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第六十一話 「黒き災厄の邪龍3」

よ、ようやく書き出せました‥…時間がかかってしまい大変申し訳ありません。(土下座)

勢いで書き出しましたので誤字脱字、違和感のある文章があるかもしれません。その際はご報告をお願いします。

「‥‥‥‥それじゃあ、作戦通りに行くぞ?」


「「分かった (分かりました)」」


「この作戦は、二人に掛かっている。頼むぞ」


真剣な表情でレティスとアルテシアは頷き移動を始めるのを確認した後、俺は上空に居るアジ・ダハーカに取り敢えず一撃加えてみて様子を見てみる必要があると俺は判断した。


暴虐嵐刃アヴァスト


圧縮して作り出した風の刃をアジ・ダハーカへと撃ちだす。そして、それは確かにアジ・ダハーカへと腹部へと命中し、鱗と皮を切り裂いた、がそれでもアジ・ダハーカは苦痛の声を上げるのではなく、寧ろ怒りの咆哮を上げる。どうやら、アジ・ダハーカを怒らせる、一定の効果はあったようだ。


「GURURU,GURAAAAAAA!」


アジ・ダハーカは再度を風を吸い込むとまるで先ほどの報復とばかりに軽く10メートルは超えるのではないかと思うほどの赤と黒が入り混じった火の塊を吐き出してきた。その形状はまさに隕石のようで、もしこのまま地面に激突すればここら辺り一帯が焦土と化し、地形に大きな傷を残す可能性があった。だがそれ以上に。


(でも、それ以上に、今の「暴虐嵐刃」を正面から受け切りやがった)


しかしそれ以上に限界まで風を圧縮した、鉄や鋼ですら斬れる「暴虐嵐刃」を当たり前のように受けて、アジ・ダハーカはそれ程大きな傷を負わなかった。その事がわりと本気でショックだったが、お陰で同時に二つの情報を得る事が出来た。それはアルテシアからあり得るかもしれないと示された一つの可能性で、確かめたかった情報の一つだった。そして、それは俺の前で証明された。アジ・ダハーカの傷がまるで時間が遡るかのように治癒していったのだ。


(なるほど、確かに吸血鬼の回復力を持っているようだな‥‥まさか魔力が具現化するだけじゃなくて治癒力まで持っているとはな…)


あり得るかもしれない、だからこそアルテシアがアジ・ダハーカの相手をする俺に忠告として言ってきたのだろう。アジ・ダハーカ(やつ)は私達吸血鬼同様に治癒能力を持っているかもしれないと。


そしてもう一つ知りたかった情報は、アジ・ダハーカの今の治癒などを含めた大まかな力の把握だった。

先ほどまでは消滅の危機に瀕していたが、恐らくアルクが空に残していた矢と矢の魔力を吸収した事によって肉体を得て、更に先程よりも魔力が増大しているであろうアジ・ダハーカの今の状態を大雑把でも知ることで、今実行している作戦が上手くいくかが決まるのだった。


(よし、あいつは自身の吸血鬼の回復力を持っている事を知っていて、今の自分の治癒力を知っているな)


自分の力を知っている。特に先ほどの俺の「暴虐嵐刃(アヴァスト)」を回避しなかった事で新たに得た常識外の回復力を過信している可能性がある。その隙を上手く突けばアジ・ダハーカを倒せる確率が圧倒的に高くなる。そして、必要な情報を全員(アルテシアを含む)へと送り終える。


「よし、それじゃあエル。頼むぞ?」


「うん。行ってらっしゃい」


「ああ、行ってくる」


視線を向けると全力を出す為にカルアスと戦った時の巫女装束を纏ったエルが、どこぞの会社に行く夫と見送る妻のような言葉を交わした後、俺は地面を蹴り、そのまま宙に浮き、凡そ四キロ程上空に居るアジ・ダハーカに向けて空を真上へと駆け上っていく、まるで磁石のS極とS極が反発し合うかのようにして、俺はアジ・ダハーカのいる上へ、即ち振ってきている火球へと一直線に突っ込んでいく。

今の狩衣を纏った状態の俺はある程度の物理や魔法、熱などにもある程度耐性があるのだが、恐らくこのまま突っ込めば焼き尽くされて塵も残さずに消え去るだろう。それは火球との距離が僅かな時間で詰まっていくと、圧迫感と共に伝わってきた。だがそんな圧迫感を緩和させる、何処か歌うようなエルの声が聞こえてきた。


