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新人政治官の楽しい休日1

仕事終わりました。

今日こそルリ焼きの老舗

ムギットで食べるんだ。


「やっと、王都に出たよ、観光しよう。」

私はうきうきしていた。


就職いらい、忙しすぎて休日は寮の部屋で

冬眠してて、ロバータさんにせめて食事に

来なさいと端末で呼び出される日々。


ああ、自分を誉めてあげたい。


「憧れのムギット…うちの地方のルリの実使用だよね。」

父さんが端正こめてつくったのかもしれない。

店頭にはしっかりケエラリル産ルリの実

使用って書いてある。


父さん、うちの地方のルリの実が、

王都の老舗で使われてるよ。


「いらっしゃいませ、なにになさいますか?」

ムギットの文字が入ったバンダナを

被ったおじさんが言った。


「ルリ焼き、チーズソースで。」

ああ、憧れのムギットのルリ焼き。


ルリ焼きは種を抜いたルリの実を丸々

1ついれて小麦の皮で包んで焼いた軽食で

ソースで味の変化をつけます。


「リカちゃんは?」

おじさんが言った。


リカちゃん?

まさか…はは、まさかね。


「じゃあ、飴がけでお願いします。」

聞きなれた声が言った。

ま、まさかね…。


「相変わらず甘党だな。」

おじさんが呆れたように言った。


ルリ焼きの飴がけなんてきいたことがないよ。


「おや、セレさん、奇遇ですね。」

視界にやっぱりあの人が入ってきた。


「リカ王子、こ、こんにちは、」

わーん、あいたくなかったよ。


「一緒にたべましょう、ルリジュースおごりますよ。」

綺麗な王子殿下が微笑んだ。


まあ、普段着のシャツにジーンズでさえ麗しいんだけど。

残念感満載だよね。

銀の長い髪は無造作にひとつ結びだし。


「リカちゃんは、紫だよね、お客さんは?」

おじさんが言った。


「緑がいいです。」

私は思わず言った。


ルリジュースはルリの実の果汁のジュースだ。

種類があって。

青が甘さと酸味のバランスのとれたスタンダード。

緑が甘さ控えめの爽やか系。

黄色が酸味が多い酸っぱい系

赤が野生の風味の辛い系

紫は甘さが大分まさるスイート系だ。


ブルー・ルリーナ人は

案外、それにこだわっている人が多く

何をのむかきめている人が多い。


私もいつも緑だ。

リカ王子はいつも、紫の甘い系らしい。


「あとは、真王様が来るのを待つばかりですね。」

リカ王子が言った。


ねぇ、紫ルリジュースになんでガムシロップ

がついてるの?

それ普通に入れてるし。


「…リカ王子も休日ですか?」

私は爽やかな緑ルリジュースを飲みながら聞いた。


「……まあ、そうですね、セレさんは観光ですよね、是非案内させてください。」

リカ王子が言った。


は?ガイドブックあれば大丈夫ですよ。


「え?別にいいのに。」

本音がでた。


「なにいってるんですか、デートしましょう、いつかの約束通り緑鷲亭(ミドリワシてい)で昼食おごりますよ。」

表面上は麗しい王子が言った。

なんで、デートせにゃならないのさ。

この間の食事の約束なんて忘れてたよ。


緑鷲亭は有名な老舗のホテルだ。

たしかに私なんて外からみるんがせいぜい

だけど…。


「何よ、あんた、また職場の子引っ張り回してるの?」

ほとんど強引に連れてこられた緑鷲亭には

ゴージャスな美女が待っていた。

あのたてロールの髪の毛どうなっているんだろう?


「なに、いってるんですか、あなたがラズレイタに嫁ぐからこんなことになってるんですよ。」

リカ王子が言った。

ラズレイタの人らしい


「リカ王子と旦那なら、瞬間で旦那を選ぶわよ。」

美女が言った。


「ピアリさん、ひどいです。」

リカ王子が傷ついた顔をした。


わー、嘘くさー。


「…特に今のところ問題はないわ、ねぇ、あなたもリカに振り回されてないで嫌ならいやとはっきり断りなさい。」

ピアリさんが言った。


断れるもんなら断ってますよ。


「わかりました、全力でセレさんを落として見せます。」

何故か、リカ王子が反応した。


ええ?良いよ。

職場で見るだけで充分だよ。


「嫌そうな顔してるわよ。」

ピアリさんがズバリ言った。


ええ、残念王子ぶり見てますから。


「セレさん?」

リカ王子が優しく私を呼んだ。


わー、こう言う声も出せるんだね。


「私、もう、帰りますね。」

私は言った。

邪魔そうだし…失恋相手ってこの人かな?


「大空の輝きコース頼んであります。」

立とうとした私の腕をがっしりと捕まえてリカ王子が言った。


逃がさへんでーって感じですか?


「私は帰るわ。」

ピアリさんが立った。


逃げるんだ…見捨てないでください。


「そうですか。」

残念そうに残念王子が言った。


ピアリさんの事、今でも愛してるのかな?


「セレさん、三人前頑張りましょうね。」

リカ王子がニコニコ言った。


「ええ?無理です。」

私、一人に押し付けてピアリさん追う気ですか?

私、大食いじゃないもん。


「二人で三人前だから大丈夫ですよ。」

リカ王子が言った。


……ああ、追いはしないのか。


「じゃあ、また半年後に、あなたもリカ王子に振り回されないようにね。」

ピアリさんはそういって去っていった。


緑鷲亭の大空の輝きコース…。

恐ろしいかったです。

ええ、昼から前菜5種にメイン2種にデザート盛り合わせってなに?量も多いし。

自家製パンまで手が回らないよー。

もう一人前はほとんどリカ王子に押し付けました。

甘党王子は追加のスイーツが食べられないって

ぼやいていました。


知りませんよ、帰りなんて、肩ダカレテ連行させたし。

私の貴重な休み返して~。

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