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反鏡世界

作者: byatshum

書きたかったです。許して下さい。

 ある日ふと思い出したように百均へ顔を出してみた。一時期はほぼ毎日のように行っていた。当時は観葉植物、陶器、ノート、果ては支柱まで百円で売っていて珍しがったものだ。親から小遣いをもらっては買い、もらっては買いとしていた。ある時必要ではないが支柱を買っておこられたものだ。そんな思い出も今となっては懐かしい。

 今は学生になり、小学生のころのように頻繁に顔を出さなくなった。部活も入ったし勉強も忙しい。私はそこまで暇ではない。だが、気分転換にふと行きたくなった。商品を拝んでみると、昔とは少し、いや大分違う。見入っていた観葉植物も、今は冷めた気持ちで外側から眺めている。陶器は最近並んだらしいプラスチック製の食器のほうに目が行きあまりみなかった。ノートは受験のためにしか見れなくなり。支柱に関しては興味もなく、また見当たらなかった。

 そんな時、お化粧品の粗末なものが置いてある棚の鏡に目が泳いだ。当時お化粧品など、まったく興味がなく、見向きもしなかった。今は大分お化粧品売り場が大きくなっていて、少し通っただけだ、だがその鏡は、自分を見ろと言わんばかりに怪しげな光を反射しており、私をとれと言わんばかりに最後の一つだった。不気味だな、買いたくないなと思ったが、気が付くと手に取っていた。なぜだろう。知らず知らずのうちに魅かれていたんだろうか、

 ほかにもさまざまなものを見た。するとここ最近はアッサリしか見ていないということがひしひしと伝わってきた。小学生のころ知っていたはずのものがなく、知らなかったものがあった。最近はそういうことには気づかず、一番上の売れている商品だけを見ていた。結局私は鏡だけを買った。ほかにひかれるものはなかった。小学生のころずっとあこがれていた。ミニチュアバオバブの木はもう店にはおいていなかった。

 ピ、ありがとうこざいしたー、ありふれた音、ありふれたやる気のない店員、そとにでると雨が降っていた。追い打ちをかけるように。傘を買おうか迷ったが、もったいないのでやめた。シャー、ジュジャー、フーウン、聞きなれた雨の日の車、パシャパシャ、タタタタ、傘と歩行者の音、ああ、わかった、私はこれに……


 家に帰ると母親はいなかった。買い物にでも出かけているのだろう。私は、羽織物を脱ぎ捨て、すぐに部屋へ向かった。鏡を開くとやはり妖艶さがあふれんばかりに出ていた。私はその禍々しさに魅了された。「嗚呼、ただの鏡なのにどうしてこんなに魅了されるのだろう。どうしてこんなこの鏡は輝いているのだろう。」私は机の一角に飾ったままトイレへ行った。トイレから戻ると勉強を始めた。いつも学年一番の成績で通っている。私に生きがいなど存在しない。存在しないからこそ求めている。勉強も運動も生きがいを求めるためにやっているにすぎない。それで構わない。とすると、何故ずっと勉強しれいればいいものの百均へ行ってしまうかは自分でもわからない。そういえば私は小学生の時何を生きがいに生きていたんだろう。記憶をたどれば小2の時先生(まあその先生は小3、小5、小6と教わったのだが)から趣味を見つけようといわれてことがある。ああ、今思えばあの先生なしに今の自分は絶対に成り立っていなかった。つらい時も慰めてくれて、悲しい時は助言をくれた。そう、恩師という言葉が一番似合うであろう。話は戻るが、趣味をどうしても見つけられずに先生に相談したら店に行って自分が惹かれたものを買ってごらんと言われた。だから、百均へ行っていたのだ。あの先生を見ると趣味を見つけなきゃという気持ちに駆られたことは覚えている。なるほど、だから中一のころから行く頻度が下がったのか。そんなことを考えながら頬ずえをつきぼーっとしているとやがてうたた寝してしまった。


 気が付いたら、二階から「伸二ー、ごはんよー、ちょっときいてるのー」という声が聞こえて起きた。声的に少し不機嫌だ、「いまいくー」と返事をしながら簡単に机の上を片付けて、二階へいった。「もう、何回呼ばすのよう」「悪い悪い、うたた寝しちゃってさあ、」「まったく」そんな他愛のない話をしながら食卓に着いた。今日のメニューはっと……