「「火は命を燃やし、風は小さき命を疾く運ぶ」


地上で歌うエルの声は風を纏い空気の抵抗を減らす風魔法「風纏」で軽減させ音速にマッハ1=1225 km/hに近い状態の俺の耳にも確かに聞こえた。そうしている間にエルの詠唱は続き、俺と火球の距離も詰まっていく。残りの凡その距離は400と少しだろうか。


「地は新たなる命の大地となり水を経て新たな命を成す。これが命の輪廻にして円環、四大の相生なり」


火球との距離、残り240メートル。しかし俺に焦りはなく突き進んでいき、エルの詠唱も進んでいく。


「始源たる四大相生を以て、幻想の華よ、命を守るたてと成せ。」 


火球との距離が百メートルを切った時、エルの詠唱が終わりを迎える。


「顕現せよ! 幻想生紫花パンタシア・アイリス!」


エルの詠唱が終わると同時に俺は火球の中へと突っ込んだ。だが焼き尽くすであろう熱が俺を襲う事は無かった。何故なら。紫色の花弁が俺を包み込んでいたからだった。

四大魔法属性。この魔法はエルが火・風・土・水。全ての属性を相生させて作り出した、幻想でありながらも命を優しく包み込む護りだった。それがエルの四大属性相生によって作り上げた【幻想生紫花(パンタシア・アイリス)】だった。


そしてそのお陰で、俺は焼き尽くされる事無く、火球のど真ん中を通り抜けたと同時に剣を鞘に納めると同時に火球が八つに切り裂かれた。その答えは至って単純だった。抜刀をごく僅かな時間に八回繰り返した結果だった。その様子を、第三者から見れば剣が霞の如く揺れ、まるで八つの剣閃が同時に見えたであろう、その様子を名前を付けるのであれば【剣霞八閃】とするべきだろう。

そして、【剣霞八閃】によって八つに分かたれた元火球の対応は事前に話していた通り、エルとルヴィに任せる、俺は問題のドラゴン、アジ・ダハーカの待つ空へと到着(つい)た。


「よお、大分待たせたみたいだな?」


「GURURURURUッ GUGAAAAA」


俺が声を掛けると却ってきたのは殺気交じりの重圧と咆哮だったが、俺に恐怖は無く、寧ろ、頬が僅か上がった。


「殺す気満々、か。なら俺も全力を以て殺してもらおうかっ!」


その言葉を皮切りに、アジ・ダハーカの振り下ろした爪と、抜き放った俺の剣が互いに火花を散らした。こうして事態は動いて行く。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

空の戦いの火蓋が堕とされ、事態が動く中、事前に打ち合わせた通り、作戦の要であるレティスとアルテシアはグンテーレの山頂を目指して山を登っていた時、一つの矢が足元に突き刺さり、レティスは血魔の呪王剣(グラム)をアルテシアは暴毒の喰剣(ツェリット)を構えた。


「何者だ!」


レティスの誰何に答える事無く、月下の元、岩陰から男の声が紡がれる。


「おやおや、姉妹仲良く、何処に行こうというのかな?」


「な、貴方はっ!」


レティスとアルテシアの前に立ち塞るように岩陰から一人の男が姿を現した。

そしてアルテシアは立ち塞がる男を良く知っていた。何せ、アルテシアに「勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)」を渡した張本人でだったからだ。


「どうして、ここに居るの、【弓】のアルク!」


そう、シルバーと戦い、既にいないと思っていた【龍裁者】であり、【教会】の教祖から与えられた武器、【千射必中の魔弓(フェイルノート)】の持ち主にして使い手である弓使いであるの男、アルクだった。


「何って、これだけ面白そうな事態ことになれば参加しない訳にはいかないだろ?」


まるで、新しいおもちゃを見つけたと子供のような笑みアルクは浮かべていた。


「本当に、迷惑な人ですね」


それに対して、アルテシアは苦々しい表情を浮かべる。何せ、今相対しているのは、【教会】で、恐らくトップクラスの実力を、そして、見た目は若いが、それよりも遥かに歳を重ねており、時に見せる狡猾さかなり厄介だった。アルテシアは直ぐに戦闘を回避し、山を昇る事を考えたが、それは即座に却下した。


(奴の弓から放たれる矢は、奴の意思によって変わるが、どこであれ必ず命中する。)


そう、アルクの意思の本気の度合いによって差はあるが、実際に、アジ・ダハーカに飲み込まれる原因ともなった、胸部の剣を破壊した事から推察して考えられるのはほぼ確実に命中するという事だった。


(どうする、どうすればいい?)


