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第五十八話 「合流」

ふう、間が空いてしまい、毎度ながら申し訳ない。‥‥‥‥出来たので、投稿。



申し訳ない。

11月15日現在、書き出しておりますが、少しばかり遅れる可能性があります。申し訳ない。ですがどうにか二十日までに投稿が出来ればと思っています。待ってくださっている方々、本当に申し訳ありません。

何か名前を呼ばれたような気がしてに微かに目を開けると、私から少し離れた所に小さな川が流れていた。


「‥‥…こ、ここは‥‥‥くぅ」


体を動かそうとした瞬間、体の内側から針が突き出したかのような鋭い痛みで、何故私がこのような状態なのかを思い出した。黒い人型の龍と化したアルテシアの攻撃をどうにか防いだものの吹き飛ばされてしまい、四つ目までは岩を砕いた辺りまでは覚えていたけれども、それ以降の記憶は曖昧だった。許容できる痛みを上回った事で意識が落ちてしまったのだろうと何となく予想を付ける、

近くに流れる小さな川に流れる水が微かに安らぎを与えてくれた、どうやら山頂から麓まで吹き飛ばされてしまったようだと私が思った瞬間、胸から何か生暖かい物がせりあがって来たのを感じ、それを押しとどめようとしたけど、意味もなくその生暖かい物、せりあがってきた血を私は吐き出した。


「…ッ!ゲホッ!ゲホッ!…っく!」


そして咳き込みながら、全身に激痛に思わず呻いてしまった。それで分かったのは、剣を受けた腕全体が痺れて動かそうにも感覚がなく、更に背骨と胸の骨も何本か折ってしまったのか、息を吸うたびに鈍い痛みが走り、足に関しても腕程ではないが、何か所か折れているようだった。そして思わず内心で愚痴を言ってしまうのも仕方のない事だった。


(‥…ホント、トンデモナイわね‥‥)


アレが全力のアルテシアの攻撃。それを、たった、たった一度の剣の攻撃を受けただけで、私はグンテーレ山頂から麓まで吹き飛ばされ、それだけでこれだけのダメージを受けた。それも影による最大出力の魔力で作った影の籠手をぶち抜いてこれ程のダメージが通って来たことを考えると、あの時生半可な防御では両断されていたと確信させるほどの威力を持っていたと改めて、身を以て体験していた。


(我が妹ながら、末恐ろしいな)


正直に言えば普通の人間であれば、既に死んでいてもおかしくはない威力だった。それでも私が何とか重症を負いながらも生きているのは一重に私の体に半分だけ流れる吸血鬼の始祖の血による驚異的な回復力のお陰だろう。今のごくわずかな時間の間にも関わらず、慢性的な痛みと鋭い痛みが交互に襲ってきていたが先程に比べて少しだが指先の感覚が戻り始めており、少し腕が動く。そして同時に骨が折れたと思われる胸にも鈍い痛みが連続して広がり走る。この痛みも恐らく私の中の吸血鬼の血が急速に私の体を治癒している反動だと身を以て理解していたので痛みに堪えることは出来た。放置していれば体の大小の傷なども恐らくこのまま治癒されるだろうが、問題はまだ山積みだった。その一つが、如何にしてアルテシアと戦うか、だ。


(まさか、あれだけの力を持っていたなんて。流石は真の王であると暴毒の喰剣に認められただけはあるわね)


半端者で、情けない姉である私としては、妹が王としての力を持っている事をこれ以上なく嬉しいのだが、敵対している今の状況では諸手を挙げて喜べないあまり嬉しくない状況だった。でもそれは割り切るしかないと諦め、私の思考は既に如何にしてアルテシアを倒すかに移っていた。幾らあれほどの力を持っていても、一人で操作できるほどの技術をアルテシアはまだ習得していないはずなのだ。であるならば。弱点もあるはずだ。


(例えば、胸に据えられた、あの剣)


そう、如何に急激に成長しているとはいえ、アルテシアはまだ、未熟と言える。そんなアルテシアがあれほどの力を扱えるのには、あの胸部に据えられた宝石の中にある勝利と破滅の呪剣による何らかの補助を得ている可能性が高く、そしてその中でやはり気になるのは、その能力についてだった。見た感じでは何らかの重要な、例えば、余剰な力を抑える、または殺すではないかと予想しているのだが、確信を得ることは出来なかった。


「う~ん」


まだ痛むが動くようになった腕を胸の前で組みながら、なぜあの場所に勝利と破滅の呪剣があるのかこの事に考えを巡らせる。だがこうしている間にも近づいて来ている可能性もあるので警戒を怠らない様にしつつ私は考える。そもそも、あの状態になった時から私自身気にはなっていたのだ。何故あの場所に剣があるのか、と。

