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第九十九話 「冒険者登録」

ふぅ…書けましたので…少し早いですが投稿です。

次はいよいよ百話目か…(  ̄- ̄)。

 side エル・シュネーヴァイス


 冒険者斡旋所の裏にある馬繋場でシルバーと別れ、私たちは斡旋所の入口へ向かう。

 

「着いてきて、入口はこっち」


「へえ~!これが冒険者斡旋所か~!」


「ティア、少しは落ち着こうね?」


 入口に着くと、ティアが冒険者斡旋所を見ては好奇心を揺さぶられたのはしゃぎだし、そんなティアをリフィルトが柔らかく注意していた。


「おうおう、元気がいいな」


「ちっ、ガキどもが…」


  そんな光景を暖かい目で見守る冒険者もいれば、明らかに不機嫌そうな顔をする者もいた。けれどティアは気づいていなかったので、見なかった事にして冒険者斡旋所へと入って行く。


「うわぁ。人がたくさん」


「うん、確かに凄いね」


 中に入るとティアとフェイはその様子に驚いていたけれど、私達は何度か見ているのでそれほど驚く事も無くカウンターへと向かって歩いて行く。

 それぞれテーブルには以前と比べて多くの冒険者達がいて、それぞれ酒を酌み交わしていたり、食事を取りつつ作戦会議をしている中を私たちは通り抜け、あと少しで受付へと辿り着こうかという時、浅黒く筋肉のついた肉体に高い身長、180を越えと思しき巨躯の冒険者が遮ってきた。手にジョッキを持ち、酒の匂いがするので、酔っているのは直ぐに分かった。


「おいおい~、ここは子供が来るようなところじゃねえんだぞ~?」


「余計なお世話。いいから退いて」


「おいおい、ヘルタイン様の親切に言ってやってるのに、そりゃねぇだろ~?」


「余計な親切心は迷惑」


「ああ~? 子供だからと調子に乗っていると痛ぇ目に合うぞ?」


 体が大きい事に加え、酔っているせいで声も大きい事から既に周りから注目されている事も気づかずにそう言ってきた男、ヘルタインは手に持っていたジョッキをテーブルへ置くと椅子に立てかけていた斧槍(ハルバート)を右手に取り、穂先を私へと向ける。


「おら、怯えているそこの二人を連れてさっさと帰れ。さもねぇと力づくで追い出すぞ?」


 確かに、今の私は人間から見ればか弱い少女かもしれない。そしてそんな少女五人と同年代の少年一人というのはこの場の雰囲気にはあっておらず、そしてそれ故の心配からきているのかもしれないけれど、正直迷惑でしかない。

 その様子を見てティアとフェイは私に対してではなく、目の前のヘルタインに向けて心配そうな目を向けるが、酔っているヘルタインは怯えているかの様に見えたのか、そんな事を言ってきた。


「二人が心配しているのは、貴方の事よ。それと出来るものなら、やってみれば?」


「ああっ!? 上等じゃねえか!」


 酔った人と言うのは挑発に乗りやすい。以前シルバーが言ってた通りだなと思いながら私を捕まえようと左腕を伸ばすヘルタインに対して私はその場から一歩も動かない。


(ねぇ、あの人大丈夫かな?)


(大丈夫です。姉さまはあんな奴相手に起こりませんから)


(アハハ…もしも本気で怒らせたら怖そうだね…)


(ですね‥)


 ティアとルヴィ、苦笑を浮かべながら話すフェイとレティスの話を聞きながら、私は以前シルバーに教えて貰った言葉、以前と似たような体験をすると言う意味の言葉、「デジャブ」ってこういうものなんだと(詳しくは第十四話を参照)と思っていると私よりも大きい左手が私の左手を掴んだ、けれどそこでヘルタインの動きは止まった。


「ぬっ! う、動かねぇ…!?」


「ねぇ、連れ出すんじゃなかったの?」


「ふんっ!ぐぐぐっ! くっ、くそおぉっ!!!」


 遂には身体強化魔法(ボディエンチャント)を使っているにも関わらず、一人の少女を動かす事すら出来ない、そして少女は身体強化魔法(ボディエンチャント)すら発動させていないという一種の異常な状況が構成され注目が集まりつつあった時だった。一人の人物が近づいてきたのを感じた。


