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第0話 「大きくなられましたね(ニール視点)」

『ニールへ 元気ですか? 俺は元気です。城を出て8年。毎日友だちと学校で楽しくやっています。ニコラとマーラも大きくなっただろうな。今度の休みには帰ろうと思います。あ、その時に俺の仲間も連れて行くから。待っていてください。シュラより』


「ニール! お兄様いつ帰って来るの?」


「もうすぐですよ」


 シュラ様から手紙が届いたのは3日前。それから毎日、ニコラ様とマーラ様はシュラ様のお帰りを楽しみにしていた。


「マーラ! 兄上これ、喜ぶかな?」


「喜んでくれるよ! 私たちが一生懸命作ったんだから」


 ニコラ様とマーラ様は2人でシュラ様に首飾りを作ったらしい。


「ねえねえ、ニール。お兄様ってかっこいい?」


 シュラ様が城を出られたのは、お二人が生まれた直後。城を出られるまでは毎日のようにお二人に話しかけていたらしいけど、赤ん坊だったお二人が覚えていないのも無理はない。


「かっこいいですよ。とてもお優しくて。ニコラ様とマーラ様に良く似てらっしゃいます」


 ニコラ様とマーラ様は嬉しそうな笑顔を浮かべた。


 事実、お二人は成長するにつれてシュラ様とそっくりになってこられた。この成長には、シュラ様も驚かれるだろう。


「ニール」


「リュンさん」


「あ! リュンだ!」


「ねえねえ! リュンの子どもも一緒に帰ってくるんでしょ?」


 シュラ様の時と同様、ニコラ様とマーラ様の教育を一任されているリュンさんは、シュラ様が帰ってくると知ってからどことなく嬉しそうだ。


「また手紙を読んでいたんですか? そうですよ。私の娘も帰ってきます」


「やったー! お姉さまだ!」


「ニコラ様、マーラ様。サンとも仲良くしてやってくださいね」


 シュラ様の時とは違い、リュンさんはお二人に修行をつけていないが、お二人はリュンさんに良く懐いている。


 シュラ様はリュンさんとよく言い合っていた記憶があるけど、おそらく修行関連のことだったのだろう。城を走っている姿も見かけたことがある。


「リュンさん! シュラ様が帰ってこられました!」


 伝令役の兵士が部屋に飛び込んできた。


 真っ先に反応したニコラ様とマーラ様を追い、私とリュンさんも門へと急いだ。


「おいおい。大した出迎えだな」


 門では、3人の青年が立っていた。


「お前のせいだろう、王子様?」


「だから王子は嫌だっていうのに。あ、ニール、リュン。ただいま」


 3人の真ん中に立っていた青年が私たちの方を向く。


「シュラ様!」


 8年前は小さかった身長が、今では私くらいある。まだ幼さを残しながらも、精悍な顔つきになり、頼もしさを感じさせてくれる。


「お帰りなさい。大きくなられましたね、シュラ様」


 8年の月日を感じさせる成長ぶりに、私は思わず泣いてしまいそうになった。


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