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本当に本気で好きなんですっ!  作者: 咲良
少女時代編
2/11

2話「格好いいよぉ!格好いい!!」

「ルリアナ、ママ達はお話ししてくるからしばらくルーク様と一緒にいてね。困らせちゃダメよっ。」

「奥様大丈夫です。僕、ちゃんと出来ます。」

「あら、凄いわ。じゃあ頼んだわよ。」


そう言ってパタン、と閉まった扉を見つめながら、私はため息をつく。お母様、ここは敵陣真っ只中です。そして貴方が私を宜しくした相手に私は早くもやられそうです。だってだって、しょうがないじゃない!憧れのあの人のショ……子供バージョンが目の前に居るんだから!とりあえず気持ちを落ち着かせようと私は深呼吸を繰返し、どうでも良いことを考えて気をそらそうと思考の海に沈み混んだ。

あのね、確かに言った。前世で確かに、乙女ゲーの世界に転生するとか、憧れるわぁって言った。認めるよ。たださ、本当にやれとは言ってないじゃん!夢見る乙女の戯れ言じゃん!何だよちくしょう私が学生のとき必死で熱が出ますようにってお願いした時はうんともすんとも言わなかったくせに。

……まぁいい。この場に居もしない神様を恨んでも仕方がない。それに、私は主人公だからって無双夢見たりしないし悪役目指したりもしないし逆ハーしようとも思わないのだから。私の願いは1つだけ。

最愛のあの人、ルーク様と結ばれる事!


元々「恋の魔法でドッキドキ!~秘密の学園生活~」はそんなにコアなゲームでも有名なゲームでもなかった。前世で言うS○GAみたいなホジションのまぁまぁ中堅の会社が出していた、決して任○堂ではない、そこそこ売れたゲームだ。だが王道を貫くストーリーと、これまた王道を貫くキャラがうけて、お姉さまがたに騒がれていたから買った記憶がある。ただ、実は私このゲームクリアしていないのだ。前世のことはほとんど覚えていないが、私は所謂「生まれたときからあって、そして一生治らない病気を抱える可哀想な女の子」だった。有りがちだと思う。そう珍しい話ではない。神様はもしかしたら、ずっとゲームの世界に入ることを望んでいた私の願いを叶えてくれたのかもしれない。ただそれとこれとは話が別なのである。つまり、クリアする前にぽっくりしてしまった私はエンディングを知らなくて、そして当然ファンデスクや攻略本も買えなかったためゲームについての予備知識はほぼゼロなのだ。そんな微妙なゲームにやられても微妙な反応しか出来ないのは仕方ないでしょう。しかし実は一人だけ、エンディングを知っている人がいる。パッケージに描かれたその美しい顔!美しい青い髪!青い目!そしてなによりも顔!お分かりになったと思うが、今私の目の前で無表情に私の様子を伺っている彼が、そのルークである。全てが私好みだったため、ゲーマーとしては許されない事をして、私は彼のルートを知った。それはつまり、インターネット検索である。発売されてから数十時間で彼のルートをクリアされた先輩(廃人)の皆様のお陰で、私は彼のルート、分岐点、エンディングともに知ることが出来た。彼の名前はルーク。ルーク・フレネイジュ・リノ。まぁ戦隊もののブルーよろしく彼はクール枠担当だった。たまにデレてプレイヤーを魅了する……早い話がツン成分の分かりにくいツンデレである。エンディングでは彼がルート上滅多にない微笑みを浮かべ、「僕は一生君を愛し続ける……」といってキスをして、終わりなんだって。キャー!格好いい!ん?クール……ルーク……はっ!危ない、気付いてはいけないことを知ってしまう所だった。世の中には知らない方が良いことなんて沢山あるのだ。特にもう二度とあの世界に行かない私にとっては。よって、ゲーム会社の手抜きになんて気付きませんでした。本当です。ルークに話を戻そう。彼はヒロイン、私だね、の幼馴染みで、彼のルートに入ると突然ヒロインはずっとルークに片想いをしていたという設定がでで来る。つまり今の私は、このままいくとルークのルートを進み、そしてゆくゆくはあの「僕は一生君を愛し続ける……」という台詞をこの耳で……!!聞くことが叶うんじゃないかな……!そのために、今私は頑張って彼の好感度を上げようとしているのだが……どうしましょう。ヒロインより1個上設定。つまり四歳の彼は格好よすぎて会うたびに鼻血が出そうになります。とうかクールキャラどこいった!?ってぐらい私を可愛がろうと必死です。今だって急に黙り混んだ私に不安そうに顔を歪ませながらもそれを悟らせまいと必死に無表情て耐えてます。誰か……!私が萌え死ぬ前にカメラを……!

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