「こらこら、エル君。その程度にしてあげなさい」


 その声が聞こえた瞬間、私に向いていた視線が一気にその人へ、この街【シュルド】の冒険者であればだれもが知っている有名人が自然とそこに立っていた。


「あ、久しぶり。ゲンドゥ」


「ああ。半年ぶりじゃのエル殿」


「「「「「「ギ、ギ、ギルドマスター!!!!????」


 それは、【シュルド】の町の冒険者斡旋所(冒険者ギルド)、その代表であるギルドマスターと、この町の代表を兼任しているゲンドゥその人で、予想外の人物の登場にその場の冒険者全員が驚きの声を上げ、それによってギルドマスターと知り合いという事で何者なのだ、と言った声が聞こえたけど私は聞かないフリをし、ムキになって私を動かそうとしているヘルタインにはそもそも聞こえてすらいないようで、今も必死に私を動かそうとしていた。


「ぐぐぐぐぐぅっ!!!!」


「ほれ、いい加減離さぬか」


 そう言って、未だに私を引っ張ろうとしているヘルタインにゲンドゥは自然な仕草でヘルタインの首筋に手刀を入れた直後、ヘルタインの体から力が抜けその場に体を横たえた。


「さて、こやつはそこにでも寝かせておくとして。何故ここへ? 確か彼とヴァルプルギス魔法学院行かれたはずでは?」


「夏期休暇になったからシルバーと一緒に皆で帰って来た」


「ふむ…ここに来られたということは、そこのお二方の冒険者登録に来られたということですかな?」


「うん」


 既に冒険者登録をしている私たちではなく後ろにいた二人。ティアとフェイを見ただけで私達がここに来た理由を察したくれたゲンドゥは頷いた。


「分かりました。ではここでは目立ちますので部屋で行いましょう。チェルシー君?」


「は、はいっ!?」


「後で部屋に登録に必要な道具を持ってきてくれ。頼んだよ?」


「は、はいっ!」


「行こう?」


 そう言うとゲンドゥは歩き始めたので、後ろの皆に声を掛けその後を付いて行き、幾つかの階段と斡旋所の中を歩いていると目の前の一つの部屋が、ギルドマスターの部屋が見え、ゲンドゥが扉を開き続いて私達も部屋の中へと入る。

 私とリリィは自然に、ティアは少し申し訳なさげに、フェイは慣れているのかこちらはゆったりとそれぞれ椅子へ座る。


「少し待っていてくれ。直ぐにお茶を淹れよう」


 そう言うと立ち上がろうとしたゲンドゥにリリィが声を掛ける。


「あれ? ミランダさんは居ないんですか?」


「ああ、彼女は別様で席を外しておるんじゃよ」


 そう言って立ち上がり時に、私が声を掛けて。


「だったら、二人に任せて」


「うむ? いやしかし…」


「大丈夫。 ね?」


 私がそう言い、私が見るとルヴィは頷き、隣のレティスと一瞬のアイコンタクトをした後、ルヴィとレティスは部屋を一見ただけで何が何処にあるのかを凡その把握したのか、二人は迷いなく動き続け、三分も経過せずにテーブルには茶菓子と人数分のお茶が用意され、ルヴィとレティスは何事も無かったかのように私たちの後ろへと移動した。


「ふむ、場所を教えてもおらんというのに‥‥凄いもんだ」


 二人の手際の良さに感嘆しつつゲンドゥは淹れ立てのお茶を口にし、私達も淹れ立てのお茶を口にする。その間、ルヴィとレティスが私たちの後ろへと立ったままだ。学院やシルバーが居れば座るけど、今はシルバーも居らず、学院でもないので二人は完全にメイドとして徹していたりするので、学院と同じように一緒に座ってほしい私とリリィは少しばかり困り、ティアとフェイは少し困惑していたけれど、その事に触れることなくお茶へ口を付ける。


「美味しい!」


「ああ!」


 二人の入れたお茶を絶賛し、ルヴィとレティスは小さく微笑みを浮かべる。

そして、少しの間お茶を楽しでいるとドアをノックする音が聞こえた。


「し、失礼します! 頼まれた道具を持ってきました!」


「ご苦労様、入ってください」


「し、失礼します!」


扉を開けて入って来たのは、先程ゲンドゥがチェルシーと呼んだ受付嬢の一人で、身長は150の中ほどか、髪は薄紫の長髪で一纏めにして肩に垂らしており、何より最も特徴的だったのは、制服の上からでもわかる豊かな胸だったりするが、それはどうでもよく、その後は特になくティアとフェイの冒険登録は滞りなく済んだのだった。

今回はエル視点からの冒険者登録の場面を書き出しました。

そして、いよいよ次の百話目でようやく家へと到着します。まあ、相変わらず戦闘は今のところ考えておらず、ほのぼの?と言った感じで進んでいく予定です。

まあ、それでも模擬戦闘などは必要ですのでちゃんと入れていくつもりです。

では今回はこれくらいで失礼します。評価、誤字脱字報告など皆様本当にありがとうございます。バラつきがありますが、今後も楽しみにしていただけると嬉しいです。それでは、また次話で。

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