第五十一話 「内なる光と闇」
どうにか‥‥投稿が出来た。出来れば今月中にもう一つ‥…出来れば‥‥
「で、どうすればいいんだ?」
早速、初手から分からないことだらけの俺は【四変六陣】を展開しているエルへと助言を求めた。俺としては何も分からない状況で失敗をしてレティスを危険に晒すのを極力避けたかったのだった。
「うん、取り敢えず、二人ともそのベットに移動して」
「分かった」
「‥‥‥分かりました」
取り敢えず俺とレティスはエルの指示通りにベットの移動する。そして俺とレティスがベットに移動したのを確認したエルは次の指示を出した。
「それじゃあ、レティスはそのままベットに仰向けに寝て」
「はい…」
やや困惑気味ながらもエルの指示通りレティスはベットの上で仰向けになる。その時俺の目の前でベビードールをによって強調されているレティスの胸がプルンとまるでプリンの様に揺れ、ベビードールの短いスカートの裾から伸びる白く足が眩しく、俺は今はレティスを助けるためだと冷静に自分に言い聞き、湧き上がった邪な思いを抑え込む。
「じゃあ、レティス、眼を閉じて、体の力を抜きながら、自分の内側の力に意識を集中させていて」
「はい」
俺が邪な思いを抑えているその間にエルがレティスに次の指示を出し、レティスはゆっくりと体の力を抜いた。それを確認したエルは俺の方を向いてた。
「それで、シンは‥‥‥そのままレティスの胸を触って」
「えっ!?」
俺は思わず固まってしまった。そして心なしかレティスの体もピクリと反応したような気がしたが、それを気にする余裕は今の俺には無かった。しかし俺が困惑している中で、既に覚悟しているのか、レティスは静かに自分の内へと目を向けていた。それは俺を信用しているとに俺に言っているようだった。
「‥…エル、これが上手くいけば、レティスを助けられるんだよな?」
「うん、シンの陽の力を注ぐことでレティスの中で陰と陽のバランスが取れて、内の龍の血に身を侵される事は無くなる」
「‥‥分かった」
エルの言葉を信じ俺はベットで横になっているレティスの隣に腰を下ろす。そして俺は自身に流れる力に意識を集中させる。エルが言うには俺は陽の力をいつの間にかを扱えるようになっていた。エルが言うには俺が無意識に陽の力はルヴィを助けた時の【竜裁者】と名乗り、最後には自らの肉体をドラゴンへと変質させ、同じ謎の【教会】に所属していたカルアスと言う女の槍使いに殺された男、オーウルフ、そしてカルアスと戦った時から使えるようになっていたとエルは言われ、寧ろ俺自身が驚いたほどだった。だがこの力が今レティスを救う事が出来るのなら、迷う事は無い。
(この力で、救える人が居るのなら、手を出して、助けられるなら俺は迷わない)
俺はそっとベビードールの上からレティスの胸の上に手を置く。その時レティスの胸に乗せた掌から柔らかい感触が伝わって来たが今は人の命が掛かっていると集中して頭の中からそれらを払いのける。
「それで、エル。この後はどうすればいいんだ?」
「そのまま目を閉じて、意識をレティスの中へと集中させて。大丈夫。シンなら出来る」
「ああ」
エルの信頼に答えるために、そしてレティスを助けるために俺は目を閉じ、レティスの中へと意識を沈めて行く。意識を沈め始めて最初に着いたのは薄暗い空間だったが、意識は更に奥へ奥へと降りて行き徐々に辺りは暗闇へと染まっていき、やがて周り全てが暗闇へと染まると精神だけの状態でレティスの中に入った俺にある変化が起きていた。
(なんだ‥…これは‥…泥…か?)
それは、いうなれば真っ黒な、まるで泥のようなモノで、それは次第に俺へと纏わり着き始めた。もちろん俺はそれを外そうとしたが、容易く外れる事は無く、それどころか、
(くっ、外れない!?)