食べ終わり自室に戻ると鏡が倒れていた。それお起こすと視界が暗転した。気が付いたら。自分は自室にいた。だが変だ。左右逆転になっている。「気が付いた?」自分の声がする。若干のめまいを感じながら立ち上がると、鏡の中に自分がいた。いや、当然のことだが、何かがおかしい。そう、距離感だ。間違いなく。鏡に映った自分ではないだろう。断言できる。「そこは鏡の中の世界。何をしても君の自由。私は、自由を捨てて、束縛を手に入れた。君は束縛を捨てて、自由を手に入れた。」そう言い残すと彼は消えてしまった。どうしようもないまま、周りのものを傷つけていった、傷つければ戻れるかも、戻れない。鏡を割れば戻れるかもしれない、割ろうとした、木製バットが折れた、戻れない、夢かと思い自分の頬をつねり、足らず頬を割いて納得した、激痛が走るだけだった、戻れない。ただ一つ気づいたことがあった。この世界は、自分一人だと。あたりのものを壊すとき尋常じゃない音が走っていた。誰も来なかった。自分の頬を割くとき恥ずかしながらも大声で叫んだ。誰も来ない。おおー素晴らしい。自分ひとり、何をしてもいいではないか。そう考えるとあとは早かった。


道路を一人で歩いてみた、誰も注意する大人などいない、いつかの秋葉原の歩行者天国以来だ、楽しいのもつかの間、落ち着かなくなり歩道へ戻った、


店の中に入ってみた、八百屋だ、おいしそうだなと思い林檎を手に取ってみた、口に含んだら味気なくすぐに吐き出してしまった、スポンジでも食べてる気分だった。


百均へ行ってみた、あらゆるものがあった。じっくり見た。小学生の時なかった発見がいっぱいあった。だが何一つ魅力のあるものなどなかった。………鏡は店中探しても置いていなかった。


 嗚呼この世界は自由だがつまらない。今思い出してみるとマナー、モラル、ルール、に束縛されながらもあの世界は楽しかったのだろう。人がいるから不自由だが、人がいるから美しく楽しい。だが私はどちらも選べない。自由で楽しいのが一番に決まっている。そう考えたとき、足は家へ向かっていた。家につき鏡に向かって怒鳴りたてた「やい、お前、俺を戻せ、俺は元の世界のほうがいい、元の世界のほうが大好きだ、」そう何度も怒鳴りてると、「ちょうどよかった、こっちの世界にも飽きてきた。じゃあもどろうか。」とありえないほど抜けた返事が返ってきて、拍子抜けしていると、視界が暗転した。不思議と気持ちは弾んでいた。


気が付くと自分は何かを持っていた、体は濡れ、火照っていた。周囲からざわざわという声が聞こえ、叫ぶ人もいた、状況が呑み込めず手を見ると、刃物を持っていた。手は血まみれになり目の前には人が倒れていた。不思議と頭はさえていた。おそらく鏡のアイツが注意されカッとなり人を殺してしまったんだろう。呆然としていると。「おい君、ちょっと来なさい」と声がした。見上げると警官が立っていた。警官は自分に対し軽蔑と面倒の視線を放っており、後ろの群衆は畏怖の目を向けていた。ああ、これが自分なのか。つまらない。どうせ自分が供述したことは虚言として受け取られるだろう。検問の時自分に向けられる視線を想像しただけでいらだってきた。警官にも大衆にも、鏡のアイツにも「君、聞いているのか、」冷静だが侮蔑を意識したような口調で吹っ切れた。「うるせえ!」そう叫び警官に向かい突進していった。刃物を構えながら。一瞬恩師が頭に浮かんだが、すぐに消えた。警察が呻きながら倒れていった。そしてすぐさま、ほかの警官に取り押さえられた。「くそうくそうくそう!」ずっとそう叫んでいた。


 読んでいる途中に母親から「ごはんよー」と呼ばれた。本に栞を挟み部屋を後にする。階段を歩きながら考えた。サイコパスの人について。にしてもさっき読んだ元犯罪者の書いた自伝はなかなか自演っぷりが滑稽で面白かったなあ

END

書きたかったんです。勘弁してください。一作のつもりです。面白かったらうれしいです。

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