アルテシアは考えている時、動いた人物がいた。レティスだった。


「さて、一つ尋ねよう。今私たちは急いでいてお前の相手をしているつもりない。だから素直に退くつもりはないか?」


「これだけ面白そうな事態にどうして俺が退くと思っているのか? まあ、これ(矢の雨)を受け切れたらお前たちを通してやる。生前生き残って見せろっ!」


アイクが指を鳴らすと上空に待機させていた無数の矢がまるで一部の隙間もなく地上、レティスとアルテシアへと降り注ぐ。だが、結果としてその無数の矢にレティスとアルテシアが貫かれるという事は起きなかった。その時、居ないはずの四人目の声が聞こえたからだ。それはアルテシアのすぐ隣から。


「それならば、これなら通していただけますよね?」


その瞬間、空より降り注ぐはずだった、無数の矢は、白き炎によってその全てを塵一つ残さずに消滅した。


「「えっ?」」


二人が驚愕してもおかしくは無かった。何せ唐突に、二人の傍に音もなく紅い鎧を纏った影が立っていた。そしてそれはアルクも同様だった。あれだけの矢を一本も残さずに塵すら残さずに消滅させたあの火力に関してより、何よりも気になることがあった。


(気配もなく、一体どうやってここに現れた?)


アルクが驚く中、一番驚いていたのはアルテシアのレティスだった。


「ル、ルヴィ!?」


「はい、そうですよ?」


その存在を見てレティスは思わず呼んでしまった名前に、ごくごく普通に返事を返してきた顔全体を覆う、何処か龍を模した赤い兜と鎧を纏ったこの場にはいないはずの【火竜】であり、今は人化していて少女の姿をしている、ルヴィが自然にそこに立っていた。


「ど、どうしてここに?」


アルテシアよりは幾分か混乱しつつも冷静な部分を残していたレティスが思わずどうしてここに居るのかを尋ねても仕方のない事だった。そして、そんなレティスに尋ねられたことにルヴィはごく自然に何故ここに居るのかを明かした。


「はい、実は ご主人様(マスター)からある可能性を、即ちご主人様と一度相対し、逃げたはずの男が何らかの介入・妨害をしてくるかもしれないといわれておりましたので、ご主人様の援護などをエル姉さまにお任せして私はこちらに来ました」


「‥‥…なるほど。俺の出現を予想していたって事か。若いのに頭が回る奴だな」


自分の行動が予想され、手を打たれていた事に対してアルクは思わずといった笑みを浮かべる。だがその笑みに邪悪なものは無く、単に自分の一手先に手を打っていた、空でアジ・ダハーカと戦っている少年を称賛しての笑みだった。そして笑みを浮かべていたアルクに対してルヴィは尋ねた。


「では、矢を受け切る事が出来ましたので、彼女たちは通させていただきますよ?」


「ああ、こっちがああ言った手前、それを反故にする気は俺には無い。だからそこの姉妹は行っても良いぜ」


アルクはそう言い目を閉じ、弓の弦からも手を離し、攻撃しない意思を示し、レティスとアルテシアは大丈夫なのかを確かめるように視線でルヴィに尋ねるとルヴィは確かに頷いたのを確認し、レティスとアルテシアはまるで風になったかのように、一瞬にして通り抜け、そのままの速度で山頂を目指して駆け上って行った。

そしてレティス達の姿が見えなくなったと、アルクは冷たさを宿した目を開く。


「さて、問題はお前だな。」


どうするんだとばかりに、氷を思わせる冷たい目線でアルクは尋ねた。しかしその答えに関しては既にルヴィの中にあった。


「ええ、そうでしょうね。ですがご安心を。彼女たちを進ませた後、貴方の相手をしても良いといわれていますので」


「へえ?」


それと同時に手にしていた弓に手を掛けと感じた時には既に弦が撓る音が聞こえるという驚異的な速射だった。

そしてアルクが射た矢をルヴィ拳によって弓の名の通り、矢が命中したが、鎧を貫くことが出来ず、寧ろ粉砕されたのだった。そしてその様子を見てアルクは何処か戦闘狂じみた笑みを滲ませた。


