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第四十一話 「到着です」

ふう、何度か修正とやり直しを経て、出来た‥‥

俺、シルバーにとっては家へと帰宅、イシュラにとってはまあ、初めての彼氏の家へ、レティスにとっては住み込むかもしれない家への道すがらに紅角鹿を倒すことによってレティスの力の一端である「血解術」を見る事が出来たが、逆に魔物に対する知識が幾分か欠けているという事も分かった。そして、今も家へと歩きながら紅角鹿の時の事を話していた。そして話をしているとやはりというべき事実が明らかになった。


「やっぱりか、レティス、君は魔物とあまり戦った事がないんだろ?」


俺が尋ねるとレティスは頷いた。


「はい、魔物と戦った事があるのは、依頼を受けた別の町からあの町に着くまでの二回だけですので」


「やっぱりか。どおりで紅角鹿を倒す中で必須の場所を知らないわけだ」


俺は納得とばかりに頷いた。人を相手にする動きは幾分か様になっていたが、魔物との戦いでは力も必要だが、それと同等か、それ以上に必要なのが知識だ。草などの知識があれば、例えば森で重傷を負い、回復魔法が使えない場合、その場に自生している薬草を使うしか助かる方法はない。だが知識がないと害のある毒草か等の判断が出来ず、助かる命を捨てる事に繋がるのだ。


「まあ、それは俺の家で教えるからいいけど、今度からは気を付けろよ?」


「はい」


「さて、説教臭い事はこれ位にするとして、着いたぞ」


俺はこの話題はこれで終わりだとばかりに、俺達は家へと着いていた。そして、家の前には二人の少女の姿があった。


「シルバー、お帰り」


「おかえり、義兄さん」


「ああ、ただいま、エル、リリィ」


俺は家の前で帰りを待ってくれていたエルとリリィにお礼を言うとエルとリリィは嬉しそうに笑みを浮かべてくれた。そもそも二人が家の前で待っていたのは事前に風に乗せてもう少しでつくという事を伝えていたおかげだった。二人の視線は俺と一緒に来たイシュラを見て大まかな事を察し二人はイシュラへと視線を移した。


「久しぶり、イシュラ」


「お久しぶりですね、イシュラさん」


「ええ、貴方達も元気そうで良かった」


エル達から挨拶をされたイシュラは久々に再会した友人だったが、エルがイシュラの左手の薬指に付けている指輪を見つけるとエルはイシュラに向け、イシュラもエルのその視線の意味に気が付いたのか、微かに覚悟を決めて頷いた。それは同じ男を愛する女としての覚悟を決めたかのようであった。


「うん、それに…良かった。」


エルは微かに微笑みながらそう言い、もちろんその事に俺は気づいてたが、この事に関してはエル達に任せているので俺は干渉しないことにしていた。

そして、イシュラたちの方は一段落したのか、エルとリリィの眼は俺とイシュラと一緒に来た金髪の少女へと向いた。


「ところで、貴方は?」


一応説明したはず何だがと俺が口を開こうとするとエルは分かってるとばかりにこちらを一瞬見てきた。そして気がついた。エルは何も知らない体で俺からではなく、直接本人から聞きたいからそう尋ねたのだと。わかった俺は口を開くのをやめ、エルは不思議そうにレティスへと水を向けた。


「あ、私の名前はレティス・ア・カーミラで、吸血鬼と人間のハーフです」


「ついでに言うと、吸血鬼の真祖の血を引く直系らしいぞ?」


突然水を向けられたレティスは少し焦りながらも自己紹介をした。するとエルは何かを感じ取ったのかレティスへと近づいて行き、エルは初対面のレティスある事を尋ねた。


「貴方、もしかして、あの時の人の血を引いてる?」


「あの人って?」


「確か、名前は、アルバ、だったかな?」


何処か昔の事を思い出しながら口にした名前に俺は聞いたことがない名前に首をかしげたが、一方のレティスはその名前を聞き、驚きのあまりエルを見つめ、レティスは驚いた表情のままエルに尋ねた。