本来であれば狙われやすく、危険なはずのあの場所にしたのは何か意味があるようにしか私には思えなかったけれど、それがフェイクである可能性は低いと考えていた。

何故ならあの場所は最も分かりやすい弱点にして、最も守りやすい場所だからだ。でもそれなら、あの剣のある場所を攻撃、あわや破壊することができればアルテシアは恐らくあの形態を維持できなく、無効化出来る可能性が高いと感じていたけれど、同時にそれが限りなく難しく、更に気にかかることが私にはあった。でもそれ以上に気になるのは、アルテシアがこの場に姿を現さなかった事だった。



「それにしても。どうして私を(ね…え‥‥さ‥‥‥ま‥‥…)何?」



あれほどの力があるのならば、それは全体的に強化されていると見て云いと感じていたのだけれども、周囲を警戒していたのだが、アルテシアの纏っていた魔力を感じることはなかった。すぐに来ない、それに関して少し違和感を私は感じながらも、少しでも魔力と体力を回復させる為に体を休めることにしようとした時、微かに声が聞こえた気がして周りを見るも姿も気配もない。


「‥…気のせい?」


念の為にもう一度周囲を伺うも気配も何もなく、私はまず体力と魔力の回復、そして私自身のあの力を解放するかを私は考え始め、故に気づかなかった、距離も話されていたこと加え、回復、そして対抗する為にあの力を解放するかという事に意識を傾けたせいで。秩序という形を以て保たれていた力が崩壊し、破壊の力が、具現化し、生誕の産声を上げていたという事に、そしてその破壊の獣が矛先を自分へと向けているという事に、私はまだ気が付いていなかった。




一方その頃、アルクと剣を交えている戦闘の最中、それは起こった。


「この、魔力は‥…」


それは禍々しくも強大な魔力で、俺と同じくそれを感じ取ったアルクは笑みを浮かべ、構えていた短剣を腰の鞘へと納めた。まるで、自分の仕事は終わったと言わんばかりに戦闘の姿勢を解いた。


「ふむ、どうやら、成功したようだ。しかしこれは思いの外」


想像以上だな、とアルクが言っているのを聞き、構えは解いているが念の為に警戒をしつつ、微かにだが頭に掛かって来ていた靄のようなモノを払いながら、俺は風を視る者でグンテーレ山頂へ見る、そこにレティスはおらず、しかしよく見ると山の麓まで一直線に伸びている線、いや何かが一直線に麓まで突き進んだかのような痕があり、その方角へと向かって何やら声を上げている一人、いや一匹の人型の、龍がいた。だがその様子に俺は思わず困惑した。何故なら、あそこにいたのはレティスと妹のアルテシアだけのはずだったのだ。なのに辺りには麓まで続く何かが一直線に突き抜けたような跡、そして雄たけびを上げる黒いドラゴンだけだった。


(ちっ、情報が足りない。だが取り敢えず言えるのは、厄介、という事か)


そして見ているとその黒い龍は咆哮を上げた、ように見えた。それはまるで自らの生誕を世界に知らしめているかのように。しかしそれはそれに構うことなく、俺はあの場で妹と戦っていたであろうレティスの姿を探すが、見つからない。


(一体、何処に‥‥)


更に範囲を広げて辺りを探ろうとした時だった。


「さて、それじゃあ俺は目的を達成したから、帰らせてもらうぞ?」


耳に小さくだが音が聞こえ、この場に居るアルクへと視線を向けると、アルクは既に身軽な状態で体を解しながら立っていた。


「‥‥そう簡単に、逃がすと思うか?」


「いいや、だが、今のお前は俺に構っている時間は無いと思うがな?ああもしあいつを名付けるなら、破滅を喰らい。自らに勝利をもたらすって事で、破滅を喰い勝利を(アジ)もたらす黒邪龍(・ダハーカ)かな?」


「‥‥‥‥…」


「そんじゃあ、あばよ!」


俺はアルクの言葉は返す言葉を持っていなかった。それは、事実だったからだ。今は情報が全くないそう言うとアルクは既に逃げの態勢に入り、まるで逃げるが勝ちと言わんばかりの脱兎のごとく逃げて行った。

そして背後から魔法を撃ち込もうと思えば、撃ち込めたが、この戦いは終わりだと俺は逃げて行く姿を背を向け、先程風を視る者を切る直前に見えたレティスの魔力の反応があった場所、即ち、グンテーレ山の麓へと走り始めたが、その頭の中には先ほど逃げたアルクに対しての感想だった。


(流石に、追跡される事も考えていたか)


実を言えば、アルクが背を向けた後、風を視る者で追跡していたのだが、魔力と気配を遮断する術をアルクが持っていたのか、途中までは補足できたが、それ以降は一切捉える事が出来なかった。だがあれほどの腕を持ち、更に未だに実態がつかめない【教会】の人間であるから何かしらの手段で姿を消したのだろうと俺