「どうやら、かなり手癖が悪いようですね?」


「ああ、何分遠距離から矢を撃つだけなんでね。こんな技術でも身に着けなきゃ今まで生きてこれなかったんでな?」


「そうですか。ですが」


そう言葉を返しながら地面を踏みしめ一歩踏み出し、次の瞬間にルヴィはアルクの目の前にまるで転移したかののように出現し、


「この場合、そのような技術は必要ないのでは?」


アルクへと問いかけながらその拳を振った、が拳に返ってきた感触は、まるで柔らかいものを全力で殴ったかのような感触だったが、ルヴィは構わず拳を振り抜き、アルクはそのまま幾つかの岩を砕き、土煙を上げ、ルヴィは構えを解く事無く土煙へと油断なく目を向けていると土煙の中の影が立ち上がり、徐々に土煙が晴れるとそこには服などに埃は着いていたが無傷で立っているアルクの姿だった。


「なるほど、確かにあんな技術の必要は無いようだね」


「ええ、それにこの辺りに人は居ません。ですので、本気で戦いましょう」


「ああ、なら今この場に弓は必要ない。お前とは拳で十分だ」


そう言うと両者どちらともなく笑みを浮かべながら魔力を解放し、アルクとルヴィは拳を構え、どちらともなく接近し、辺りを破壊しながら拳を交え始めたのだった。因みに、その様子は上空でアジ・ダハーカと戦っていた俺からも良く見えており、後でルヴィが叱られたという事をここに記しておく。



そして、ルヴィの助けもあり、グンテーレ山頂へと到着したレティスとアルテシアは互いに息を整えていた。


「はあ、はあ、はあ、大丈夫か、アルテシア?」


「だ、‥大丈夫、です…!」


レティスは大分持ち直していたが、アジ・ダハーカに肉体を奪われ、消耗をしていたアルテシアはまだ息を荒くしており、レティスはアルテシアの息が整うのを待つことにした。何せ、今からしようとしている事は、アジ・ダハーカを倒す事が出来るもので、レティスとアルテシア、二人の力と息を合わせなければ成功しないものだったからだ。だが思いの外消耗している今のアルテシアの状態では恐らく一回程が限界であろうとレティスは感じていたが、止めるという選択肢は無かく改めて息の整ったアルテシアに問いかける。


「どうだ、出来そうか?」


「‥…できます」


「分かった。では始めるぞ」


「…はい!」


レティスは血魔の呪王剣を、アルテシアも深呼吸をした後、手にして暴毒の喰剣を互いに重ね合わせ、剣に魔力の波長を合わせ、互いに同調させ始め、同時に血魔の呪王剣と暴毒の喰剣が何処か黄金に近い光を発し始め、互いの剣の輪郭が曖昧になり始める。


「ぐっ!」


「くぅっ!」


だが、二つの剣が輪郭を無くし、融合して行くが、同時にレティスとアルテシアが魔力をまるで湯水のごとく二つ、いや一つの剣へと吸収されて行き、それと同時に剣の光も強さを増していくが、しかし急激な魔力の消費はアルテシアの体に大きな負担を掛けていた。


「ゲホ、ゲホっ!」


「アルテシアッ!?」


いきなりアルテシアが喀血し、その場で崩れ落ち掛けたのを咄嗟に抱きかかえたが、その時手に生暖かい感触がレティスの手にあり、身に着けていた服にも黒いシミが徐々に広がり始めていた。だがこの場に回復魔法や薬草の類は無い。幾ら不死身である吸血鬼であっても痛みは人と同じなのだ。


「貴女、何て無茶をっ!」


「‥‥‥これぐらい、どうって事ない。これが終わったら休むから。だから今はまだ。」


そう言うとアルテシアは満身創痍の体を引きずるようにして立ち上がり、再び剣へと意識と魔力を集中し始める。レティスは守るべき存在の妹がこれほどの精神力を持っている事に驚愕しながらも同時に妹の成長が嬉しく、また少しでも早く休めるようにと再び魔力を籠め始め数分、やがて完全に一つの形となった剣がまるで極光のような金色の光を放った。


