第二十九話 「誓約」
まず最初に、さぼってませんからね?2021年7月5日に第二十九話を新たに執筆しました。
ですので、実質最新話ですね。←そんなことはない。
そもそもが、この話は一章内で最も長いんですが、そんな中で改稿ではだめだ。と新たに書き出すことになったのですが、その結果、一から話を組むことになり、更に今話を含めて二話追加する事になるという、自分で自分の首を絞める事態になりました。【_(\○_ もう無理・・・ 】
ですので、お待たせしますが、第四章は、もう少しだけお待ちください。ぺこ <(_ _)>
「さて、それじゃあ、体も温まってきたところだし、やろうか」
その瞬間、カルアスから放たれた闘争の熱気に俺は反射的に剣を構え、「全身強化」と同時に「風を視る者」を発動させる。
そこで分かった事、それは先ほどの闘争の熱気による威圧はエルたちにも放たれていたようで、エルたちに動くなという牽制を兼ねた威圧の様だった。
「ふふっ、それじゃあどれだけ楽しめるか、試させてもらうよ!」
そう言うと、カルアスの姿は蜃気楼の如く消え去り、それを見た俺は視覚ではなく、聴覚に感覚を研ぎ澄まし、僅かな音や風の動きから高速で動いているカルアスが出現する場所を割り出すことに集中する。
(…後ろ!)
そして、割り出した場所、右後方に向けて横薙ぎに剣を振るうと、ギャリンッ!と金属よりも硬いもの同士がぶつかった音と共に、カルアスはいた。
「へぇ、眼で追えない速さで動いていたんだけど、良く分かったなぁ。一体どうやって分かったのかな?」
「教えるかっ!」
互いの得物同士が火花を散らす中、カルアスの口調にはまだまだ余裕たっぷりで尋ねてきたが、素直に教えるつもりはないので、押し切るつもりで剣を振りぬくもその力を利用して
カルアスは何ともなかったように後ろへと下がる。
「っと、つれないな」
「当たり前だ。そっちが余裕でも、こちとら死ぬ気で戦っているんだ」
「あはは、まあ、それはそうだね。実力に差がありすぎるからね」
笑みを浮かべるカルアスに対し、俺は油断なく剣を構える。実際、カルアスと俺の実力差は圧倒的で、人が一人で津波に挑んでいるというのが最も適した例えだろう。
そして、ギリギリ拮抗しているように見えるのは、カルアスがまだ力を見せてないから。であればその隙を突けばと思うが、そんなものが通用しないほどに、今の俺とカルアスの実力はかけ離れていた。正直、死んでいないのが奇跡というべき状況だった。
(くそ、強さの次元が違い過ぎるだろ…!)
思わず、内心でそう愚痴りたくなるほどだった。それでも、剣を下ろそうとは一切思わなかった。そうして構えていると、カルアスはじっと俺を、そしてエルを何度か見たかと思うと小さく口を開いた。
「…なるほど、まだその状態なのか…いや、ここは試すかな?」
そう呟くと、カルアスが槍を構えた。そこまでは見えたが次の瞬間に悪寒が走り、わずかに体を動かしたときには既にカルアスは目の前へと移動しており。
「ありゃ、外れたか」
「な…」
いつの間に、それが言葉になる事はなく、代わりに口から血の塊が吐き出され、僅かに視線が向いたおかげで状況は分かった。胸を一本の朱槍によって貫かれていた。
「心臓を貫くつもりだったのに。君、結構やるね」
「はっ‥‥そいつは…どうも…」
槍を引き抜かれ、血があふれ出し全身に痛みが波及する中で、どうにか倒れないように足に力を籠める。
正直、何処を狙っていたのかが分からない中、無意識に体を動かした結果、心臓を貫かれなかったが、それでも心臓に近い場所を貫かれているので、致命傷と言えるほどの傷に違いはなかった。
「あはっ!」
何かを見たカルアスが笑った。それが分かった瞬間、圧倒的な、恐怖を感じさせるほどに強大で、冷たさを宿した魔力が辺り一帯を支配する。
「エ、ル…?」
そして、痛みのお陰で意識が直ぐに薄れるという事はないも、体が動かせる余裕もなく「風を視る者」で後ろを見るとそこには、魔力こそ抑えられていたが一切の感情を伺えさせない能面と瞳でカルアスを見るエルの姿があった。
「‥‥‥」
