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第百八話 「暗き闇夜の戦い」

最新話です。また今のような感じで改稿と最新話を投稿していきますので、どうか、宜しくお願いします。

戦闘シーンは、なかなか難しいです…( ̄▽ ̄;)


屋根(うえ)に一人、中庭に二人、玄関の木に一人‥‥合計四人か)


 倒す前に張った「遮風音界ケルメル」が解けていないのを確認し、更に「風を視る者」で屋敷全体の索敵を終え。まだ時間があると判断し俺はまず部屋の中に先程倒し、気絶させた黒衣の女を、手始めに全身を探り武器の類いなどを全て外し、更に、顔を覆っていた布など、下着をのぞいた以外の全て脱がし武器などを隠し持っていないかを確認していた時。首筋にタトゥーを見つけた。


「これは、蝶か?」


 描かれていたのは蝶を模した模様。それも炭で書いたというよりは、焼けた何かを押し付けて消せないように、所有者は自分だと。そう思わせられる跡があった。


(酷いことを)


 襲われたので、そこまでの同情はないが、それでもかわいそうだと思いつつ、頭の片隅に蝶の模様を頭の片隅に置きつつ、最後の確認へと移る。


(後は、口だな)


 定番だが、口の中には、情報を洩らさないために毒を仕込んでいる事が多い。そして、俺は別に殺したいわけでは無いので、死なれても寝覚めが悪い。


 故に死なれないために魔力を目に流し視力を強化し、口の中を確認すると、案の定と言うべきか、左の頬に何かが張り付けてあり取り出すと、それは毒々しい紫色の錠剤だった。それ以外に無いか、念入りに確認し終える。


「よし。取り敢えずはこんなところか」


 調べるために錠剤をハンカチで包み、ポケットに入れると俺はそのまま立ち上がり、もう一度「風を視る者」で屋敷全体を俯瞰するように視る。


(下は、動いたか)


 視た限り、先ほどの間に中庭から今いる部屋の下に移動しているところで、一切迷いなく俺の部屋の下へと移動していた。そのことから、俺だけを狙っているのは明白だった。


(室内での戦いは避けたい。けど武器なしだが、魔法主体でなら)


 外であれば威力の調整などしなければいけないが戦闘に支障はなくなる。しかし、その代償として、一対多数になる可能性は否めない。

 そう考えながら、俺は窓を開くと全身強化ベルガを発動させ、一息に屋上へと上る。


「待たせたな」


「「‥‥‥」」


 屋根に上に着地すると、屋根に居た襲撃者二人は、一瞬驚いたようだが、直ぐに危険だと判断したのか、持っていた短剣を油断なく構え、さらに背後に二つの着地音が聞こえるなか、構え、前方の内一人が短剣の柄を逆手にもち屋根の距離を詰める。


「ッ!」


 息を吐くと同時に振るわれた刃を半歩下がることで交わし、拳を届かせるために前へ踏み出そうとしたが。


「っ!」


 隠れるようにして追走していた二人目が俺の頭目掛けて蹴りを放ち、それを回避したことで攻撃のタイミングを逃し、距離を取られると、今度は背後から足音が聞こえ、俺は左足で回し蹴りを繰り出すと、危ないと思ったのか、慌てた様子で跳ぶ、が。


「がっ!?」


 一息に距離を詰めた蹴りは腹部へと突き刺さり、初めて人間らしい声を漏らすなか、確実に落とすために俺は体をひねり踵落としの要領でその背中に蹴りを叩き込み、その勢いは緩和されることなく中庭へと叩きつけられ、その体が起きることはなかった。

 それを確認しつつ俺は再び屋根の上に降りる。一連の動きが早く衝撃的な内容だったのか、動きが止まった残った襲撃者に言葉を掛ける。


「どうする? おとなしく捕まるなら、ここで働かせてやれるぞ?」


「「「‥‥‥ム、リ」」」


 答えが返ってくるのは思っていなかっただけに、反応があったことに少々驚いたが、それ以上に先ほどの機械的とは違い、人間的な、苦しそうに無理といったその内容が気になり、構えを取ったまま尋ねる。


