第4話 「作戦会議中」
「リュンは魔法が得意。師匠は剣術が得意。ミッヘルは…知らん」
「知らんって、お前なあ」
ユアンが呆れた顔をする。そんなこと言われても、軍隊長の実力を知る機会が王子にあるわけないだろう。
「とりあえず、シーク兄はユアンかな?」
俺の部屋に戻った俺たちは、リュンの提案した試合の作戦会議をしていた。
試合は1週間後。試合形式は、殺さなければ何でもありの1対1。相手に参ったと言わせるか戦闘不能にした方が勝ち。
「そうだな。俺たちの中で剣術が一番得意なのはユアンだし。師匠も魔法は使えなかったはずだ。リュンはサンがやるか?」
「そうだね。お父様は魔法での攻撃しかしてこないはずだし」
学校でも剣術トップはユアン。2番目がキャメル。魔法トップはサン。2番目はホセだ。俺は剣術も魔法もトップクラスには入るが、まだまだ2人には敵わない。
「サン。いいのか? リュンさんはお前の父親だろ?」
「何言ってるんだよ、ユアン。お父様とやれる機会なんて、そうあるもんじゃない。私の成長を見せつけてやる」
サンは楽しそうに笑顔を浮かべた。それはさっき俺たちの背筋を凍らせたリュンの笑顔によく似ていた。
「そ、そうか。なら、ミッヘルさんはシュラか」
「あ、ああ。だけど、実力も知らない相手とは。何を使ってくるのかも分からないし」
「おいおい。何を弱気になってるんだよ。俺はお前の奇抜な戦闘スタイルは、実力を知らない相手にちょうどいいと思っているぞ」
「そうだよ、シュラ。今季の総合トップはお前だったんだ。相手がどんな力で来ても、お前の戦い方なら必ず対抗できる。自信を持てよ」
俺はこの8年でリュンも師匠も知らない力を身に着けた。それをユアンもサンも信じてくれている。俺も、自分の力を信じよう。
「よし! やってやろう! 師匠はユアン。リュンはサン。ミッヘルは俺。力を見せるためじゃない。あの3人に勝ってやろうぜ!」
リュンに提案したことを後悔させてやる。