払おうとしているのに、そこに更に泥のようなモノがまとわりつき始め、徐々に重さが増していき、やがて振り払うのが困難になり、黒い泥のようなモノにからめとられ、身動きが出来なくなり始めた。
(くそ、こんなところで時間を喰う訳に行かないってのに!)
俺は魔力を放出して泥を振り払おうとしたが、咄嗟にエルに言われた事を思い出した。それは俺が魔力の塊である精神体でレティスの中へと入る時、魔力を使わないでほしいと言われた事だった。エルが言うにはレティスの中で俺の魔力を放出するとレティスの体に何らかの影響を与えかねないとの事だった。
(だが、このままじゃあ!)
このままでは、レティスの深奥へとたどり着く前にこの黒い泥のようなモノに取り込まれてしまう可能性もある。だが今の状態で魔力を放出するとレティスへの悪影響が懸念される。
(どうする、どうするッ!?)
今では腕と脚は完全にからめとられ、微かに体を身動ぎさせる事しかできない。そしてレティスの命が掛かっている事も関係して俺の中の焦りは強くなっていき、やがてリスクを推してでも魔力放出をするべきか、それとも一旦離脱するかを考え始めた時だった。
(焦っちゃ、駄目)
微かに、しかし聞き取れる小さな声が俺は聞いた気がし、動く首を使い、暗闇の中を眼を凝らして辺りを見るが誰もいない。だが気のせいとは俺には思えなかった。そう思っていると、再びさっき聞いた声が聞こえてきた。
(今の貴方の内には星を照らす光があり、その光は常に貴方と共にある。使い方も貴方は知っている。でも忘れないで。それは時に星をも飲み込む力。だから自らの内にある光の存在を、忘れないで)
(お前は、いったい誰なんだ?)
(それは、いずれ分かるでしょう)
俺のその質問にエルとも、ルヴィでもリリィでも、レティスとイシュラとも違う声の主は微かに笑みを浮かべたかのように感じたが、その声の主は伝える事は伝えたとばかりに微かに合った気配が消える。だが先ほどまで焦りは消え去っていた。だがそうしている内に黒い泥のようなモノが首元まで迫って来ていたが俺は見えざる声の主が言っていた事で気になる事があった。
(焦るな、あの声は、言っていた。俺の中に星を照らす光があると、光は俺と共にあると、そして俺は無意識の内に使えていると)
ならば、考えろ。エルの言葉から俺が初めてこの【陽】の力を無意識の内に使った時の事を。そして思い出せ、その時の自分の心を。そして扱って見せろ、レティスを助けるため、その為に俺はここに来たのだから!
レティスを助けると思ったその時、俺の内に光が生まれた。弱弱しかったが、それでも光は微かに闇を照らす、だがまだ光は弱い。しかしそれを俺は手に取る。すると最初は小さな一センチにも満たない小さな光、だがやがてその光は徐々に光の強さを増していく。光が増していくと俺に巻き付いていた泥のようなモノが逃げるように、光に触れた泥は体から剥がれ落ち、無へと帰っていく。そして、暗闇だった空間全体を燦爛と輝く照らす太陽となった光が照らす。そこにあったのは、真っ白な空間が広がっていた。いや、違う、空間の一角に、巨大な檻と言うべきものがあり、その中には金色の鱗を持ったドラゴンが封じられていた。
(ようやく、あの子を救えるだけの者が来たようですね)
「お前は‥…」
(私は、彼女、レティスの龍の力が意識と自我を得た存在ですよ。陽の力を持ち、我らが祖と契りを結びし者よ)
まるで頭に直接響くような、重さのある声とその姿に俺は思わず圧倒された。鱗の違い等はあるが、その姿はまるで鏡合わせの様に、エルと限りなく酷似していた。やがて俺がその姿に驚いていると気が付いたのか
檻の中の黄金の龍は口を開いた。
(今の私の姿は、祖の姿を模している存在に過ぎない。本来の私はただの血だが、自我が芽生えると、私はこの姿になっていた)
(つまり、気が付いた時には既にその姿になっていたという事か)
黄金のドラゴンが言うには、元々意識や自我は無かったが、ある日突然自我が芽生え、以降はこの姿になっているという事だった。取り敢えず、どうしてエルと似たような感じになっているのかと言う疑問が解消された事によって、俺は次の疑問について尋ねた。
「お前は、どうしてその檻の中に居るんだ?」
(ああ、それはな。宿主を苦しめている存在を、いや【陽】を司る私自身を贄に封印する為だ。先程貴方を襲ったのは封印していてもなお漏れ出した力の一部だ)
「アレが‥‥力の一部‥‥」
俺は思わず言葉を失った。謎の声が無ければ飲み込まれてしまっていたかもしれないあの泥のようなモノが封印した状態から漏れ出た力の一部という事に俺は驚きを隠せなかった。
(だが、貴方の力ならば、あの黒い、竜の血の暴走を食い止める、いや解決する事が出来るだろう。その為に私も力を貸す)
「本当か!」
(ああ、だがその前に、黒い命を喰らう、我と対を成す負の力を削らなければ‥‥来るぞ!)