「ほう、何故無理だと言える? やりたくなければしなければいいだけだろ?」


「ソレ、ハ。フカ、ノウ。 ワタシ、タチノ、イシハ、カンケイ、ナイ」


「なに?」


「ワタシ、タチハ、アヤツリ、ニン、ギョウ…ッ!」


 そう言うと苦しそうな人間味は急激になくなり、前後から、二人同時に距離を詰め、前方の後ろから火属性中級魔法「火炎弾ディプス」が迫り、俺は「火炎弾ディプス」を放つことで相殺し、僅かに早かった前からの突きと足技の連撃を捌き、反撃を加えようとするが、後ろに気を取られ後退を許してしまい。


「くっ!」


 今度は後ろからの徒手格闘と、合間に繰り出される暗器による攻撃を捌き、今度は逃げられないように蹴りを入れるが後ろに飛ばれ衝撃を後ろへと逃がされ。そこに魔法による攻撃、今度は広範囲に炎の矢雨を降らす火属性中級魔法「焔矢雨メルム」が放たれ、俺は風属性中級魔法「風遮結界アヴィ・クロス」で辺りを覆う。


「「「!」」」


 降り注ぐ「焔矢雨メルム」を「風を視る者」を使い、その全て視認し、炎の周りの空気を奪い魔法を強制的に解除キャンセルさせる。


「‥‥ッ」


「ちぃ!」


 しかし、休む暇もなく、もし俺が「焔矢雨メルム」を解除しなければ、目の前の襲撃者はあの炎の中を突き進んでいた。その確信が俺の中にあり、再びの攻撃を捌きつつ考える。


(くそ、一体どういう事なんだ?)


 先ほどの言葉を話していた時と比べ、目の前の襲撃者は明らかに人間味が欠落している。まるで蓋をされたかのように。更に動きもまるで、目的を達するのであれば使い捨てと言わんばかりの、肉体を酷使する無茶な動きが幾つもあった。


(これじゃあ、人形じゃないか!‥‥ん?)


 人形じゃないか。そう思った瞬間、俺は先ほどの感情があった際にこぼした「アヤツリニンギョウ」という言葉が頭に過ぎり、先ほどの「焔矢雨メルム」を防ぐ際に襲撃者たちにあった一瞬の停止、それを思い出しある可能性が頭に浮かぶ。


(…試す価値は、ある)


 そう判断すると、まず後方、そして魔法の援護を捌き切ることに専念することにし、まず後方からの攻撃を全て捌き、再び距離を取らせ、今度は最初に放った「火炎弾ディプス」が飛んできたのでそれを先ほどの「焔矢雨メルム」を防いだ「風遮結界アヴィ・クロス」で、先ほど発動させた倍以上の魔力を以て、範囲としては俺を中心とした屋根全体を覆う。


「「「!!!??」」」


 発動させた俺も同様だが、徐々にだが辺りの酸素が奪われていくことですると、目に見えて三人の動きが悪くなり、それと同時に表情に驚きが混じる。

 がそれでも動きを止めることは叶わない。けれどそれは予想が当たっている。その証明となる。


(方向性は間違っていない。なら後は!)


風遮結界アヴィクロス」内に更に魔力を放出していく。すると三人の頭、肩、腕、指、足。それぞれに複数の糸のようなものが視認でき、俺は右手に魔力を集中させる。太くではなく、細く、刃のように鋭く。そして、発動したままの「全身強化ベルガ」の身体能力で一息に距離を詰め、視認した三人に絡まったすべての糸を両断する。


「「「あ‥‥」」」


 糸を断ち切られたことで、操られていた三人はそのまま意識をなくし倒れる。

 それを確認すると、同様の方法で部屋と中庭に蹴り落とし気絶させたの二人の糸を切断し終え、最後に「風を視る者」で念入りに半径五キロを見るが、操り手と思われる存在は見つからなかった。


