第百十八話 「二つの嵐」
最新話(リハビリと思い出し中です)を投稿です。半年以上、忙しくてあっと言う間に過ぎますね…。
あの後。レオンに殴り飛ばされたピッグレンが戻ってくる、という事は起こらず。その事に俺はあまりにも拍子抜けな結末だったが、それでも問題が大事になる前に早期解決できたのは、素直に嬉しい出来事だった。
だが、同時に困ったこともあった。それは、革命側の人間全員がレオンがピッグレンを殴り飛ばしての少し経った直後にその場にて昏倒して。
「…」
「え、これで終わり?」
と、俺とレオンは困惑して。
そこからはトントン拍子に事が進みあっと言う間に制圧でき、
革命に参加した者達もその際の記憶がひどく曖昧なものとなっている事で首謀者であるピッグレンの情報や背景など分からずじまいとなった。
(動きが無いという事は、これ以上は何もないのか? それとも王城での反乱は何らかの準備の一つだったのか…?)
と疑問が残る結果となった。そして、今回の革命に賛同した貴族たちは見せしめという目的と、膿を出すために更生の余地がある者達を除き、今回の一件で多くの貴族が爵位の没収、または領地の没収が決定された。
そして、結果的に良かった面もあれどもやもやも残る結果となってしまいながら凡そ一月ほどが過ぎて。
俺たちはいつものようにヴァルプルギス魔法学院へと通っていた、のだが。
「はぁ~…。それにしても、やっぱり気になるな…」
件の日から今日に至るまでの一か月間ほどの間。俺たちは二日前に再開した学校に俺たちは再び通い始めたが、その間も母さん達が革命の背景を知るために出来る限り手を尽くしたけど、その結果は芳しくは無かった。
とはいっても、それでやめる訳にはいかないので調査は継続して、母さんから情報の共有も行って現在のそんな中でも時間は進み、本日の午後最後の授業が終わったと同時。
「レオン、今日も一緒に訓練場に行くぞ!」
「…えっ。いや!? 今日は休みにしてもらいたいな~って、ちょっ!?ああああぁぁぁぁ~~!!!??」
まるで嵐のように言い訳を口にしていたレオンの腕を掴み走り去った彼女、ラヴィは二週間前にエクスカーナ魔法王国の隣国の一つであるサルバレット小国群を間に挟んであるレスティエーゼ王国からの急な留学生として来たクラスメイトで。
本来あり得ないこの時期の留学生に、更に言えば問題が起きたばかりの国に留学とはどうなのかと色々と話題になっているのだが。件のラヴィは周りからのそんな視線を一切気にしてない様で、いや実際に気にしていないというよりはそれ以上の対象を見つけているが故に気にしてないように見えるのかもしれなかった。
「やれやれ、レオンも大変だな」
明らかに引っ張りまわされて苦労しているであろうレオンと、そんなレオンを引っ張りまわすラヴィ達の初々しい感じに笑みを浮かべながら俺は立ち上がる。
レオンとラヴィは鍛錬場に行ったので、俺も鍛錬をする事にして立ち上がり、教室を出て鍛錬場へと向かう事にしてエルに声を掛ける。
「行くか?」
「行く」
もはや阿吽の呼吸で俺はエルと一緒に鍛錬場へと向かい、そこで繰り広げられていたのは双剣と双拳のぶつかり合いだった。
「はあああっ!」
「おおおおぉぉっ!」
ラヴィの戦い方を評するならば宙を舞うように回避し、相手に一撃を加えそこから一気呵成に剣戟を浴びせる。まさに蝶のように舞い、蜂のように刺すという言葉が最も的確だろう。
そして、一方のレオンの戦い方を表すなら質実剛健。回避を取るのではなく、防ぐ。隙を突くのではなく正面から強烈な攻撃を放つ、例えるなら戦車と言った所か。
「はあっ!」
レオンの放った拳に対してラヴィはひらりと回避、そこを起点にレオンに剣戟を放つがレオンはそれを捌き更に反撃の拳を放つ。それが延々と続くが、何故かそれを見飽きるといった感覚はなく正反対な二人の戦い方だが、見ていると何故かそれがぴったりと噛み合っており。
(二人が協力したら、かなりの強敵になるだろうな…)
二人の戦いを【風を視る者】見ながら、俺は内心でそう思いながらエルが放った三つの【火球】を切り払う。
「よそ見は、駄目」
「悪かった、よ!」
直感だが、その場から俺が跳躍し下を見るとそこには拳を振るったルヴィの姿があり。その顔は既に上、即ち跳躍した俺へと向けられており追うように地を蹴り跳ぶ。
「まあ、そう来るよなっ!」
そう言いながら俺は全身の力を近い体を縦に一回転させ、接近してきたルヴィへと蹴りを放つが、ルヴィが放った拳によって蹴りが相殺されてしまい。
「うおっ!?」
「やあああっ!」
ルヴィは俺の足を掴むとそのまま地面へと俺を投げて、急激に地面が迫る中で俺は敢えて腕を伸ばし、地面に指先が触れた瞬間に腕全体の力を抜いて脱力し、指先から肘、そして肩から背筋に衝撃を押しとどめ、今度は反対。背筋から肩、肩から肘へそして指先に力を籠める事で俺は再び跳ね、ルヴィに蹴りを叩き込む。
「ぐゥッ!?」
「まだ、甘い!」
蹴りによって硬直したルヴィに対してそのまま体を捻り肩に撃ち込むとルヴィはそのまま地面に激突して盛大な土煙をあげ、その近くに俺も足から着地して。やがて土煙が晴れるとそこには無傷のルヴィの姿があった。激突の瞬間、一瞬だが鎧を纏う事で鎧を緩衝材の代わりにして衝撃を逃がしたのだった。
そして、鍛錬の勝敗も決まる。
「ん、シルヴァの勝ち」
そうエルは宣言したのだった。
最新話は‥‥まず色々と思い出してから書き出したいと思います。
少しでも描写が良くなって楽しめてもらえると嬉しいです。
長らくお待たせしました、色々思い出して、星龍の契約者の執筆を近々再開しようと思っていますので、どうか、またよろしくお願いいたします。
では、読者の皆様。また次話で。




