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第四十七話 「試験の内容」

ふう、戦闘シーンが…ムズイな…

ルヴィの試練とは‥…


シュトゥム邸。その中で、一通りの掃除などを終えたレティスにルヴィはこう切り出した。


「さて、それではレティスさんに私から、最後の試練をお教えしましょう」


「ルヴィさんからの、最後の試練、ですか?」


レティスは思わず不思議そうに首を傾げたが、レティスからの問いにルヴィは頷いた。


「はい、この試練は私個人のもので、ご主人様(マスター)ですら知らないものです。ですが、レティスさんがこれを受けてくださらないと、私は申し訳ないのですが、レティスさん、貴女を十全に信用する事が出来ません」


突然のルヴィの言葉に思わずレティスは硬直してしまった。それは、昨夜の事で信用してもらえたと思っていたレティスに衝撃を与えるのに十分な力を持っていた。それでもレティスはルヴィに尋ねた。


「つまり、ルヴィさんは私の事が信頼できない、と?」


「いえ、信用はしています」


「だったら、「ご主人様とエル姉さまの、信頼をされても、私はまだ、完全には貴女を信用できません」っ!」


レティスの言葉を遮りルヴィの口から告げられた言葉に思わず、レティスは顔を下にを向けてしまった。だがそこに、ですがとルヴィは言葉を続ける。


「ご主人様と、エル姉さまが信頼されていて、私もレティスさんを信じたい思いは確かにあります。ですので、だからこそ、レティスさんに試練を課すのは、私に貴女という人を信じさせてほしいのです」


レティスは考えた。何もルヴィは悪気があってレティスに試練を課そうと思ったのではない。それにシルバーやエルでも、そのような試練を課そうとは思わなかっただろう。そして周りに人がいない状態で自分に話してきた事をシルバーとエルは知らない事柄なのだろう。そう、ルヴィは自分を試しているのだとレティスは理解した。それならば、レティスはそのルヴィからの信頼に応えなければならないと思った。


「‥‥分かりました。やらせてください」


「…良かったです。それでは試験は夜に行いますので、それまでは先ほどの様にメイドとしての動きを教えます。」


「夜、ですか?」


レティスはてっきり今からやるのかと思っていただけに拍子抜けした表情となったが、すぐにその表情を引き締めた。何故なら、この後に控えているのは‥‥


「さあ、次は料理に取り掛かりますよ」


「はい!」


次の料理は、その日の一日の活力を食事を作るという大切な仕事だったからだった。



レティスとルヴィが朝食作りに行こうとしている、その頃、シルバーはつい最近知ったが、普段鍛錬場として使っていた山、グンテーレという名前を持つ山の中腹にて、二つの嵐が互いを喰らおうと激突していた。

シルバーの全てを切り刻む()による破壊と、ニクスの力が具現化した存在、「魔なる(グズィリー・)血龍(ラフェルト)」が互いに激突したその隣で、俺は「ジュワユーズ」を、ニクスは「暴毒の喰剣(ツェリット)」と言っていた細剣と切り結んでいた。


「その剣、良い切れ味だね」


そう言いながら的確に捌きにくい箇所を的確に突いて来る。そして時折必殺の如く心臓目掛けて突きを放ってくる「暴毒の喰剣(ツェリット)」を俺は何とか捌きながら、右足目掛けて突きを放ってきたそれを「ジュワユーズ」で弾く。


「お褒めに預かり、光栄だよ!」


そしてその隙に、細剣を弾いた時、内から外へと振った「ジュワユーズ」を弧を描くようにそのまま斬るのではなく、そのまま剣を引き、突きを放つ。最初、ニクスの細剣を弾いた際に内部の魔力が膨大故か、ニクスの体から滲み出る魔力によって「ジュワユーズ」が弾かれてしまったのだ。

それでは弾くことは防御が出来ても、反撃、攻撃が不可能だと俺は判断し、重さの斬撃から、早さと正確さ、何より一点集中による破壊でニクスの魔力防御を突破しようと試み、それは成功した。

