表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Poizner  作者: rit.
2/3

祝福

城に招待状が届いた。




“拝啓 秋涼の候



  皆様には益々ご健勝の事とお慶び申し上げます。



  この度、私達は結婚する事となりました。



  つきましては、日頃お世話になっております皆様に



  感謝の気持ちを込めてささやかな小宴を催したく存じます。



  ご多用中、誠に恐縮では御座いますが何とぞ



  ご臨席賜りますようご案内致します。




                     海辺の国の王子   森の姫”




といった内容だった。





はぁ、行きたくない。



けれど、仮にも自分の娘だ。



世間体というものもある。



仕方なく、海辺の国に豪華な贈り物と共に向かった。






「お母様、お久しぶりです」



真っ白なドレスを着て優雅に一礼する姫。



その隣にはシルバーのタキシード姿のお世辞にも格好いいとは言えない男性が立っていた。



「ご結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」



心にも無い言葉を吐く。



「ありがとうございます。今日は楽しんで下さいね」



嬉しそうに微笑んで去っていく姫。



それから、式が始まった。







「お母様、これを食べてみてアップルパイよ。私が作ったの」



式の後のパーティーでは何故かよく絡んでくる姫



「そう、美味しそうね。1つ頂くわ」



切り分けてあるアップルパイをフォークで刺して口に入れる。



あ、美味しい。林檎の甘さが凄く良い。



何度か咀嚼して、飲み込む。




すると、身体が電流を流したように痺れ、フォークが手から滑り落ちる。



苦しい。息ができない。




「はぁ、はぁ…はぁ…、はぁ…」



立っていることが出来ず、床に座り込む。



「だ、大丈夫ですか、お母様」




苦しい、



「はぁ…はぁ…はぁ」



苦しい



心配そうに覗き込んでくる姫。



「お母様、お母様。誰か、誰かッ、お母様が……」



朦朧となっていく意識の中で最後に私が見たのは、



ニタリと口元を歪めた娘の姿だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