第百二話 「休息日」
…遅くなりまして。ごめんなさい。…話が浮かびませんでした…投稿です。
翌朝、目覚めた俺はいつもの通りの朝のメニューであるランニングを終えると、汗を流す為に風呂場ではなく、手短にするために井戸へと向かう。
井戸とはいえ、水浴びをするために仕切りと服を入れるための籠があるのだが、その仕切りの前に、きっちりとメイド服に身に付け、タオルと既に桶に水を用意したルヴィの姿があった。
「おはよう。ルヴィ」
「おはようございます。ご主人様」
朝の挨拶をするとルヴィは何処か恭しく頭を下げたので、今のルヴィは仕事モードだと理解した俺は特に突っ込む事も、訪ねるような事もせず、ルヴィが用意してくれたタオルと桶に張ってくれた水を使い、かいた汗を流す。肌の熱が冷たい水によって、火照っていた体が程よく冷ます。
「着替えを置いておきます」
「ありがとう」
流し終えた体を拭き終えたタイミングで声を掛けてくれたルヴィにお礼を言いつつ、新しい下着と服を身につけると、待っていたルヴィと一緒に食堂へと向かいながらティア達の朝様子を聞く。
「そう言えば…ティア達はどうだった?」
「昨晩のストレッチが効いたのかは分かりませんが、ティア様たちは少し動きにくそうでしたがそれ以外は特に」
「そうか」
その様子から幾分か昨日の夜にしたストレッチが効果をあったようだな、と思っていると食堂へと入ると座っていたのは母さん、ティア、フェイ、エル、リリィの五人で、普段一緒に食べるメイド達の姿はなかったが、テーブルの上にはつい今しがた並べられたのだろう、香ばしいパンの香りに野菜を煮詰めて作ったスープ、ベーコンと目玉焼きといったメニューが並んでいた。
「おはよう、母さん」
「おはよう、シルバー」
「エル達も、おはよう」
「おはよう、シン」
「おはようございます。義兄さん」
椅子に座る前にまず最初に母さん、エル達に朝の挨拶をし次にフェイ達に声を掛ける。
「みんなも、おはよう。よく眠れたか?」
「うん。それと昨日のストレッチが効いたのか、それほど筋肉痛も酷くないしね」
「うん、驚いたよ。まさかあれをやるだけで、こんなにも筋肉痛が軽くなるなんて思わなかった」
「ああ、効果があって良かったよ」
今度教えてよね? 視線で訴えてきたティアに頷き、俺も椅子へと座り、それを確認した母さんが食事の挨拶の音頭を取る。
「それでは、いただきましょう」
「「「いただきます」」」
「「い、いただきます」」
俺達が声を揃えて言い、ティア達も少し遅れて真似をした後、朝食が始まった。
それから時間が過ぎ、あらかた食べ終わり食後のお茶へと差し掛かるタイミングで母さんが話しかけてきた。
「そう言えば、シルバー。今日はどうするつもりなの?鍛錬も大事でしょうけど、学院の課題も大切なのよ?」
「うん。だから今日は一日休息日にしようかなって思ってるよ。ティア達の体を考慮してるのもあるけど、宿題はやってた方が良いからね。それで母さん、空いてる客間を使って皆で勉強したいんだけど、いいかな?」
「そうね…それなら、一階の空いてる客間を使いなさい。用意はメイドの人にお願いするから」
「ありがとう、母さん」
宿題、という言葉を聞いた瞬間にティアの顔が僅かに顔を顰めたが、もちろん学業、というよりは夏季休暇中の課題を終わらせるのは大切だ。けど出来れば鍛錬に重きを置きたいので俺としては今日の内に課題の半分、残りはニ回ほどで全部終わらせるつもりだったが、顔を顰めた事からティアは課題が得意ではないと察する事が出来たので、そのフォローをする為にみんなで一緒に出来る部屋が確保できたのは大きく、心なしかティアの表情もホッとしているようだった。
と、そうこうしているとみんなも食べ終えたタイミングでルヴィとレティスが皆のお茶を淹れてくれ、俺達は淹れてくれたお茶を飲んで一休憩した。
「それじゃあ、一旦それぞれ部屋に戻ってから、用意してくれる部屋に集まろう」
先程、執務の為に一足先に食堂を出た母さんがメイドに声を掛けて部屋を用意しる様に言ってくれているはずなので、俺達はその部屋に集まる事にして、一旦部屋へと戻り課題を持って再集合する事にし俺達は食堂で別れそれぞれの部屋に課題を取りに向かった。
