第三十九話 「吸血姫メイドはいかがですか?」
吸血鬼×メイドは最強と思います(個人的に)問〇児のレテ〇シ〇はマジでかわいいと思います。‥‥すみません。
「「ええええええっ!?」」
少女は目覚した少女に対しての俺の問いはイシュラとセルヴィイさんは驚きの表情と声を上げ、それは暗殺者である少女も声は挙げなかったが同じ様子だった。
「どうだ?」
「え、そ、その‥‥怒って、いないんですか?私、貴方を殺そうとしたのに?」
どうやら少女は俺を殺そうとしたことに対して罪悪感を抱いているようだった。イシュラとセルヴィイさんもまだ
「ああ、全然大丈夫だ。それに俺を殺すことは、君には出来ない」
「な、何故そう言い、切れるのですか?」
「さあ、なんでだろうな。」
俺の言葉にはぐらかされたと感じたのか少女は可愛らしく頬を膨らませるとぷいっとばかりに横を向いてしまった。そんな少女に俺は仕方がないとすぐそばにしゃがむと頭を優しく撫でながら自分の中で決めている事を語りかけるかのように、独白するように俺は話しかけた。
「これは俺の信念みたいなものなんだが。俺が誰を守ろうと俺の勝手だし、それは誰にも文句は言わせない。そして、家の無い少女に、俺を殺そうとした腕の立つ暗殺者を俺がスカウトするのは別におかしい事じゃないだろ?」
「‥…それは、まあそうですが」
「それに、俺の家には俺と同い年の女の子もいるからさ、仲良くしてもらいたいんだよ」
「それでも、私は、今まで何人もの人を‥‥」
「それは今、関係がある事なの?」
少女が再び暗くなる中、一人ツッコんでくる人物がいた、イシュラだった。
「え?」
「今、貴方の目の前にはあなたを救いたいという思いから、手を差し伸べてくれる人がいるのよ。貴方はその人の手を振り払ってまた暗闇に一人でいたいの?」
「それは‥‥‥…いや‥…です」
イシュラの言葉が少女の心を揺さぶったのか、確かに少女は嫌と、一人では居たくないと口にした。そしてそれを聞いたイシュラは俺へと視線を向けてきた。それは少女を妹のように優しく見詰めるような瞳で、その瞳は俺に後はお願いと言ってきていた。そしてイシュラからの願いに俺は頷いた。
「一人が嫌ならば、俺の手を取れ。」
「でも、私は吸血鬼のハーフです。皆さんが厄介ごとに巻き込まれるのは…」
「そんな事は気にしなくていい」
「でもっ!」
「いいから。何かあったらその時は俺に、いや、俺達に任せておけ。一応この国の王様とのパイプを持っているからな。気にするな!」
「まあ、あなたの人を見る眼に関して、実力に関してもは疑うつもりはないわ。けど、あなた国王とも面識があったのね。道理で国王直属の部隊の人と会っても驚かないわけね」
「ああ、まあこれはまさに偶然が成しえた事だな」
俺がそう言うとイシュラは困ったような、それでも惚れた男だから仕方がないかとばかりにため息を吐いた。
「はあ、分かったわ。貴方が言うなら任せても大丈夫だろうしね。貴女も、良いわよね?」
「‥‥‥本当に、良いんですか?」
改めて、尋ねてきた少女に俺とイシュラは頷いた。それにとイシュラは言葉を続けた。
「それにこの人が言いだしたら絶対曲げないと言う事は良く分かるわ。それにもし今シルバーが本気を出したら‥…」
「出したら…?」
「この町が一夜にして廃墟と化すでしょうね」
セルヴィイと少女は思わずまさかとばかりに苦笑いを浮かべようとしたが、イシュラの表情はまさに真に迫るもので、それが決して冗談ではないとという事に気が付かされ、恐らくそれを否定してほしくて俺を見てきた。
「いや、まあ‥…できなくはない、かな」
「嘘言いなさい。本気を出せば大きな嵐だって操れるでしょ?」
「いや、確かにそうだけども」
この時少女は思った。自分が刃を向けたのは人ではなく、天災と称してもいい程の力を持つ化身であったという事に。だが、現にこうして今自分が生きているのは彼のおかげであるという事も少女は理解していた。そして、これ程の力を持つ人物であるなら‥‥