はさして気にする事もなく、足に力を足を速める。


(なにか、いやな予感がする)


何故レティスとアルテシアしかいなかったのか、そしてあの場所に何故人型の黒い龍が居るのかという幾つもの疑問と、頭の中に引っ掛かっている、アルテシアがニクスと名乗っていた時に言っていた【魔の血龍】に関して、焦燥感と嫌な予感が俺の中に渦巻いていた。


「くそ、一体どうなってるんだ?」


内心で焦りが浮かび上がって来るのを感じながらもまずがレティスと、吸血鬼たちを倒して回っていたが、異変に気付いているであろうエルとルヴィも恐らくレティスの元に向かっているはずだとはやる気持ちに言い聞かせ、俺は走りつつ纏っていた黒い狩衣から白黒の狩衣に変化させると、更に足に力を籠め、加速した。


「…ふぅ、やっぱり、黒い狩衣状態だと…安定しないなッ!」


先ほどまで頭に掛かっていた靄のようなモノが薄くなり、そして、それを振り払うようにして、俺は更に加速し、走っていると頭に掛かっていた靄は綺麗に無くなっていた。


一方、シルバーがレティスの元へと向かっている時と同じ頃、一足先にレティスと合流を果たしたエルとルヴィは既に大部分が回復しているレティスと情報の交換をしていた。


「取り敢えず、傷の方は大丈夫?」


「はい、傷の方は何とか。それでエルさんたちが感じた魔力は今どこに?」


心配そうに尋ねてくるエルさんに大丈夫である事を返しながら、今ここに向かって来ている、禍々しい魔力を放出している存在について尋ねるとエルさんは頷いた。


「うん、速さ自体は遅い、けど着実に近づいて来ている。それとやっぱり二つの魔力が混じってる、けど片方は今にも消えそう」


「そう、ですか」


「心配ですね‥‥‥」


エルさんと一緒に合流を果たし、隣で私を慰めてくれているルヴィさんに私は肩を預ける。それだけで幾分か気持ちが軽くなった。

エルさんから教えられるまでもなく、予想していなかった訳では無かった。少なくとも先程から私でも距離が近づいたおかげか、禍々しい魔力を感知する事が出来ていた。そして二つの魔力の内の一つに覚えが、いや忘れる訳の無い魔力があった。


「アルテシア‥…‥」


そう思わず妹の名前を越えに出した。二つの内の強大な魔力に今にも飲み込まれ、消えそうな魔力は、アルテシアの魔力だった。そしてアルテシアの魔力を飲み込もうとする、アルテシアの魔力に似ているようで全く違う魔力に対しても私は知っていた。それはアルテシアの血に宿る、ドラゴンという力の結晶ともいえる存在【魔の血龍】。

ここまでの情報が揃えば、どういう事なのかを推測するのも、難しくなかった。アルテシアは、何らかの要因によって我が身をも喰らおうとする【魔の血龍】に対しての制御を失い、その強大な魔力に吞まれたのだと。


(一体、どうして)


そう思いながら思い返すのは、最後に見た感じでは、暴走も、吞まれるようには見えなかった。それにあの状態のアルテシアに対しては並大抵の攻撃が通じるとは思えなかった。だからこそ、あの力を使うかどうかを思案していた、その時、一陣の風と一緒に現れたのは、最も頼れる、白と黒の狩衣と呼ばれる装束を身に纏った少年がその場に姿を現した。


「間に合ったか。‥‥‥どうやら、かなり厄介な事になったようだな」


「シン!「ご主人様(マスター)」」


シンの姿を見た瞬間、何か私の中にあった霧が、吹き払われたかのような感覚を私は感じた。一方のエルさんは何か別の何かを感じ取ったのか、頭を傾げてシンに尋ねた。


「お疲れ?」


「まあ、多少な?」


エルの視線は誤魔化せないなとばかりにシンは困ったような、しかし安心したかのような笑みを浮かべていた。そこには、今のような状態であっても安心できる景色がそこにあり、ごく自然な表情でシンは私を見て口を開いた。


「さて、取り敢えず、情報の共由と、作戦を立てるとするか」


次は、まあ予想しやすいでしょうけど、ようやくこの章の最後の、最後の戦いへと動いて行きます。なのですが、次の話を現在考えてるのですが、次の投稿はまあ、毎度ですが、二週間で投稿できればと思っています。それと近いうちに、途中のもう一つの方を書きだして投稿できればと思っています。

魔の血龍に取り込まれたアルテシアをどうやって助け出すのかなども現在考えています。楽しみにしていただけると、嬉しいです。

最後ですが、誤字脱字、おかしな箇所などがあればご報告をしていただけると嬉しいです。また少しでも楽しんでいただけると私としても嬉しいです。それではまた次話で。

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