「へぇ、それだけ怒るってことは、やっぱりこの子がそうなんだ?」
エルの一切伺い知れない無表情から何かを読み取ったのか、カルアスはそんなエルに対し楽しそうな笑みを浮かべる。
「で、そんな大切な子が死にかけてるけど、どうす」
る。とカルアスが全てを言い終える前に、カルアスは吹っ飛び、それを追うように風すらも置いていくほどの速さで通りすぎた。
(今のは‥‥)
そして、それが怒り狂ったエルだと分かりながら、血を流しすぎたせいで貧血になった俺は全身から力が抜けてしまい、倒れそうになった所を誰か、この場にいる人物からしてルヴィが抱えてくれたのを最後に、意識を失った。
「っと、随分と飛ばされたな」
軽く二キロほど後方に吹き飛ばされた、その証拠として今の場所まで地面に刻まれた二本の線が残っていた。そして、そんなカルアスを追うように迫る一つの影があった。
「‥‥」
カルアスは槍を地面に突き立て、一息つくと人の腕が鱗に覆われた龍の腕と変化する。
「まさか、これほどに怒るとは思わなかったぁ」
カルアスは、怒り狂い自分の目前に迫る白い死神と化した存在に対し拳を構えながら、思わず考えが浅はかだったと反省していると、両者がぶつかる。
「まあ、これはこれで、ありか、なっ!」
そして、龍鱗に覆われた拳を流し、横に腕を振るうもエルの振り上げた腕によって防がれる。それを予想していたカルアスは腕を振るった勢いを利用し蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。がしかし何事もなく蹴っ飛ばしたわけではなかった。
「~~~っ!硬ったぁぁぁぁ!?」
まるで、焼き固められた超硬度の金属の塊を蹴ったかのような硬さに、カルアスは思わずそう言うが、足に目立った外傷はない。がそれでも硬いものは硬かった。
が、つぎの瞬間にはカルアスは態勢を立て直し、何事もなかったかのようにエルの拳を避け、返しに拳を振るうも避けられる、それを幾度か繰り返し、互いの拳をぶつかり合い、鬩ぎあう事で動きが止まる。
「ふぅ、少しなまったかな?」
「‥‥」
見たものを凍らす。それ程までに冷たい眼をした少女が口を開く。
「普通じゃない。アナタは、何者?」
「え…まさか忘れちゃった? 私だよ、赫焔なる星龍エリュトロン。良く知っているはずだよ?」
「赫焔なる星龍エリュトロン…私と似た存在? それがどうしてシンを殺そうとするの?」
冷たさを纏いながらも不思議そうなエルの反応。それはまるで感覚的には分かるが、何故わかるのかが分からない。そんな様子で、そんな様子にカルアスは失敗したとばかりに頭を押さえたい衝動に駆られた。
「…まさか本当に忘れてるぽいねぇ」
カルアスは演技していると思っていたからこそ、大事にしていた存在である男の子を死ぬかほどの、瀕死の重傷を負わせ、それによって戦う事と、本音を聞こうと思っていたのだが、そもそもの前提条件が成立していないという完全に予想外な出来事。
(これは、どうしたものかなぁ)
正直、記憶が無いという時点で本音を聞くという事も意味を為さなくなってしまった。何せカルアスが話したかったのは、記憶を失っていない「永遠なる星龍」だったからだった。
「けど、それなら、これはこれでありかな!」
僅かに腕を引くことで、均衡とエルの体勢を崩すことで生まれた拳同士の間に生まれた隙間、その隙間を押しつぶすように拳を振りぬき、エルは後退を余儀なくされるも、その立て直すと尋ねた。
「アナタの目的は、私?」
「うん。じゃあちょっとしたちょっと謝罪の意味を含めて教えようか。まず一つ、組織が狙っているのは君を含めた龍だよ、まあ、その中で君は最上位の標的だと思うけど。そして、君が気になっている事。彼を狙ったのは、興味があったからだよ」
「そんな理由で?」
「そんな理由でも、私にとっては十分だよ。何せ君が惹かれた存在だ、私が興味惹かれるのはおかしくないと思うよ?」
カルアスの答えに、エルの言葉により一層の冷たさと白いオーラを纏い、一方で、赫焔なる星龍は笑いながら体からは赫い焔のようなオーラを纏う。
