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第10話 「僕の守るべき人(ミッヘル視点)」

 僕の守るべきものは、この国に生きる人たち。それは、軍隊長の任に就く前から掲げていた目標で。軍隊長になってからも一つも変わっていない。

 そして、その守るべき筆頭はこの国の国王様。ひいては、王族の人々。だから、目の前にいる王子様は僕の守るべき人なわけで。


「さあ、始めようか。ミッヘル」


 好戦的な顔でこちらを見てくるシュラ様に、軽くめまいがしてくる。


 軍隊長として負けるわけにはいかない。かといって、国王様の前で王子様を叩きのめすわけにもいかない。この面倒くさい勝負を押し付けてきたリュンさんにイライラしてきた。


「おい? ミッヘル」


 グダグダ考え込んでも仕方ないか。


「スイッチ。お待たせしました。さて、やりましょうか」


 僕の表情の豹変に軽く怯えているシュラ様を尻目に、腰から剣を抜く。銀色に輝く剣に反射するシュラ様の身体は動かない。


 そこまで怯えているのだろうか。なら、期待外れだ。


「剣、抜かなくていいんですか?」


「お前もリュンみたいに力を見せろとでも言うのか?」


「そういうわけではないですがね!」


 僕の横に振った剣を、シュラ様が後ろへ避ける。


 なるほど。この速さに付いてこれるくらいには、しっかり鍛錬をしているらしい。


「怯えて動けないのかと思いましたよ。戦う姿勢を見せないということは、手を抜いて勝てるとでも思っているのですか?」


「違うね。これが、俺の力だよ」


 どういうことだ?


 シュラ様は未だ剣を抜く気配はない。どんな鍛錬をして、どんな戦法を取るのかは知らないが、剣を腰に差している以上、使わないわけはないはずだ。


「俺にとって、剣は攻撃の道具ではない」


「何を言っているかは分からないですけど」


 追撃して剣を振ると、シュラ様は易々と避ける。どうやら、体術の方が得意なのかもしれない。


「避けてばかりでは勝てないと思いますが?」


「せっかちだな。攻撃しないとは言ってないだろ」


 僕の振るう剣をシュラ様は体一つで避けていく。手加減しているとはいえ、こんなに避けられるのも計算違いだ。


「俺にとって剣は媒介なんだ」


「は?」


 疑問とともに僕の攻撃の手が止まると、シュラ様は2本の剣を同時に抜いた。それを同時に上空から振るう。


「やっぱり、剣を使うんじゃないですか!」


 僕は1本の剣でそれを受け止めた。2本の剣とはいえ、シュラ様の軽い体のせいか、重量はそこまでない。これなら十分1本でもさばき切れる。


「こっからだよ」


 シュラ様の言葉と同時に、剣が光り出す。


「右手にウォール。左手にウィン。合成魔法ウォール・ウィン!」


「うわっ!」


 目の前に突如現れた衝撃波によって後ろに吹き飛ばされた僕は、何が起きたのか一瞬分からなかった。


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