名もなき黄金のドラゴンの警告の言葉に俺は従い、俺は咄嗟に横に飛ぶ。すると直前まで立っていた場所に真っ黒なブレスが先ほど立っていた地面を抉りながら通過して行き、やがて離れた所で爆発音が耳を叩いたが俺はそちらに意識を向ける事は無く、ブレスが飛んできた方を見ると、そこに居たのは、闇と形容すべき檻の中にいる黄金のドラゴンとそっくりのドラゴンが居た。
「アイツは‥‥」
(あれこそ、私自身から分離した、主の命を喰らう負を司る存在。今では均衡は崩れ、私自身を封印の贄とする事でどうにか抑えていた者だ。そして、奴は貴方が宿主の命を救うために来たという事を奴自身も理解しているのであろう)
「なるほど、要するに、既に奴にとって俺は敵だと、排除する存在という事か。確認だがあいつを倒せば、バランスが戻り、レティスが死ぬ事は無いんだな?」
(ああ。ついでに言えばこの空間はいくら傷ついても主の体に悪影響を及ぼすことは無い。だが魔法を使うのは分かっていると思うが危険なのでおすすめはしない)
「ああ、分かっているさ」
そう答えながら俺は自分のやるべき事が定まった。魔力を使用する魔法はレティスへの使えない。使えるのはこの体から溢れる光だけ。だがそれで十分だ。
「アイツを倒して、レティスを助けてみせる!」
「グオオオオオオオォォォォンン!!!」
光を纏い、黒いドラゴンへと駆けだした俺に向けて黒いドラゴンはまるで迎い撃つかのように、まるで戦いの火ぶたがまさに堕とされたかのように咆哮上げたのだった。
時間が空いてしまい、本当に申し訳ございません。仕事の激務と、季節の変わり目で体調を崩し熱が出て、更に花粉症を併発してしまうという地獄のコンボを喰らい、ややフラフラ状態で書いたために内容がおかしいかもしれません。おかしな箇所などがあればご報告を頂けますと嬉しいです。
さて前置きが長くなりましたが、今回の話はレティスに宿り体を蝕むドラゴンの血の悪の側面とシルバーが対決をする前の話を書きだしました。次回の話は‥‥未定ですが、戦闘シーンを書きだすか場合によって飛ばす可能性があります。(あくまで可能性です)ですが後々ちゃんと書きだそうとは思っています。
さて、最後に改めて謝罪を。長い時間が空いてしまい、申し訳ありません。今後はあまりこのような事態にならない様に注意するつもりですが、場合によってはまた開く可能性があります。ですがそれでも待って、また楽しんでいただけるとシウとしてもとても嬉しいです。長くなってしまいました。今回はこれで、次回は、取り敢えず二週間以内にと思っています。では、また次話で。