「え、あ、はい。それが私のいえ、私たちの始祖たる吸血鬼の真祖の名前ですが、どうしてその名前を?」


レティスからの質問にエルはなんとでも無いように答えた。


「彼に力を与えたのは、私だもの」


「ええっ!そうだったのか!?」


まさかの、衝撃の事実にエルを除くその場の全員(レティスも含む)が驚いた。


「え、吸血鬼の真祖であり始祖である、常宵の冥王(ナハト・ノクス)に力を与えたのが、貴女(あなた)、なのですか?ですがおじいさまが言うにはその時の姿は‥…」


「純白の鱗を持ったドラゴンだった、かな?」


レティスの信じられないとばかりの問いにそう言葉を返すとエルの体が白く光るとその体は徐々に大きくなって行き、その姿は家を軽く超える程の巨体と白い鱗を持ったドラゴンとなり、陽の光を受ける鱗は神々しくも純白に輝いていた。


「あ、あ‥‥‥」


『これが、私の本当の姿』


エルは何でもないように言い変化したが、一方のレティスは驚きのあまりエルの声が聞こえていないようだった。一方の俺はエルの姿に驚くことは無く、寧ろ久々にエルのドラゴンとしての姿が改めて綺麗だと感じていた。


「やっぱり、相変わらず綺麗だな」


『‥‥そう、かな?』


俺の正直な感想にエルは何処か照れの含んだ声音で言って来たが、俺は別に誤魔化す必要がないので正直に頷いた。


「ああ、嘘言ってどうするよ。実際綺麗なんだから、な?」


そう言って俺がリリィとイシュラに同意を求めると二人ともそうですよと頷いた。


「それにしても、相変わらず綺麗な鱗ね」


イシュラは徐々にエルへと近づいて行きエルの鱗を触ろうとしたが、その直前にエルが竜化を解いたのか、その姿が再び光に包まれると人の姿になったエルが立っていた。そしてその事にイシュラは唇を尖らせてエルに抗議した。


「あ~あ、どうしてエルは私に鱗を触らせてくれないの?」


「イシュラは、触り方が、なんかいやらしい」


「いやらしいっ!?」


エルの言葉の矢を受けてイシュラはやや大げさに地面に膝を付いた。この場にいる人間(レティスは除外)は一度それぞれエルの姿を見た事があるのだが、イシュラはその中でいの一番にエルの鱗を触ったのだが、どうやらその時の熱心な触り方がどうやらエルからすればなんだかくすぐったかったのと、あんまり俺以外に触られたくないとの事でそれ以降滅多な事でエルは竜化する事は無かった。恐らく今回は手っ取り早くレティスに教える為に竜化したのだが、イシュラが近づいてきた事でエルは竜化を解除したのだった。


「お~い、大丈夫か~?」


「‥‥…はっ!、ご、ごめんなさい!」


固まっていたレティスの顔の前で手を振りつつ声を掛けると驚きのあまり呆然としていたレティスは即座にエルへと謝罪をした。それは綺麗な謝罪だった。サラリーマンが謝罪を繰り返していくごとに洗礼されて行き、相手に敬意を示しながらも謝罪という動き融合したかのような見事な謝罪(もの)だった。


「分かってくれた?」


「は、はい。疑ってしまい申し訳ありませんでした!」


「分かってくれればそれでいい。それで、どうしてアルバの子供がシンと一緒に来たの?」


「あ、いえ、それは、その‥‥」


レティスは何処か歯切れ悪く、もごもごと口に出そうとしなかったので、変わりに俺がエルにレティスとの出会いに関して教えることにした。


「いや、まあ簡単に言えば、殺されそうになったレティスを家で雇うために連れてきた」


「それ、誤解を招く言い方ですよね!?」


「「なるほど」」


「分かっちゃうんですか!?」


俺が簡潔に出会いを纏めて説明するとそこにレティスがツッコミを入れ、前もって事情を伝えていたエルとリリィはなるほどと頷くとレティスは驚きの表情でよくあんな簡潔な内容で分かりましたねとばかりにツッコミを入れてきた。ツッコミを入れた後レティスはハッとし、今自身が何をしたのかを思い出して縮こまってしまった。