「これが吸血鬼の王が持つ…吸血鬼を滅ぼす聖なる剣」


消滅へと誘う断罪王剣(エクス・カリバー)‥‥」


それは、初代王が同族である吸血鬼を滅ぼす為に用いたとされる聖なる剣だった。そうして現れた剣に意識が奪われていると雲を穿ち、小さな影が地上、いやレティス達の居るグンテーレ山頂へと急降下してきて、それを追うかのように大きな影も降下してくる。


(悪い、そこに着地するから、後は頼む! 奴は俺の後ろだ)


「分かった!」


まだ距離がある視認は出来なかったが、念話が届いたことからシンであることは確かだった。そして先ほどの小さな影を追うようにして現れた大きな影はアジ・ダハーカなのだろう。そうしている間にも二つの影はこの山頂を目指して降下してきていた。


「アルテシア、ごめん。もう少しだけ、頑張れる?」


「はい、まだ、大丈夫、です」


もはや疲労困憊を通り越し、今にも倒れてしまいそうだったアルテシアだったが、驚異的な気力によって意識を、魔力の波長も保っていた。それは二人の力を合わせていないと消滅へと誘う断罪王剣(エクス・カリバー)はまた二つの剣へと戻ってしまうからだった。


そうして二つの影の内の一つ、俺はグンテーレ山の頂上で輝く光を目印に地面へと勢いを殺す為に逆噴射を行い、どうにか着地した。それと同時に地面の感触が懐かしいと感じたが、今はそれは脇に置いておき、二人の間に黄金に輝く剣があり、二人がこの作戦の要である剣を作り出す事が成功したであろう姉妹二人に声を掛ける。


「レティス、大丈夫か?」


「私は大丈夫だ。だが‥‥」


レティスの視線は妹のアルテシアへと向き、その視線を辿る様にしてアルテシアを見た俺は思わず言葉を失った。見ただけで分かる満身創痍で、ドレスにも全体的に赤黒いシミが広がっていたからだった。


「お前、無茶はするなと」


「無茶はしていません。これが終わって休めばすぐに治りますので」


「いや、そう言う問題じゃ‥‥ああ、もうっ! 帰ったら俺の家で絶対療養だからな!」


「ええ、その場合はお世話になります」


アルテシアに比べれば大分マシだが結構ボロボロ状態での押し問答をしていても埒が明かないし、もしもの場合は家で療養させる事を約束させたたが、その時間はもう無かった。少なからず距離を開けたていたとはいえ、今の俺は動いておらず、ここに向かって飛んできているアジ・ダハーカとの距離は詰まる一方で、もはやその距離はもう無かった。そしてアジ・ダハーカの姿を視認したレティスは右手でアルテシアは左手の片手で黄金に輝く剣の柄を握り、上へと掲げ、まるで太陽のような輝きが天を突く。


「「我は王の血を引く者」」


「「我は種族(全て)の罪を背負う者、我は種族(全て)の罪を断つ者」」


二人の詠唱が進んでいくと剣の光も脈動し、輝きが増してくが、その光は何処か温かいモノだった。


「「なれば、罪を犯しし者、我が王たる証を以て、その罪を断罪する」」


「「光に呑まれ、輪廻へと帰れッ! 【消滅へと誘う断罪王剣(エクス・カリバー)】」」


「GURAAAAAAAAAAAAッ!!!????」


剣が振り下ろされ、剣に宿っていた光の奔流が撃ち出され、光の奔流は暗い空を裂き、アジ・ダハーカへと到達、そして光の奔流はアジ・ダハーカの肉体を全てを飲み込み、空へと消え去り、空は元の静かなものに戻り、こうして姉妹同士の戦いから端を発した戦いはこうして集結したのだった。


前書きにも書きましたが、本当に時間が空いてしまい申し訳ございませんでした。

今回の話は、本当に難産でした。仕事をしながらも頭の片隅で考えて一週間が経った頃にようやく形が出来上がり、ようやく書き出し、投稿する事が出来ました。

今回の話で黒き災厄の邪龍は終わりで、次話はエピローグになる予定です。その時にシンがどのような戦いをしていたか、エルとルヴィは何をしていたかなどを書き出せたらと思います。

さて、次話は出来るだけ二週間以内で投稿できればと思っています。少しでも楽しんでいただけるととても嬉しいです。

それでは、また次話で (早く書かねば‥‥)

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