そして今、細剣を持つニクスの左肩へと突きを放ち、「ジュワユーズ」の切っ先がニクスの魔力防御を突破し、肉を抉り、肩の骨へと到達し、見事に捉えたその威力を余すことなく伝え砕いた。感触も確かに骨を砕いたが、ニクスの表情は寧ろ喜悦で彩られていた。


「いいねえ、良いね、この痛み、これこそ戦いだ!」


「くっ!」


そして、細剣が使えないように様に砕いた側とは反対、すなわち右手にいつの間に作り出したのか、「暴毒の喰剣(ツェリット)」が握られており、今度は眼に目掛けて繰り出された刺突を咄嗟にボディエンチャントを掛け、後ろに下がったことによってに眼を潰される事は無かったが、刺突がかなり速かったせいか、髪の毛を斬られた。


「へえ、今の速さでも避けるのか、僕が言うのもなんだけど、君も大概だね」


「お前と一緒にするな。こちとら普通の、いや、ちっとばかり頑丈な人間だ!」


そう言い返しながら俺はちらりと俺が作り出した【疾風劒技・乱舞(アルバトス・デュオ)】を引き継いだエルへと視線を向け、そちらでは、俺の魔法を基に模倣したのか、操作権を渡した不可視の風の剣だけではなく、恐らくエルが作り出したであろう炎、土、水の剣やら槍が浮遊していた。


四閃(フォアクリッド・)乱舞(エルメッツア)


‥‥‥どうやら、俺の魔法を理解し、更に自分なりに改造した結果、風以外の三つの属性、すなわち、火・水・土を武器へと変化させたのが、あれなのだろう。それにしても‥‥


「灰燼と化せ、踊り舞う焔剣(ケルビム)、穿て暴虐の嵐槍(テンペスタ)


エルが作り出した炎が両刃の剣の形となった踊り舞う焔の剣(ケルビム)となった不可視の剣の群れ形を変え槍となり、「魔なる(グズィリー・)血龍(ラフェルト)」へと襲い掛かる。そして水と土が変化し、鎖となって動きを阻害していた。


「エルの潜在能力は一体どれほどなんだろうな‥‥」


一方的とも言える状態に俺は思わず、エルのその才能の一端が羨ましくそれ以上に改めて凄いと感じていた。まあ長生きしているし、ドラゴンの始まりの祖とも呼ばれているのだそれくらいの力を持っていてもおかしくは無いか、っと視線を戻すとそんな一瞬視界を外した間に風を裂き目の前に迫る剣身。


「ッチ、少しはゆとりをもって動けないのか、お前は!」


愚痴りながらも咄嗟に頭を後ろに引くことによって目の前を細剣の刃が通り過ぎる。


「生憎と、僕から視線を外した君の方が悪いと思うかな?」


「確かなその通りだな!」


「でも、それは今の僕だと君の視線を引き付けるのに足らないという事だろうね。それなら」


ニクスに正論を言われてしまい、俺は細剣を弾きながら再びニクスへと意識を戻した。そして俺が視線を離しニクスに集中し始めると同時にニクスが「魔なる(グズィリー・)血龍(ラフェルト)」を呼び出した時と同じく「暴毒の喰剣(ツェリット)」の刃を左手首に当て、そこから血が溢れ出し、地面に血だまりを作り出す。


「勝利をもたらし、願いを叶え、我が身を破滅へと導く呪いの剣よ、我が血より現れ出れ、我が願いを叶えよ」


血だまりの中から一振りの剣の柄と僅かな刀身が姿を現した。わずかに見える剣の刀身はまるで幾多モノ血を吸ってきたかの如く、血よりも更に赤かった。そして柄はまるで深い闇のように黒かった。そしてニクスは現れた剣の柄をを掴み、その名を告げる。


「幾多の血を吸いし魔剣よ、我が手に、勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)!」


血だまりより一息に引き抜かれ姿を現した剣はまさに【魔剣】の名にふさわしい姿と威容を誇っていた。


「どうだい、これが、僕の持つ最強の武器、勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)だ」


「ああ、恐れ入ったよ。まさか【魔剣】が出て来るとは思っていなかったよ、それにしても、その剣、お前のじゃないな?」


ニクスが扱っていた細剣は確かに剣だったが、今ニクスが手にしている勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)正反対のモノだったからだ。

