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忍者と言う存在

※以下の内容に関して間違っている箇所があるかも知れませんが、その場合はこの世界での忍者はそうなんだと思うようにして下さると助かります。

 話は変わるが、俺達は忍者の歴史に関してはかなり詳しいと自負している。

 NINJAではなく忍者のだ。

 NINJAと忍者は全くの別物だが、それでも忍者はNINJAの源流なのだ。

 忍者は本来山岳地域に特化した兵科だった。

 北の永久凍土が存在する大国で、スキーを履いて白いマントを羽織った兵科が存在する。

 雪原での移動にスキーは最適で、雪原で白い布で覆えば遠目には目視不可能なのだそうだ。

 同じ様に特定の環境に特化した兵科の一つが忍者と呼ばれる者達の始まりだった。

 忍者が生まれた地域は平地が少なく山の多い地域だったのだ。

 その様な地域で情報のやり取りを迅速に行う為に山越えに特化した兵科が必要とされ、それを妨害する為にもまた山岳地域に特化した兵科が必要とされる。

 悪路に特化した兵科は傍から見れば常識外れな身体能力を持つ事になる。

 でも、その程度の存在であればどこの軍隊にも存在する。

 エリート集団とも言える人間を辞めた人間達なんてありふれた話だ。

 そんなありふれた話が幻想になったのには忍者が秘匿主義だった事が関係している。

 忍者は口伝によって情報を残す事に拘り、文章による情報を残すことは非常に稀だった。

 そうやって秘伝と呼ばれる情報を外に漏らさない様に注意していたのだ。

 しかし、それが裏目に出る。外に漏れ無い為の警戒が、情報の継承を阻害したのだ。

 徐々にそのノウハウが消えて行った忍者だが、忍者が遺した結果は後世に残る。

 曰く、三メートルの壁を越えた。

 曰く、闇に紛れて屋敷に侵入した。

 今知られている忍者に関する情報の多くは、これらの結果から逆算した物である場合が多い。

 そしてそれらは少しずつ歪められて伝わって行く。

 曰く、三メートルの壁を「飛び」越えた。

 曰く、「影に潜んで」屋敷に侵入した。

 加えて時代の違いによる常識の相違も忍者に対する誤解を加速させる。

 その最たるは体格だ。

 忍者の生まれた時代、その地域では猪や鹿の肉が普遍的に食されていたのだが、忍者が潰えようとしている時代、或いは潰えた直後の時代、その地域では肉食の文化が僅かに後退した。

 その結果その地域で戦国時代と呼ばれた時期では180センチ程あったその民族は、江戸時代と呼ばれる時代には160センチ程の小さな民族へと変質した。

 180センチの人間が三メートルの壁を越えた。

 この様に聞いたらどうだろうか。180センチの人間が、例えば簡単な踏み台を用いれば、三メートルの壁に手を届かせる事は可能だろう。

 手が届けば乗り越えられるだろう。

 160センチの人間が三メートルの壁を飛び越えた。

 この様に聞いたならば間違い無く不可能だと断言出来るだろう。

 忍者は確かに優れた技術を持つ集団であったが、決して荒唐無稽な妖術を使う者達ではなかったのだ。

 今日の忍者が持つ荒唐無稽な妖術を駆使する忍者は初期の映画による物が大きい。

 大蝦蟇に乗って巻物握り印を組んでどろん。

 と言うのはこの辺りから始まった物だ。

 最近ではこれらの土台に更に肉付けをした原産国以外での忍者も多い。

 NINJAと記されるのはこれらだ。

 今やイヤーッ!は悲鳴では無くNINJAの掛け声ですらあるのだよ。

 忍者は実在の集団からかつて実在した集団となり、各種創作や誇張を受け入れて個別の概念となった訳だよ。

 俺達はこれらの前提に基づき発生する一連の現象をNINJA in Common Recognitionと呼んでいる。

 原産国の言葉に訳すなら、概念忍者と言った所かな?

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