プロローグ
山瀬春、鏡に映る自分の名前を見ながら思う。僕は男だったはずなのに。何で女の子らしい名前なんだろう。十五歳にしては小さい身体、運動も勉強もほどほどにできる。でも名前と容姿で馬鹿にされる。見た目は男なのに名前が女っぽいとか言われて。僕がどんな気持なのかなんて周りは考えない。僕が怒っても変わらない。憂鬱な気持ちで朝食を食べて、学校え行く。道すがら道路を横切る猫が車にひかれそうになっている所で、僕は猫を救うべく飛び出してしまった。
気付けば雲が下にある。上に出は無く。目の前にちゃぶ台のような台が有り。その前にはおじいちゃんが座っている。僕は確か車にひかれて死んだはずじゃなかったっけ?
「その通り。ぬしは心優しい子なんじゃのう。無謀にも道路に飛び出して挽かれそうじゃった猫を助ける。その気位、異世界転生に相応しい」
あれ? 僕喋って無いのに伝わってるんだ。テレパシーって奴か。それにしても一瞬だったから死んだのかも分かって無いんだけど。
「それがのう、ぬしは死ぬ予定じゃなかったんじゃ」
異世界ファンタジー小説に出てくる下りを言われて初めて自分がしんで異世界に行くんだと分かった。
「物分かりが良くて助かるのう、そしてわしは世界神じゃ」
「それでなんですが僕は戦闘に向かない性格なんです。なので異世界に行くなら生産スキルを上げてほしいなと思ってまして」
「何?神の力で再生したんじゃから戦闘に不向き等とはないんじゃが、それでやっていけるんかのう?」
「なので、異世界の通貨を少し分けていただきたんです。そうすれば僕も異世界のギルドに依頼して安全に過ごせると思うので、宜しくお願いします」
「ふむう、それにしても本当に欲が無いのう。強く成ったうえで生産すれば良いじゃろう」
「僕は性格的に戦闘には向かないんです。血を見るのも遠慮したいですので、お願いします。」