「ね、こんな常識外れが人に成ったような奴だから。貴女も安心して一緒に居なさい」
「……分かりました。…何かあれば私を捨てても構いません。それまで、よろしくお願いします。」
俺は少女を納得させたイシュラの内容に釈然としなかったが、ペコリと丁寧に頭を下げてきた少女が納得してくれるのであればいいかと思うことにした。たが、今現在さしあたって俺が気になる事といえば‥‥
(一体、誰がこの少女を雇ったのかという事だな‥…)
そう、俺の中でどうしても引っ掛かっていた事、それは彼女がこちらの事をあまりにも知らされていなさ過ぎているという事だった。
だが、現状さして情報も何もない今の状況で深く考えても憶測を呼ぶだけであるという事も俺は理解できていた。
(まあ、問題があれば彼方から来るだろう)
俺はそう楽観的に考える事にした。差し当たっては、家の住人が増える事だろうか。まあ、吸血鬼だとかは俺は気にしないし、そもそも、吸血鬼がメイドになってくれたらそれはそれで夢がある事じゃないだろうか!?っとそんな事は脇に置いておくとして。そんな中セルヴィイさんが口を開いた。
「すみません、私はそろそろコイツを連れて行かなければならないので」
「あ、いえ、こちらこそ足止めをさせてすみませんでした。」
「いえいえ、貴方でなければこうも容易くはいかなかったでしょう。それに、彼女の件に関してましては牙を折られ当分大人しく暮らしていると国王陛下への報告書にてお伝えしておきましょう」
「ええ、でしたらついでに彼女も元気でいるという事も記しておいてください」
「彼女‥…そちらの彼女ではなく?」
俺の言葉に一瞬訳が分からなかったセルヴィイさんだったが、俺が国王陛下にぼかして伝えてほしい人物について思い当ったのか、笑みを浮かべた。
「ええ、分かりました。お伝えしておきましょう」
それではと言うとセルヴィイさんはクルアトを肩に担ぎ上げるとそのまま店を出て行ってしまった。そしてその店に残ったのは俺とイシュラ、そしてまだ名前を聞いていなかった少女だった。
「ところでイシュラ、今日はこの後空いてるのか?」
「え、いきなりどうしたの?」
俺からの唐突の質問にイシュラは少し驚いたように俺を見てきた。
「ああ、元々、告白が成功したらその子を連れてきなさいって母さんに言われていたんだ。それと、エルたちも久々に会いたいって言ってたからな」
「ああ、エル達とか、そう言えば大分会ってないわね‥‥」
「だろ。それで、どうかな?」
「う~ん、でもお店があるし‥‥」
「あの‥…エルさんと言うのは?」
俺はイシュラが悩んでいる所に声を掛ける事無く待っていると吸血鬼のハーフである少女が声を掛けてきた。
(そう言えば、まだ名前を聞いていなかったな)
とふと俺は思ったが、まずは彼女の質問に答える事にした。
「ああ、エルは俺の嫁さん(結婚はまだしてない)の一人でな、イシュラとは時々あっている仲なんだが最近会う事が少なくなってな。それで今回家招待して見てはどうかとエルに言われたんだよ」
「なるほど、そういう訳ですか…」
「ところで」
「はい?」
「すっかり忘れていたけど、君の名前は何て言うんだ?さすがに名前を聞いておかないとここままりそうだからな」
「あ、そ、そうでしたね‥‥私の名前はレティス、レティス・ア・カーミラです。一応、吸血鬼たちの王です。一応、ですけど‥‥」
「え」
「え」
「‥‥‥‥‥‥‥ええええええええええええぇぇぇ、王様!?」
「‥‥‥‥‥‥(マジか)」
イシュラは驚きのあまり声を上げ、俺は言葉が出なかった。‥‥どうやら暗殺者で吸血鬼のハーフだと家にいさせようと思っていた少女は吸血鬼の王様のようだったのです‥‥…
ーーーーーーーエクセリーナ魔法王国、王都 ディラントーーーーーーーーーーーー
カザフス・ディリスト侯爵。それは先々代の国王の血を引き、王都の貴族たちが住む貴族街の中で最も豪華絢爛であることが分かる屋敷があった。だがこの屋敷の主、ディリスト侯爵は客人を迎えていたその表情は優れていなかった。ディリストは元は容姿、魔法技術共にトップクラスであった。だがそれから何十年の月日がたち、細かった体と頬は贅肉に覆われ、今にも絹の服がはちきれそうだった。
