第2話 「良いパーティだと思う」
「シュラ。お前、ちゃんと言うんだろうな」
散々遊んでやったニコラとマーラが落ち着いた後、俺たち3人は俺の部屋でくつろいでいた。
サンとユアンにも別に部屋が与えられているはずなのに、何故か2人とも俺の部屋にいる。
「言うけどさ…」
「そうやって先延ばしにするだけ、言いづらくなるぞ」
「だって…」
「怖いんだろ?」
サンが面白そうに言う。
「国王様がか?」
「……母上が」
実際、父上にも母上にもちゃんと怒られたことはない。父上が声を荒げたのは、俺がマリアのために強くなりたいと話したときだけだ。
だが、母上は父上に大抵いつも声を荒げて怒っている。力関係は母上の方が上だ。
「ハハハッ。女王様、怖いよな」
「でも、いずれは話さないといけないことだ。俺たちの今後に関わる」
「分かってるよ! ユアン」
第1回クラス大合戦が終わって以来、俺たち3人はほとんど一緒に行動していた。それは転生の使命もあるが、単に気が合うという理由もある。
サンはいつも俺やユアンをからかってくるけど、魔法に関しては一番強くなった。サンは女だけど、こいつには背中を任せられると自信を持って言える。
ユアンは俺たちのまとめ役で、いつでも冷静にやるべきことを言ってくれる。だから安心して俺たちは自由に動くことができるんだ。
「シュラ。頑張れよ。お前がいないと始まらないんだからな」
「そうだぞ。俺は、シュラとサンの仲間になったんだ。3人で、旅をするんだろう?」
俺より年上で、頼りがいがある2人だけど、いつだって俺が欲しい言葉をくれる。
この2人が俺の味方でいてくれるから、俺も前が向ける。
「ああ! 旅に出ることをちゃんと父上と母上に認めてもらうよ」
魔王を倒す仲間を探すために、サンとユアンと旅に出る許可をもらう。それが俺の帰郷の目的だ。