン(友人からも戦闘描写が下手と言われましたが)少しでもうまく伝わる様に書ければと思っています。

それでは少々変な感じになりましたが、どうか次回の話を待っていただけると嬉しいです。

それでは、また次話でお会いしましょう。

最後にですがこの話に限らず、前の話などの誤字脱字、おかしな箇所などもあればご報告をよろしくお願いします。

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