「くそ!このままでは我が侯爵家は取り潰しだ。それ故を回避する為に腕の立つ鍛冶師を我が物とする計画が、国王がまさかこのような手段に出るとは‥‥くそ全てが台無しだ!」
「そう言われても、提案されたのは貴方でしょう、ディリスト侯爵。全てをもみ消すことは出来ない。ツケとは自らの首を絞める行いであると言うのに。それに、あなたが雇ったという暗殺者「黑影」は私たちが殺すべき存在だったのですよ?」
「ふん、今となってはそのような事『王の剣、貴様ら吸血鬼の事情など知った事では無いわ!」
そう言ってテーブルを叩くと同時にディリスト侯爵に吸血鬼と呼ばれた一人の男はやれやれとばかりに首を振った。
「お分かりになられていないようですね。今の貴方は私にとってはただの家畜以下でしかないと言うのに」
「か、家畜‥‥だと?」
「ええ、だってそうでしょ?如何に過去の栄光が素晴らしくとも、今の貴方には全く関係も役立つこともない。そんなあなたに家畜程度の価値を与えているのですから、寧ろ褒めてもらいたいものですよ…さて、それじゃ私はお暇をいたしますか」
そう言って吸血鬼の男は音もなく立ち上がるとドアへと歩き始めた。
「貴様、逃げると言うのか!」
「逃げる、ふ、家畜の分際で私に意見するとは…まあいいでしょう、答えましょう、別に私は逃げるのではありませんよ。もうこの屋敷に用がないだけです」
「ふざけるな、そもそも貴様がっ!」
その瞬間、ディリストの腹部に吸血鬼の男は腕を差し込み、贅肉の腹をまるで紙きれを貫くように穿った。
「それ以上私に意見をするな、豚が」
「く、そ、‥…ディリスト侯爵当主である、この私を、殺してタダで済むと、思っているのか!?」
「ええ、思っていますよ。ですが、あなたの血の記憶だけはいただきますよ。それがないと私は困ってしまいますので‥‥それでは、さようなら、か弱き人間」
吸血鬼の男がそう言い残し、腹部に差し込んだ手を一息に抜き去った。そして支えを無くしたディリスト当主、カザフス・ディリストはその重い体を糸が切れた人形のように豪奢な絨毯の上へと倒れ込んだ。
「やれやれ、これが人間か。やはり脆い」
その時吸血鬼の男の耳が捉えた音は金属の錠が外されたような甲高い音を捉えた。どうやら、先程この豚が言っていたこの国の国王直属の部隊である『王の剣』だろう。そして感じ取れる魔力の強さそのどれもが血を流し体を横たえた男よりも数段であると男は感じ取っていた。
「へえ、思いのほか、良いものまで居るじゃないですか‥‥ですが、今は止めておきましょう」
男は瞬き一つ分の間何処か戦闘と快楽、血を求める獣のような表情を浮かべたが、それはすぐに納めると、影となっている部分と同化し始めた。
「今の私の目的はただ一つ王の血を引く半血にして我らが女王『半純血の吸血女王』、貴方の命、そしてあなたのその体なのですから‥‥」
そう言い残し、男の全身は影へと飲み込まれ、部屋に残されたのはカザフス・ディリストの死体だけだった。
前書きに関しては気にしないでください。ちょっと疲れてテンションがおかしくなっただけっですので‥…
さて、今話は、まあ主人公が吸血鬼の女王様を屋敷に招くという話になりました。まあ、次話は実際にシルバーの屋敷に行く‥‥予定です。
因みに後半に出てきた吸血鬼の男は、まあ敵ですね。‥…
それと、この話ですが、もしかしたら改稿をするかもしれません。(内容が途中で頭の中で消えて‥‥作り直したのですが、いまいち納得できていないので)
次回の投稿ですが、二週間以内でと今の所は思っています。(思いつけば、早いんですが)
それでは、また次話でお会いできますことを…
現在、世界最強の錬金術師ーアルケミストーを再々編集の末に再度投稿しています。興味があれば見ていただけますと嬉しいです。それでは。




