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第十七話  「鉱山へ行きましょう」  

二〇二一年、四月二十八日に改稿しました。

次話との繋がりがおかしくなっているかもしれませんが、少しお待ちください。近いうちに改稿しますので、少しお待ち頂けると幸いです、どうか、よろしくお願いいたします

 剣を受け取ったあの後、熱心に剣を見ていたイシュラにまた来る約束をし、何故か本気で感謝されるという事があったが、それ以外に特に問題が起きることもなく、俺とエルはギルドへと戻るとその足で、件の坑道へと向う事にし、現在。

 遭遇した魔物、ミノタウロスと戦っていた。


「せやああぁっ!」


「ブモウウウウウゥっ!」


 両手で石の斧を振るおろすミノタウロスに対し、俺は片手に持った刃抜きされた、俺の祖父の剣を石斧へと叩きつけるように、ぶつけると、ギャリギャリギャリッ!とぶつかり、僅かな既往の間、斧と剣の間に火花が散り。


「うおっ!?」


 剣を離さなかったせいで、全身に衝撃をもろに受けた事で、直ぐに体が動かず、俺は後ろへ数歩、弾き飛ばされてしまい、態勢を崩す。

 そしてそれを見たミノタウロスは、勝利を確信したかのように笑い。石斧から片手を離すと丸太をなぎ倒せそうなほどに太く、筋肉に覆われた腕で俺を捕まえよとしたが、俺は無理に態勢を整えず、そのまま後転の要領で体を逸らし、そのまま左手を地面に付き、ミノタウロスの腕が届かない場所まで後退する。


「やっぱり、とんでもない怪力だな…けど、それだけだ」


「ブモオオォォォッ!」


 斧を手放し、近くにあった二メートルほどの岩塊を野球の投手も青ざめるほどの豪速で投げつけてきたが、俺は既にそこにはなく。


「遅いぞ」


 先ほどとは反対側へと移動し、振り返る。ミノタウロスが気づかないほどの早さで移動できたのは、「全身強化ベルガ」のお陰だ。

 だが、単に回避のために反対に移動しただけではなかった。


「ブギャオォォォゥゥッ!?」


 先ほど、岩塊を投げつけた左腕。その付け根である肩の部分から先が切り落とされ、切断面からは血が噴き出し、突然の事にミノタウロスは驚きと、痛みが混じった声を上げる中、

 俺は視線を剣に向け、大丈夫だと確認すると掛けていた「魔刃強化ゼル」を解除し、小さく安堵の息を吐く。


(ふう、どうやら、このぐらいなら大丈夫みたいだな)


 以前、短剣に「魔刃強化ゼル」を使用した際、魔力を流しすぎたせいで壊してしまい、その反省を踏まえて、翌日、いつも通りに早起きをした後、近くにあった木の棒で練習し、その成果を試すために使ったが、結果は成功で、剣が自壊するという事は、なかった。


「これなら、実戦で十分使えそうだ」


 そう呟きつつ、視線を剣から怒りの籠った眼差しでこちらを見ているミノタウロスへと向けと。


「ブモオォォォ!!」


 怒りの雄叫びを上げ、持っていた斧を投げると態勢を低くし、力を溜める仕草の後、突進してきた。その迫力は、大型の車が猛スピードで迫ってくるようなもので。更に後のことは考えていない。それはまさに猪突猛進というべき姿勢が更にその迫力を増す要因となっていた。


「なるほど、捨て身の特攻か」


 そうしている間も、距離が詰められていき、ミノタウロスのスピードも上がる中、俺は「全身強化ベルガ」と「魔刃強化ゼル」を発動し、待ち構える。

 そして、両者が交わり、通り過ぎ、俺はその場から一歩も動いてはいなかったが、剣の握られた腕は振り抜かれており、一方のミノタウロスも勢いを殺すために足を止めた。その時だった。


「ブモ?」


 唐突に、ミノタウロスの視界が揺れ、手を突こうとするも右腕から先の感覚がなく、見えたのは手首から先が無くなっている事に気づくも、その体は止まる事無く壁へと激突し。


火炎フレイム


 最後に見えたのは、自身へと迫る炎の塊と、その炎を放った人間の子供の姿だった。


「…ふぅ」


 火属性中級魔法「火炎フレイム」が、ミノタウロスを跡形もなく焼き尽くし、それを確認した俺は、小さく息を吐き、「全身強化ベルガ」と「魔刃強化ゼル」を解除し、剣を背中に背負った鞘へと戻す。


