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本当に本気で好きなんですっ!  作者: 咲良
少女時代編
6/11

6話「踊ろうか」

長々と更新お休みしていて申し訳ありませんでした!期末がががが


落ち着け。取り合えず落ち着け。

咄嗟にポーカーフェイスを取り繕うが、きっと取り繕えてないだろう。そんな、器用な真似は出来ません!それよりどうして。悪役令嬢と主人公が幼い頃会ってましたなんて、聞いてないし見てない。そんな、え?確かに将来同じ学園に通うぐらいだしユーグダズ家はここら辺では一番上の家だから来ててもというかお父様達が呼んでても可笑しくはない。可笑しくはないけど。どうして。悪役と主人公は、相容れない存在じゃないの。


「え……とお越しいただきありがとうございます。」

「お招きいただきありがとうございます。お誕生日おめでとうございますルリアナ様。」


お互いぎこちなく決まり文句の挨拶を交わす。え、これはスルーでいいのかな良いよね。原作にそんな描写は無かったから、私達は今出会っちゃいけなかったんだ。背筋に伝う冷や汗を悟られる前にこの場を去りたくて軽く介錯してそそくさと立ち去る。


「ふぇ……ルリアナ様!?」


何かメアリー様の泣き声が聞こえたような気がしたけどごめんね今は慰める余裕ない。許して!

会場の真ん中まですたすたと歩き、突然ピタッと足を止める。


「えぇぇぇ!?」


もちろん小声でだけど、声に出して驚きを放出する。ビックリしたよびっくり!どうしてなんで!

初めてこの目で見たリオンは、やっぱり綺麗だった。ゲームの画面の中にいた頃のような、溢れるような色気はまだなかったけれど流れる金髪と深い緑色のつり目は、正にゲーム通りでちょっと興奮した。いやいやそうじゃなくて。リオンとルリアナが出会っていたら絶対ゲームには何らかの形で出てくるはず。でも私は少なくとも見たことないからルーク様のルートでは出てこなかったのだ。

私が目指すのはルーク様のルートだからスルーで正解、だよね?

中央に突っ立ってぶつぶつ何かを呟き続ける私を、回りの人が避けて通ってる!さてはヤバイ子だと思っているな!?


「ルー、何してんの」


とそこに突然後ろから聞こえた声に私は肩を跳ね上がらせた。変人度が上がっちゃうから止めて。ってグラスお前かよ。


「グラス?」


じーっとこっちを見つめたまま微動だにしないグラスを不振に思い、ぐらぐらと揺すると揺すっていた腕を掴み隅の方にに引っ張られた。ずるずると引きずられていく私を見て、回りの人は安心したような、あ、やっと保護者来たかとでも言いたげな表情で私達を見守っている。ムキーっ!

そのまま端に連行され、側にいたメイドさんから受け取ったドリンクを手渡してくる。ああどうも。ちゅーとドリンクを飲む私を、グラスはじっと見つめている。それはそうと、一向に腕を離す気配のないグラスにその顔を除き混むとぽつりと顔色が悪いと言われた。え、うそ。さっきのショックでだと思うけど、私の体内色素活発すぎでしょ。ごめんねグラス大したことないの。


「うん大丈夫。全然元気。」


気弱な令嬢らしく「人に酔ってしまって……」とか言えば良かった!?ごめん全然元気。健康が取り柄です。


「なら、良いけど。」


うん。


「具合悪くなったら俺に……」


言えば良いのね。分かったよ。そのまましばらくグラスと何せ無口だからあまり会話にならない談笑をしていると、向こうから女の子をいっぱい引き連れてルーク様がやって来るのが見えた。わーっもてもてー。まぁね!ルーク様は格好いいからね!しょうがないよ!……あの、少しで良いんで私にもその場所譲ってください。


「ルリアナ、遅れたがお誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます。」


実はルーク様と顔を合わせたのは今日初めてである。まだ私との発表されていないため、狙うお嬢様方につかまるつかまる。その事を気にやんでいるのか眉が下げられたルーク様の顔を見て、私は逆に飛び上がりそうになった。申し訳なさと萌えで。

そこに、丁度ワルツらしき音楽が流れてくる。窓の外を見ると、段々日が落ちてきて今はもう夕方と呼んでても良いんじゃないかなという様子だった。あーこれからはナイトパーティーかー。ただ単にご飯を食べながら親好を深める昼のパーティーに対して、ナイトパーティーは気に入った人、主に男女で踊ったり語らったり大人だとそのままお持ち帰りとかしちゃうパーティーである。

ふとルーク様の方を向くと、ルーク様からダンスを申し込んでくれるんじゃないかと期待に頬を染めている乙女が大量に群がっていた。あ、ルーク様発見。乙女ウェーブに流されて流されて、遠くの方まで行きかけたルーク様が回りの乙女に何やら囁きながらこちらに歩いてくる。まさか私の方に来てる?いやいやまさかー。そんなわけないよねー。と思い、デザートでも食べに行くかそう言えば何かシェフのおっちゃんが新作デザートを作ったとかいってた気が。と背を向けた所で、がしっと後ろから肩を捕まれた。……今日は後ろからよく捕まれたり話しかけられたりする日だ。

振り替えると、相も変わらず麗しいルーク様が、ぜーぜーと肩で息をしながら真っ直ぐにこっちを見つめてくる。だ、大丈夫ですか!?ちょっと水持ってきますね!と走り出そうとすると今度は腕を掴まれる。あ、水じゃなくてドリンク的な何かをご所望ですか。分かりましたちょっとお待ちください。え?違うの?


「俺と、ダンスを踊ってくれないか……!」


……え?

今聞こえた言葉は幻聴かと思って真顔でルーク様を見返すが、どうやら幻聴ではないらしく返事を待つ顔をして逆に見つめ返された。えぇぇぇ!?私!?私に!?もっと可愛い子いっぱい居ますよお兄さん!あ、一応婚約者って事になってるから優しいルーク様は私が可哀想だと思ったのね!優しい!


「もゃ……もちろんです!」


噛んだ!肝心なところで噛んだメアリー様の呪いかちくしょう。後で謝りに行くから許して。

ルーク様は一瞬ぽかん、とした後ふっと笑った。笑った!?許すまじ!ルーク様と言えど許すまじ!あ、でも格好いいから許す!

じゃあ、踊ろうか。そう言われて乙女ズにまみれているうちにくしゃくしゃになった服をいつの間にか直してぴしっとした正装のイケメン度最上級ルーク様に手を引かれ、ホールの真ん中に進む。胸がばくばくします!ドキドキ通り越してばくばくします!心臓が口から出そうになりながらも、差し出された手に手をそっと重ねた。音響さんが気を使ったのか、不自然じゃない程度で前の音楽が切られ、代わりに簡単なワルツが流れてくる。周囲の皆様もあらあらとでも言いたげな表情でこちらに超注目していた。いつの間にか注目の的です。咄嗟に視線をさ迷わせると、丁度目線の先にいたグラスが目だけで微笑んだ。頑張れって言われた気がして、自然と微笑む。

そうだね。初のルーク様とのダンスなんだから、楽しまなきゃ損だよね。それに憧れてうん十年のルーク様と踊れるなんて夢のようだわ!うっはヤバい興奮してきた!

ルーク様の方を見ると、にこりと微笑まれる。それに微笑みと言えるほどお上品ではないむしろよだれが垂れていなかったか心配になるような満面の笑みを返してから、最初のステップを踏む。そこからは、体が流れるようだった。一つ確かに言えるとしたら、ルーク様、惚れ直しました……!


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