「あれ、ご主人様(マスター)?もうお帰りになられたんですか?」


後ろから声がして俺が後ろを振り返ると、そこには両手いっぱいに山菜を持ったルヴィがいた。


「ああ、ルヴィ。居ないと思ったら山菜を取りに行ってたのか」


「はい、今日はリリィが作るのですが、緑があった方がいいかなと思いまして。とりあえず、中に入りませんか?」


ルヴィからの提案に俺は頷いた。


「ああ、そうだな。いつまでも外で話すのもあれだしな。皆も、とりあえず続きは中で使用か?」


俺がそう促すとエルとリリィは頷き、イシュラも流石に歩いて疲れたのだろう、そうしましょうと言うと屋敷へと足を向けた。


「ほら、レティス、行くぞ?」


「え、あ、はい」


一人縮こまっていたレティスに声を掛けるとレティスもエルたちが屋敷へと歩いている事に気が付き、屋敷へと歩き始めた。


「やれやれ、とりあえずレティスが何か厄介ごとに身を置いているのは分かるんだが‥…」


独り言ちながら俺は屋敷へと歩きながら、風に意識を傾けた。実は先ほどから怪しげな気配、いや視線が俺達を見ているという事に気が付いていた。いや、少し違うか、俺達ではなくその視線はレティスへと向いていたという事に気が付いていた。しかし何故いたと俺は言ったのか、それは視線を送っていた魔力体を今しがた風で切り裂き、消滅させたからだった。


「さて、これは割と近いうちに仕掛けて来るかな?」


俺は何処か他人事のように、恐らくこれから訪れるであろう嵐にどうしたものかと頭の隅で考えながら念のためと魔力で屋敷一帯を魔力を風に乗せながら放出し、風による結界を構築しながらエルたちの後を着いて行く。


風霞魔結界(ブリュム・フルス)


構築、発動すると取りあえず、気休め程度には良いだろうと俺は屋敷の中へと入ったのだった。そしてこの時はまだ知らなかった。翌日、衝撃な出来事が起きるという事に。




???


「ふむ、どうやら魔眼による監視に気が付かれまようですね、それに結界を使われたようで魔眼も届きませんか‥いやいやなかなかのものです‥ですが、彼女があの屋敷に入ったのは間違いがないようですね」


それさえ分かれば上出来だとばかりにそう言う男の居る裏通りの一帯は濃密に漂う血の香りが充満しており、男はなんとでも無いようにその中を歩き始めた。男の背後には数十人ほどの複数の人間、中には老若男女も含まれており、その全員が恐怖に顔を歪めて息絶えていた。そしてその全員の首筋には特徴的な二つの穴が開いていた。


「それにしても、やはり影渡り(シャドウウォーク)は血の中の魔力をかなり消耗してしまいます‥‥ですが、そのような枷から私はもうすぐ解放されるのです。その為に私は()()()()へと入ったのですから」


男は欲しいものがもうすぐ手に入るとワクワクしている無邪気な子供のように笑みを浮かべながら、建物の影へと全ての血を吸い取った裏路地の全ての死体を飲み込ませていく。


「それに、私に魔力()を捧げてくれたこの人間たちには、私の為にもう少しばかり頑張ってもらわないといけませんからね。ですがまだ足りない。」


そう言いながら全ての死体を影に飲み込ませると男はその影に沈んでいき、そこには血の匂いが残るが、それ以外は何ら異常のない裏路地へと変わり、静けさのみが戻ったのだった。


そろそろ、この章の物語が、男が何故レティスを狙うのか、かの教団とは一体‥‥徐々にですが動き始めて行く(予定)‥‥。取りあえず、浮かび、まとまり次第投稿して行こうと思います。

私事とですがPVが六万五千を超えていました。本当にありがとうございます。次の投稿はとりあえず今までのペースで二週間以内で投稿できればと思っています。どうかよろしくお願いします。それでは、また次話で。(長くてすみません)

おかしな箇所などがあればご報告お願いいたします。

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