細剣(レイピア)は刀身に刃が付いているので刺突と斬撃の二つが可能だが、どちらかと言えば刺突に一点突破の破壊に重きを置いている剣だ。故にニクスも斬るよりは突きを選択していたのもその証拠だ。

だが、ニクスが血だまりより取り出した、勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)は刺突よりも斬撃に重きを置いた、全く異なる剣だった。


「ああ、そうだよ。この剣はつい最近入ったある所に所属した時に教祖とかいう奴から渡されたものでね。彼、彼女は一体何者なんだろうね?ついでに言えば、その組織は君たちと縁があるそうだね?」


「縁がある組織、だと‥‥‥まさかッ」


思い起こすは六年前、カルアスと言う名の女槍使いとの死闘の果てに、どうにか辛勝する事が出来た、カルアスが所属する、ドラゴンを殺す、取り込むことによりドラゴンへとその身を変える原初の龍血(エア・エクセリ)を持つ知らぬ組織。


「ああ、そうさ。さて、おしゃべりはここまでとさせてもらおう。君のおかげで時間が余り残されていないからね」


時間が残されていない、その言葉に俺はニクスから視線を外す事無く、辺りを覆っていた黒雲が徐々に晴れつつあるという事に気が付いていた。それは同時に俺が仕掛けていた布石がうまく働いたという知らせでもあった。


「だから、この一合で、決めよう。君がこの剣、所持者の願いを三度叶えるという因果を決定する力、その一度を以て君が乗り越えられるかどうかを!」


「‥…良いぜ、その挑戦、受けてやろう」


俺の返事にそうでなければ、とばかりにニクスは笑みを浮かべる。


「なら、僕は願おう。「この剣を以て、君の心臓を穿つ」と」


ニクスが願ったのだろう、赤かった刀身が何処か危険な魔力によって包まれる。恐らく今、ニクスの剣が俺の心臓を穿つという結果、結末が決められたのだろう。


「さて、俺は、因果を超えられるか」


だが、俺に焦りは無かった、寧ろ絶好のチャンスだと思っていた。何故なら、因果くらい越えなければ、今後、もしそのような相手が出て来た時にどうしようも無くなってしまうのだ。だが、もし因果を超えられなければ、俺は死ぬことになる。守るべき存在を残して。だがそうでもしなければ、彼女の隣で歩くことは出来ない。俺にはまだ力も足りないのだから。


「どうしたんだい、まさか怖気づいたのかい?」


俺が動かないのを不思議そうにニクスが言って来たが俺は逆に笑みを返す。


「いや、自分自身の相変わらずの無鉄砲さに呆れていただけだ。」


その会話を最後に俺とニクスは無言で、互いに剣を構える。


「お前の、決めた因果に対して、俺はそれを、斬る」


魔法など、世界に干渉する根幹にあるのは詠唱ではなく、イメージ。ならば創造するは運命、宿命、怨恨、全てを切り裂く刃。妖霊を、冥府の鬼を斬り、天の法則を斬る妖しき刀「村正」。そして再現するは、「村正」の斬るという一点。そして斬るのは既に定められた俺が死ぬという結果(因果)


「我を勝利へと導け、臓腑を喰らえ、勝利と破滅の呪剣(ティルフィング)!」


「ああ、来い!俺は決められた結果をも超えて行く。…因果を絶つは我が妖刀、其の名、千の山を斬り、海を斬り拓く無双の刃、「千山海刃 村正!」


そして互いに剣にオーラを纏わせ同じタイミングで、地面を蹴った二つの影が交わり、血しぶきと金属が打ち合った音が辺りに響いたのだった。

次の話で、ルヴィがレティスに課す試練が明かせればいいかな‥‥と思っています。

‥‥最近なかなか思い通りに浮かばない‥‥どうにかせねば‥‥でも仕事がくそ忙しい‥‥

前回の投稿にて一日でPVが初めて二千越えをいたしました。本当にありがとうございます。今後も拙いとは思いますが楽しく読んでいただけると嬉しいです。

それでは、また次話で。

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