「記憶が無くなっても、そこは一緒だね」
そう言って一息。カルアスは赫い光の残像を残す速度で接近し、龍の腕と化した拳を振るうがそれをエルも龍の腕で受け止めるが、後方へと押しやられる。
「そう」
赫焔なる星龍の言葉にエルは短く言葉を返すと、一歩踏み出し距離を詰め拳を振るい、それをカルアスは正面から受け止めるだけに留まらず、カウンターにエルの顔目掛けて拳を放つが、避けられ逆に一撃を貰ってしまったが、カルアスは笑っていた。
「はははっ! 記憶が無いとはいえいつぶりだろうな! 君と戦うのは!」
「…ッ」
カルアスの言葉にエルは怒り、そして僅かに焦りの混じった声で言葉を返し右手に力を籠め、カルアスの腹へと拳を放つが、姿勢を下げ潜り込むようにして避けられる。
「避けないでよ、久々なんだか、らっ!」
「がっ!?」
そして、腹部に膝蹴りが直撃し、エルは苦悶の表情を浮かべながらも体を動かす。
「あああぁぁっ!」
僅かに隙が出来ていたカルアスに右足で蹴りを放つことで、カルアスを蹴り飛ばし地面に着地したエルは苦し気な表情を滲ませながらも立ち上がり、構えると土煙が払われそこには、口元のほんのわずかな血の跡が付いてこそいたがそれ以外はほぼ無傷なカルアスが立っていた。
「ふう、いや。まさかあの状態で蹴って来るなんてねぇ」
首を軽く動かすとゴキゴキッと岩同士を擦り合わせた際に鳴るような音を鳴らした後、カルアスは構える。
(…強い)
カルアスと名乗っている、赫焔なる星龍エリュトロンと名乗った自分と同じく人化している龍。正直、いま全力で戦っても勝つ確率は四割あるか、無いかといったところだが、それ以上にエルが気にしている事。それは怒りのあまり置いてきてしまった、瀕死の状態のシンの事だった。
(何とか、戻って治療をしないと…)
幾ら驚異的な実力者であったスサノオの子であろうと、人間であることに変わりはない。そして血を失い過ぎれば命を落とすのは、変わらない理だった。
「ふふふっ、何をしたいのか分かるけど、それをしたければ私を倒さないと行かせないよ?」
しかし、それを理解しているカルアスは笑みを浮かべながら、一切の油断が存在していなかった。
(強行突破するのは…難しい。時間を掛ければ可能性はある。けど、突破できたとしても間に合わないと意味がない…どうする)
エルが迷っていた時だった。
「さぁ、どうすがはっ!?」
「え?」
エルの目の前で、カルアスがまるで後ろから何か直撃しカルアスがすぐ横を吹き飛び、油断していたのか頭から地面に着地する。
「エル姉さま! 早く戻ってあげてください!」
「ルヴィ!?」
そして、カルアスが立っていた場所に立っていたのは、シルヴァの傍にいる(置いてきた)はずのルヴィの姿だった。
「どうしてここに?」
「それはこっちのセリフですよ! 怒るのは分かりますけど、瀕死のシンさんを置いて戦わないでください!」
「…ごめんなさい」
詰め寄ってきたルヴィにエルは素直に謝る。普段であれば起こりえない、立場の逆転がこの場に限って起こっていた。
「もう。それは後でいいですから、早くシンの所に戻ってください! 今の私じゃシンを助けれないけど、エル姉さまは助けることが出来るんですから!」
「けど、あいつをルヴィに任せるのも…」
「そのくらい知ってます!けどシンが危ない状況で四の五の言う余裕はありません! 如何にか時間稼ぎくらいは出来ますから! 早く行ってください!じゃないと本気で怒りますよ!?」
エルの言葉をかき消すように、そんなことなど百も承知だと言わんばかりのルヴィの言葉に、エルは何も言えなくなる。
ルヴィは自身と比べてまだ幼い。しかし、幼いが故に行動に迷いが無い。それがタイミングもあったとはいえ今の状況を生み出したに違いはなかった。そして、ルヴィに背中を押されエルは決断した。
「分かった。お願いする」
「はい、任せてください! だからエル姉さまもちゃんとシンを助けてくださいね?」
「うん。当たり前。だからルヴィ、死なないで」
「当たり前です!」