「シン、お疲れ様」


「ああ、この位の魔物なら、何ともなさそうだ」


「そう。じゃあ、行こう?」


「ああ、そうだな」


 岩陰から出てきたエルと合流すると、何事もなかったかのように俺たちは洞窟の奥へと進み始める。


「そう言えば、どうだ、エル。近くにドラゴンの気配はあるか?」


「ううん。無い」


「そうか…それにしても、この坑道。松明がいらないで済むのは、この光る石のお陰なんだな」


「うん。ベルライト鉱石って名前の鉱物で、人の目に見えない光を蓄積、増幅して発光してる」


「なるほど、それじゃあ、これを外で使えば蠟燭を使わないで済むんじゃ?」


「それは、無理」


 この世界で、俺が知る限りでは、電気といえるものはなく、灯りは蝋燭や魔法。また「魔石」と呼ばれる魔力を内包する石を組み込み、灯りをともす「魔具」などはある。だが「魔具」を作るのに高度な技術が必要なため、使うのは王族や一部の貴族や金持ちだけで。一般では持っている人はほとんど存在しない。

 ゆえに、ベルライト鉱石は一般に普及できる新たな灯りになるのでは思ったのだが。

 エルは、首を横に振った。


「どうしてなんだ?」


「ベルライト鉱石は、強い光を浴びると壊れてしまう。だから、使えない」


「そうなのか…何か、いい方法があれば、広められそうなんだがなぁ」


 残念と思ったが、今は先ほどのミノタウロスのような魔物が居る場所。少し息を吐き、思考を切り替えつつ、進んでいると。


「シン」


「ああ。またあったな」


 エルの声に、俺も足を止めると、何かに使えるかと思い、【ヘーパイストス】で買った、というよりはイシュラから譲ってもらった、イシュラ曰く失敗作の短剣を少し先、窪んだ地面に投擲し、一つの石を割った瞬間、地面から無数の土の槍が何もない空を突き刺す。


「はぁ、これで一体、何度目なんだ?」


 ここに来るまでに、既に五度。全て事前に解除した、または意図的に発動させたが、そのどれもが魔石に土属性魔法を刻印したもので、最初は土属性初級魔法「石弾ガルス」だったが、奥へ進むごとに仕掛けられていた魔石に刻印されていた魔法は初級から中級に、そして先ほどは土属性上級魔法に分類される「黒石槍ヴァ・ガルス」だった。

 しかし、これらを仕掛けているという情報は、ゲンドゥさんからは無かったことから、鉱夫たちが仕掛けた可能性は低く、何より、設置場所が分かりにくく、まるで殺さんと言わんばかりの殺気のようなものを感じていた。


「さて、目的は何なのやら…」


「目的は、シン? それとも、私?」


「さぁな。取り敢えず、目的が分からない以上、警戒しつつ進もう」


 ここに至るまで、五度にわたって仕掛けられていた罠。

 そこから予想されるのは、この先に待っている何者かの目的が、俺とエル。そのどちらかという事だけで、俺とエルは警戒しつつ坑道の奥へと進んでいき。


「よし、ちょっと休憩しよう」


「うん」


 エルにそう声を掛け、俺は近くにあった石の上に腰かけ、エルも俺の近くの石に腰を掛ける。

 坑道はかなり広く、大人が大人十人が横一列になれる程に広いが、どうしても閉鎖された空間は、精神的に来るものがあり、ここに至るまで、何度か休憩を挟んでいた。


 そして、俺は右の手首に着けた、幾何学文様が刻まれた黒い腕輪に魔力を流すと、腕輪が僅かに発光し、何もなかった目の前に水が入った革袋が現れ、それを手に取ると、腕輪の光は収まる。


「‥‥ふぅ。それにしても、親父が残したのが「天叢雲剣あまのむらくものつるぎ」だった事にも驚いたけど、これも大概、凄いもんだな」


 エルに革袋を渡しつつ、俺は背に背負った二振りの剣の内の一つ、剣と同色、漆黒の鞘に収まっている「天叢雲剣」。そして魔力を流す事で、空間に干渉し、対象範囲の空間を入れ替えることが出来る、エルに聞けば。それは「失われた魔法ロスト・マジックと呼ばれる魔法が刻印された腕輪「風神天廻」。