そして、朝食を終えたルヴィとレティスを含めた全員が集まり。課題を初めて一時間ほどで、俺は全員で勉強をしてよかったと内心思っていた。
「ねえ、これってどう解けばいいの?」
「ああ、そこはね…」
「リリィ、これって?」
「ああ、そこはですね…」
何せ、分からない所があれば悩むのではなく周りに聞く事で余計な時間を過ごす事無く、効率よく進めていくことが出来たのだ。もちろん、最初から聞くのではなく、自分で考え、分からなければアドバイスを貰う事が出来き、最終的には自分で考える為、学習の妨げにはなっていなかった。
そして、そんな感じで時間は過ぎていき、ふと空腹を覚え外を見ればお昼近くの時間になっていた。
「よし、そろそろお昼も近くなったから、今日の勉強はここまでにしておこう」
「ああ~! 終わった~!」
「ふぅ~」
俺が勉強の終わりを宣言すると、まずティアが固まった体を解す様に腕を伸ばし、フェイもそっと息を吐き、エル達もそれぞれ体を解したりしていた。
その間に俺は全員の課題をざっと見たのだが、進行具合が予想していた以上に進んでおり、特に苦手そうだったティアに関しては数えられないぐらい問題に躓きこそするも、周りからアドバイスを貰うと水を吸うスポンジの様に吸収、そこから理解し問題を解いていき、半分以上の課題を済ませてしまっていた。
(これは、明日からが楽しみだな)
その様子から、鍛錬をすればどれだけ力を付けるのかなと、早くも明日が楽しみになったが、それは一旦脇に置き、俺も固まっていた肩と首を動かせばバキバキと心地が良い?音がし、程よく肩回りがほぐれてきたところでルヴィに尋ねる。
「そう言えばルヴィ、今日の昼御飯は何なんだ?」
「今日のお昼は確か、シチューだったはずですよ。以前ご主人様とリリィさんが協力して作られたレシピを元にキッチンでシュメル侍女長が下処理をされてましたから」
「へえ、それは期待できるな」
この世界に、シチューのルーはない。故にシチューには欠かせないホワイトソースから作るのだが、このホワイソースの出来によってシチューの出来が左右されると言っても過言ではないと俺は思っていた。
「ねぇ、シチューっていうのは何なの?」
「秘密だ。まあ、食べて見ればわかるさ」
「ええ~」
そんな中、俺とルヴィの話を聞いていたのか、ティアがそう尋ねてきたが、敢えて俺はティアの問いに答えずにテーブルに広げていた課題を片付け始め、エル達もそれを見て片付け始め、ティアも教えてもらえなかった事に不満気にしながらもちゃっかりと課題を片付ける。
そうして、各々課題の片付けが終わった頃に、ほんのり甘い、食欲を刺激する匂いがし、最初に気が付いたのはエルだった。
「あ、この匂い…」
「よし、それじゃあ課題を部屋に戻して、食堂に行こうか」
こうして俺達は、それぞれの部屋に課題を置くと昼食を摂るために食堂へと向かったのだった。そして追記しておくと、初めてシチューを食べたティアとフェイは最初は恐る恐る一口した後は、もはや無心と言っていい程に喋らずに食べ進め、途中でパンを付けて食べるのを教えると、最終的にはスープを一滴すら残さないほどに綺麗に完食し、その様子を見たシュメルさんはとても嬉しそうに笑っていたのだった。
そして、昼食後の午後は、特にこれといった事は無く、俺とエルは外の木の下で日向ぼっこをしつつお昼寝をし、ティアとフェイは家の中の探索を、リリィは読書、ルヴィとレティスはメイドとしての仕事をする等して時間を過ごし、その日の各々の休息を取ったのだった。
今話は、シルバーの家に来た翌日の一日に焦点を当てました。正直、考えてどうにかここが書けました。
そして、近々、四章ではなく、間章の3.5章に変えます。正直、書くことがそれほどない…ではぬく、あくまで次の章でティア達を活躍させるための話にしようと最初から考えていましたので、皆様、ご了承のほどを宜しくお願いします。まあ、夏と言えばのシーンは書き出そうと考えていますが、それ以降はまだ未定です。
今後は身の回りが少し落ち着きますので、次の投稿はちゃんと投稿します。ですので、若干不安定な投稿ペースですが、楽しみにしていただけると嬉しいです。
長くなりました、それでは皆様、また次話で。