エルはルヴィにそう言い、ルヴィもそう言葉を返すとエルは背中から龍の翼が生えたかと思うと、その翼をたった一度はためかせるとその体は空へと舞い上がり、一直線にルヴィが走ってきた方角。シルヴァが居る場所へと飛んでいった。その様子を眺めている人物が居た。カルアスだった。
「あ~あ。行っちゃったか」
「襲おうと思えば、襲えたはずですけど?」
「うん、まあそうなんだけどね…っと」
何事もなかったかのようにカルアスは立ち上がる。実際、驚きはしたが傷など一切ついていないカルアスが何故エルを行けないように出来たのにしなかったのか、その理由はいたって簡単なものだった。
「だって。彼が死ねば彼女は本気で殺しに来てくれるけど、それだけ。でも彼が生きるのであれば、彼女と彼と戦える。二度おいしいからね」
「そうですか。面倒な人に目を付けられちゃいましたね」
歯に衣着せぬルヴィの言葉に、カルアスは小さく笑い。それに対してルヴィは拳を構える。
「やる気かい? 君はまだ幼いけどかなり聡い子のようだけど?」
「当たり前です。アナタが邪魔をしないと言い切れませんし」
「まあ、それはそうだねぇ」
カルアス自身も、もしエルが強行突破して彼を助けに向かった場合。更に妨害するために動いていたかもしれなかった。だがこの場にはルヴィが居た。
「シンとエル姉さまが戻るまでの、時間稼ぎをさせてもらいます!」
「ふふっ、それじゃあ精々楽しませてくれるかな!」
笑いながら構えるカルアスに対し、ルヴィも籠手を身に着けた両腕を構え。こうして、負けられないルヴィの時間稼ぎの戦いが始まった。
(温かい…)
まるで、優しい光に包まれているかのように温かい。そんな中、目を開けるとそこにはまるで現実味のない真っ白な空間だった。
「ここは…」
「ここはアナタの魂を現世へと留めるための空間です」
背後からの声に振り向くとそこには、白と紅の和服を身に着けた一人の女性が立っていた。
「貴女は…?」
「私は叢雲。天叢雲剣に使い手と認められた者を補佐する、疑似人格です」
「疑似人格…?」
見えている限り、人としか思えずとても疑似人格とは思えなかったが、他に気になることがあったので、後回しにする。
「俺は、死んだのか?」
「いえ、現在まで肉体を仮死状態することで生命活動を維持し、魂に関しても「魂揺の籠によって保護しています」
「つまり、死ぬ寸前ってことか」
「その認識が正しいです」
「意識を失って、どのくらいだ?」
「凡そ十分ほどです。そして二分ほど前に、赤い龍の少女が居なくなり、剣より半径一メートルを覆う障壁を展開しました」
「なるほど…」
どうやら、気を失った辺りからこの状態で、そして恐らくルヴィはエルを呼びに行った事で守り手が居なくなりその結果、叢雲が結界を張って今に至るという大まかな流れは理解できた時だった。
「あれは…」
真上の上空に背中に龍の翼を生やしたエルは、そのまま地面へと降り立つと、そのまま俺に近づこうとして、障壁の前で止まる。
「叢雲。障壁を解除できないか?」
「拒否。対象の侵入を許可できません」
「なに?」
俺の言葉に、叢雲はそう答えた直後、結界に触れたエルの手が弾かれ、その触れた場所からは焼けていた。
「おい! 何やってんだ! 早く障壁を解除しろ!」
「拒否。あの者は怒りに任せて使い手を危険に晒しました。故に入ることは許可できません」
「それは…」
確かに、あの時のエルは怒りに任せてカルアスを吹き飛ばし、追っていったが。それは俺を思ってくれての怒りだと分かる。だが同時に叢雲が言う生命の危機的状況であった俺を置いて行ってしまったのは事実だった。
そうしていると、エルは今度は両手を合わせ弾き飛ばされないようにして、一歩踏み出すと先ほどと同じように障壁に触れたエルを弾こうと光を発し、エルの手を焼くがエルは一歩、また一歩と確実に距離を詰める。
「対処の侵攻を確認、障壁強度の上昇、および対処を申請、承に「やめろ!」」
叢雲の言葉を遮るように、俺は声を荒げる。
「障壁を解除しろ、今すぐにだ!」
「しかし、そのような事をすれば「使い手の仮死状態、および生命維持、魂を保護する「魂揺の籠」も解除することになり、死ぬことになります」