 この二つが、スサノヲが遺したものだった。


「この腕輪をうまく使えれば、色んな事に役立ちそうだな」


 何より、ここに至るまで貰った物資を収納できるという事は、移動速度の向上、魔物と遭遇した際もすぐさま戦闘に移行できるという圧倒的なまでの利点だった。


「シン、嬉しそう」


「まぁな。こんなものを残すほどに心配してくれていた。それが分かるのは、嬉しいことだよ」


 母さんを置いて、何処かに行ってしまった。そのことは何かしらの理由があるにしても納得は出来ていない。だが、それでも子を思って遺してくれていた事に喜ぶのは、我ながら子供っぽいと思いつつ、エルから革袋を受け取ると再び収納し、立ち上がる。


「よし、じゃあ行きますか」


「うん」



 休憩を終え、俺とエルは再び奥へ奥へと進んでいく。その中で、一つ変化があった。


「‥‥これは、血の匂い?」


「どうしたの?」


「微かにだが、血の匂いがする。気を付けろ」


「分かった」


 互いに、俺は武器を、エルはいつでも魔法が撃てるようにとそれぞれ臨戦態勢に近い状態で奥へと進んでいくと、更に血の匂いが濃くなった。


「これは‥‥」


 そして、エルも血の匂いに気が付いたのだろう、僅かに表情を顰めるが、その足が止まることはなく、進んでいき、やがて、事前に教えられていた、幼い火竜アルシアが居るであろう坑道で、最も開けた場所に出ると、血の匂いはより一層濃くなり、それに混じるようにそれとは別の匂いがした。


「こそこそ隠れてないで、出てきたらどうだ? さもなければ」


 威嚇の意味合いも兼ねて、体内の魔力を少し活性化させる。すると、奥へと通じる道から、黒いローブで全身を覆い隠した何者かが何もなかった場所に姿を現す。


  「ふむ、思った以上に鼻が利くようだな、小僧」


 低い声で口を開いた黒いローブを身に纏った男。俺とエルはすぐさま戦えるように身構える。


「お前、一体何者だ、なぜこんなところに居る?」


「何故とは、愚門。あの御方に使え、選ばれし【龍裁者】たる私がこの場に居る理由はただ一つのみ。世界の【災厄】たる龍を殺すためだ」


「なに?」


 あの御方と【龍裁者】。聞いたことがない言葉に、頭の中に疑問符が浮かぶ中、男が動き、

 俺は反射的にエルの前に移動し、抜き放った【天叢雲剣】を数度振るい、エルに放たれた鉄杭。それらを全て切り落とす。


「てめぇ。今、エルを狙ったな?」


「ほう、名前を与えられたか、永遠なる星龍エターナル・レイドラゴンよ」


「あなたは、一体?」


  「知る必要はない。貴様も、貴様と関わったその小僧も、今ここで、引導を渡す」


 再び男の手が閃き、投擲される銀杭、その全てを【天叢雲剣】でもって斬り落とす。


「ふむ、あのお方の慈悲を拒むか、小僧?」


「ふん、知らねぇ奴からの慈悲なんぞ、必要ない。それにな、それはそいつが決めたもので、俺が決めたもんじゃない。ならそんなものは、俺には関係がないことだ」


「あのお方を、愚弄するか。良いだろう、貴様たちは、この私が最後の一片まで、裁き、浄化してやろう!」


 男がそう言った瞬間、僅かに振動があった。そしてその振動は少しづつ大きくなっていき。やがて姿を現す。


「さあ、来るがよい! 裁かれ、あのお方の祝福を受けた、その姿をそして、力を示すがいい、【死竜しりゅう】よ!」


「グゴオオォォォォンン!!!!」


 奥から姿を現したのは、虚ろな瞳に、鱗は剝げ落ち、全身の至る所から血を流した、幼い龍の姿だった。

ふう、ようやくこのシーンにたどり着いた。そして次はいよいよ戦闘シーンです。ですがまだまだ戦闘シーンは不慣れなので修正が増えるような気がしますがシウなりに頑張って書きたいと思います。どうかお願いします。


評価、感想、ブックマークを頂けますととても嬉しいです。また修正箇所があればお願いいたします。

ではまた次話で。

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