(近くにいない、か。こいつは厄介な相手だな)


 まだ姿すら見ぬ、敵。会敵の場合を考えながら「遮風音界ケルメル」を解除すると以上に気が付いたのだろう。屋敷の中がにわかに騒がしくなるのが聞こえ、どう説明したものかと頭を悩ますことになった。




 それは、夏季休暇を終わりが近づき、シルヴァたちが水浴びを楽しむ少し前。


 王都に店を構えるザバル商会。

 独自の魔法を利用し、商売で莫大な財を成した豪商であるが、裏では多種多様な女子供を誘拐し、奴隷または愛玩として貴族に売り払う事で貴族とのパイプを作り、二十年前に貴族の爵位を得た現当主、ピッグレン・アルフレッドはマツという遠方の木によって作られた、重厚な机へと怒りをぶつける。


「くそ! 何故だ、あの子が死ななければいけなかったのだ!」


 ピッグレンが言うあの子、それはピッグレンの実子にして二か月ほど前まではヴァルプルギス魔法学院に通い、先月事件に巻き込まれ死んだラーク・アルフレッドのことだった。

 学院からの報告によるとラークは何者かによってその体は魔物となり果て、そこに鉢合わせた学院の生徒によって討伐された。

 がしかし、ピッグレンはそれを信じず、即座に手駒、そして金を使い様々な方向から情報を集めたが、そのどれもが学院からの報告が事実であると裏付けるものでしかなかった。


「くそ!」


 再び、ピッグレンは机に拳を振り下ろした後、いったん荒ぶった気持ちを抑えるために荒々しく椅子へと座ると、引き出しの中から煙草を取り出し、火をつけた時だった。


「ふふふ、どうやら。あなたは真実を知らないようですね~?」


「だ、誰だ!?」


 普段であれば好きな娘を置いているが。今日は気が乗らず部屋に誰一人いれていない。

 その部屋の中に響いた声に、ピッグレンは加えた煙草を落としながら立ち上がり部屋全体を見渡すも、そこに影はなかった。


「ここですよ」


「うぉほっ!?」


 部屋を見回し、安心した直後、突然背後より声を掛けられ、その重い体を執務机に寄せ

 振り返ると椅子のすぐ後ろに、奇妙な文様が描かれた仮面で顔全体を覆い、黒いマントで全身を隠した何者かが立っていた。


「ふふふ、いいですね。怒りに満ちて、更に黒いその心。それにその…うふふふ」


「な、何者だ、貴様は! 一体、どこから!…?」


 叫ばなければ、本能がそう訴えるが、体が動くことがなく、更に声のみならず思考にすら靄のような物がかかり始める中で、目の前の男の姿が、鏡写しの自分へと変わっていく。


「ふふふ、あの龍を表舞台に立たせる為に、貴方の全てを利用させていただきますよ」


 目の前の自分のその言葉を最後にピッグレンの意識は闇に飲まれ、その場にはピッグレンになり替わった、何者かが立っていた。


「さて、それでは表舞台に立っていただくための、下準備と、その為の手紙を出しておくことにしましょうか」


 ピッグレンはそう言うと部屋を出た。これから始まる劇の舞台とそのお知らせとなる手紙を用意するために。

人知れずに始まったそれは、王都を覆うであろう闇の序幕に過ぎなかったが、それを知るものはいなかった。

いよいよ、次話か、その次の辺りで第四章の本格的な巻く上げとなる予定です。少しでも楽しみにして貰えると嬉しいです。

現在ですが、改稿と他を含めた執筆をしており、投稿ペースがやや遅いですが、待って頂けると幸いです。

最後にですが、評価や感想、誤字脱字報告など頂けるととても嬉しいので、出来れば宜しくお願いします。

最近は遅いですが、今後も応援していただけると幸いです。

それでは、今回はこれにて失礼します。また次話でお会い出来れば幸いです。

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