「死なない。エルが居るなら、絶対だ。だから障壁を解除しろ」
「‥‥‥使い手の申請を承認……一つ忠告を。使い手の傷は呪いにより、魔法による治癒は無効化されます…道筋としては彼の者と誓約をされることです…幸運を」
少しの沈黙の後に叢雲はそう言い、俺の意識は白く染め上げられ、つぎの瞬間には視線は横になった状態に戻っていた。そして、すぐ隣には先ほどの障壁によって服を含めてボロボロに近い状態になった状態で地面にダイブしたエルが居た。
「悪い…な、エル。叢雲が‥‥意地悪を‥‥したみたいで」
「ううん。私が悪いから」
息も絶え絶え、まさに死にかけている俺の言葉に、エルは首を振って否定しながらも体を起こし、傷を治すために「全治快復」を発動させようとするも、俺の傷は塞がらなかった。
「どうして…?」
「…やっぱりか」
「シン、何か知ってる?」
「ああ。どうやら、あの槍で受けた傷は…呪いによって、治癒の魔法が、効かなくなる、らしい」
「そんな…」
意識が戻る直前、叢雲が言っていた、呪いよって魔法による治癒が無効されていると言っていた。そしてだからこそ、時間稼ぎとして仮死状態にしていたようだった。
(それならそれで、言って欲しかったな)
と内心で思いながら、俺は意識が戻る本当の直前に叢雲が言っていた事を、エルに尋ねる。
「エル…誓約って、知ってるか…?」
「‥‥知ってる」
「なら…教えてくれ。誓約ってのは…なんだ?」
「‥‥誓約は龍と人。またはほか種族同紙による真に信じ思う者同士で一度だけ行える、血と神器を使った最上級の契約にして呪いの魔法。誓約をした者は互いの魔力を共有でき話さなくても意思疎通ができ、奇跡を起こすと言われている。けど交わせば、決して解けない、だからこそ誓約は最上級の契約にして呪いの魔法と言われている」
「うまい話には、裏がある、ってことか」
叢雲が誓約を提案したのは、それが最も簡単に呪いを解呪できるからだったのかもしれなかった。まあ、呪いを解くために呪いに掛かるのは本末転倒な気がするが、俺からすれば何の問題も困ることはなく、決めるのは覚悟だけだったので、俺は覚悟を決めてエルに話しかけた。
「エルは、俺と誓約をするのは、いやか?」
「え?」
俺の言葉にエルは驚いた表情を浮かべた。
「奇跡を別にして、エルとなら、俺は一度しかできない、誓約をしたい。好きだし、な。もちろん、エルがいやじゃ、なければ、だけどな」
「‥‥私は嫌じゃない。けど、誓約をすれば二度と解けない」
「別に、エルが嫌じゃなければ、この場合は、欠点じゃないだろ?」
「‥‥‥」
俺の言葉にエルは沈黙する中で、僅かずつだが意識は薄れかけてきたが、それがエルにバレないように、気力で我慢をする。無理に誓約を結ぶのは、俺が嫌だったからだ。
そして、少しの間の後。エルは口を開いた。
「‥‥‥シンは、私と誓約をして、後悔しない?」
「さぁ、な。けど、俺は後悔しない、と思うな。何もしないってのが、むしろ後悔しそうだしな」
薄れる意識を、もはや痛覚も上手く働かない中でも口の中を嚙むことで意識を繋ぎとめる。
「…分かった。誓約をする」
そう言うと、エルは立ち上がると地面に刺さっていた天叢雲剣の刃を首元を切ると、白い肌と違った真っ赤な鮮血が溢れ出す。
「エ、ル…?」
俺の言葉に答えずに、エルは俺の首元に刃を当て動かすと、微かな痛みがあり、エルはそのまま剣を置くと、俺の首元に顔を近づけ同時に俺の目の前には赤い血が流れる白い肌が来る。
「…本当に、良い?」
「…ああ」
エルの最後通牒のような言葉に俺は答えエルは俺の。俺はエルの首元から流れ出る血を口にした。
『誓約。永遠なる星龍およびシルヴァ・シュトゥルム。両者の血の接種を確認。誓約魔法、開始』
その瞬間、頭の中に叢雲の声が聞こえたかと思うと天叢雲剣から眩い光が放たれ、俺とエルは光に呑み込まれた。
次話に関しても、書き直しの最新話になります←(確定)。
そして、それが終わり次第に第四章の執筆に移ります。本当にご迷惑をおかけしますが、こんな作品と作者ですが、よろしくお願いいたします。




