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第二話  「目覚めると異世界転生」

続けて、投稿。

二〇二一年、三月十八日に改稿しました。

 真っ暗な空間。しかし、雲のようにふわふわとした闇に沈んでいると、目蓋越しに温かい何か、陽の光のようなものを感じた。


(これは…光か…?)


 まだ目蓋は開かない。いや開けているはずなのに見えない。そんな中でも光のようなものを感じているとゆっくりと目の前の靄のようなものが晴れていく。


(うくっ!)


 目を開けていたお陰で差し込んだ光の眩しさのあまり視界は白く染まり、思わず眼を閉じてしまう。それでも何度が開けては閉じてを繰り返してようやく光に慣れて最初に見たのは。


(ここは、何処だ…?)


 知らない天井だった。


(俺は‥‥)


 靄のかかる頭をどうにか動かして、ようやく思い出した。


(そうだ、俺は強盗に刺されて‥‥。それで)


 どうにか殴り倒すことに成功して、警察が捕まえるのが見えたのを最後に、俺の記憶は途切れていた。


(あの状態だと、とても助かるとは思えない。という事は一体‥‥?)


 自分でもよくわからない今の状況に混乱しながらも体を起こそうと試みたが、全く動かなかった。


(体が動かない…いや、手は動く)


 体を起こすことは出来なかったが、頭と手足の感触などはしっかりとあり。俺はどうにか首を横に向けると、そこに見えたのは白い枕とシーツ、そして掛けられている布団で、奥の方には見た感じコンクリート製ではない木の壁が、窓は木の枠に透明なガラスを嵌め込んだ窓が見え、それは見たことのある現代の病院とはかけ離れていた。


(ここは、一体何処なんだ?) 


 そんなことを思いながら、俺は動く手をどうにか視界に入れる。そこには幼く、触れればさぞ柔らかいであろう小さな手があった。


(‥‥‥は? え…この小さな手って‥‥俺のなのか!?)


 そこまでごつい手とはお世辞時にも言えないが、それでも自分の記憶にある手の大きさと目の前の手の大きさには雲泥の差があり。

 更に頭の中が混乱しかけた時俺は、赤ん坊になっているのではと頭に浮かんだ。


(いやいや、そんな、ラノベとかじゃあるまいし‥‥)


 嘘だと否定する為に俺はどうにか体を起こそうとするが、自分の体だというのに体は思うように動かない。そうこうしているとガチャ、と扉が開くと部屋の中に誰かが入ってきたのが分かった。


「■■■。■■■■■■■■?」


「■■、■■■■■■■■■■■■■■」


(…何を言っているんだ?)


  何を言っているのか分からなかったが、それでも部屋に入ってきたのは二人だという事は音で分かった。ついでに二人の視線は俺に向けられている事からも、恐らく俺に関する事を話していると思われるが、そもそも言葉が通じるかは分からないながらも、俺は部屋に入ってきた二人に話しかける為に、声を出す。


「うばみゅ?」


 しかし口がうまく動かず出た声はうまく声を発声できない乳幼児そのものだった。けれどそれで俺が起きている事に気が付いたのか、話をしていた内の一人が近づき、話しかけてきた。



「■■■■■■、■■■■■■■■■■■?」


 近づいてきて見えたのは女性で。少し視線を左に向けるとそこには白い腰エプロンに黒いロングスカート、上は白と黒の服を身に着けた、メイドがいた。何を言っているのかは相変わらず不明だったが。


(美人だな…)


 俺の近くに来たメイドをそんな風に見ていると。


「■■、■■■■■■■■■■■■」


 もう一人が視界に入った。

 女性の髪は金色にわずかに赤が混じった赤金色、瞳は澄んだ青。そして口元には穏やかな、慈愛のこもった笑みを浮かべたままそのまま手を伸ばすと、頭の後ろにしっかりと手を添えて俺を抱き上げる。


(…ああ。これは完全に赤ん坊だな…)


 抱き上げられたこの時点で、認めたくない現実(事実)が確定してしまった事に、俺は諦めて認めるほかなかったが。すぐに思考は別の事に、俺を抱き上げる女性の事へと切り替わった。


(すげー、胸もあって、髪もサラサラで。おまけに美人でアニメとかのキャラがそのまま出てきたような感じだ。綺麗だど、それ以上に温かい)


 綺麗な人に至近距離で抱き着かれ、至近距離で感じる胸の感触は男であれば本来はかなり嬉しく、確かに嬉しかったが、今はそんな事よりもこの女性から感じる温もり(母性)が圧倒的に勝っていた。


「■■■、■■■■。■■■■■■■■■■■」


 その後、女性は嬉しそうに何度か俺を軽くゆすった後に俺がぐずついていないのを見て安心したのか、ベットへゆっくりと俺を寝かせると扉の方へと向かった。

 そして扉の近くで少し話をした後、その女性は部屋の外へと部屋を出て行ったが、扉の付近に感じる人の気配。恐らくこの部屋に居るのは俺とメイドの人だけの二人だけになったようだった。

 そんな中、母親と思しき先ほどの女性を見た時に、女性の瞳に映った自分を確認していた。


(まだ、生まれたばかりなのか、まだ髪は生えてなかったな)


 生後そこまで経っていないために髪などは確認できなかった。それでも一つ、目の色は確認できた。


(目の色は純粋な黒じゃなくて、黒が八、青が二の割合で混じったような感じの色だったな)


 先ほどの母親とぼしき女性の瞳は澄んだ青色だったので、恐らく瞳が黒よりなのは父親の遺伝子的影響が強かったのかもしれなかった。


(さて‥‥まあ、せっかくの二度目の人生だ。取り敢えずは生きていくうえでこの世界の言葉と、情報を集めないとな)


 正直言って、眉唾物。本の中だけの出来事だと思っていた出来事に本当に遭遇したことに内心でまだ困惑はあった。それでもこうして拾った二度目の人生を無駄にしないために、俺はこの世界で生きていく覚悟を決めたのだった。



 生きていく覚悟を決めて、数か月が経過し。季節は秋へと差し掛かろうとしていた。

 相変わらずベットから動けず、食べて、寝て、ウンチをして泣くと言った日常を過ごしつつ情報の収集に努め、そのおかげで様々なことが分かった。


 まず、分かっていたことだが、ここはやっぱり日本ではない事だ。これに関してはもう正直、割り切ることにした。

 友人もいて職場の人たちとも仲良くできていたし、ばあちゃんを支え、面倒を見ることが出来ずに先に死んでしまったことなど後悔は確かにあった。がその後悔が死を選ぶのは嫌だったので、どうにかこうにか自分の中で消化した。


 そして二つ目に、この世界では「魔法」と呼ばれるものがあることだ。

 これは、俺の世話係の若いメイドの一人が俺がじっと見ていたことに気が付き、面白いものを見せようと何やら呪文のようなものを唱え、俺の目の前で人差し指から小さな火種を作り出したからだ。

 これを見て俺はこの世界には魔法またはそれに準ずるものがあると判断した。

 そして、若いメイドが魔法を発動させる直前、俺にはその体から薄桃色のオーラのようなものが見えたような、気がした。


 そして更に時間が過ぎ、俺が生まれて半年と二か月が経つ頃に、練習の成果が実り、何とかメイド達の話を聞き取り、話せるようになり、その一月後には歩くことが出来始めた。それから更に二年の時間が過ぎた。

元があるところまでは早めに投稿します。

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タイトルについては後々付けていきます。

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