初遭遇
最初にNINJAが俺達の前に現れたのは十歳の時だった。
その日俺達は学校に来ていた。
その頃は比較的平穏な日々を過ごしていた記憶があって、確か目に見える範囲に銃弾が着弾しない日が長く続いていた。
だから俺達は少し油断していたんだろう。相変わらず銃声が聞こえない日なんてなかったってのに。
その日起きた事の詳細は全て大人になってから知った。
移民排斥派武装集団と移民の人権派武装集団が市街地で衝突し、介入した武装警察を撃破しながら行き着いたのが俺達の学校だったのだ。
奴等からしてみれば俺達は運悪くそこに居合わせたガキ共だったって訳だ。
でも、そんな事を知らない俺達には奴等は区別無く襲撃者だった。
最初に壁が破壊された。
教室内は粉塵と悲鳴に包まれた。
その教室に何人かの武装した奴等が入って来た。
そいつらがどっちの奴等だったのかは今も知らないが、先生を撃ち殺したのはそいつらだった。
先生を撃ち殺した奴等は俺達に向かって「死にたくなければ黙っていろ」と恫喝した。
殺されたくなければの間違いだろうと、俺は子供ながらにそう思ったのを覚えている。
俺達はその時助けてくれと願った。
神にでは無く、NINJAに。
神よりもNINJAを頼ったのはその頃俺達がNINJAの虜になっていたからと言うだけの理由だ。
だが、結果だけ先に言うならばそれは俺達共通の思いだった。
当時の俺達間では空想の武装集団と空想のNINJAを戦わせてNINJAに圧勝させるという遊びが流行っていた。
それはろくに玩具も無い俺達の数少ない娯楽だったのだ。
だから俺達は自然と皆で空想したんだ。奴等を蹂躙するNINJAの存在を。
果たして、それは結果として現れた。
結果だけ現れた。
教室内で外だけを警戒していた武装集団の一人が、首にKUNAIを受けたのが始まりだった。
KUNAIはそいつの首を掻っ切り、鮮血が勢いよく吹き出した。
その時のKUNAIは有体に言えばチャクラムだった。
俺達は手裏剣の事をKUNAIだと思っていたのだ。
それは俺達が読んだ漫画で手裏剣の事をKUNAIと誤訳していたのと、漫画に描かれていたのが八方手裏剣だったからだ。
KUNAIに仲間を殺された武装集団は酷く慌てた。
その瞬間にさらに二人KUNAIの餌食になった。
残った奴らが周囲に銃弾を撒き散らす中、俺達はそいつらの影から音も無く現れた三人のNINJAを目撃していた。
NINJA達は生き残っていた奴等にその存在に気付かれる間を与えずKATANAで切り伏せた。
奴等が音を発する事が無くなると、NINJA達は地面の中へと沈んで行った。
その時NINJAの一人がウインクをしていったのを俺達は見た。
ヒーローは居る。NINJAは実在している。
その時俺達はそう確信した。
学校の外から聞こえる銃声が少しの間だけ激しくなって、そして沈黙した。
NINJAが武装集団を駆逐したのだと、俺達はそれが分かっていた。