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武技憂気日本大戦  作者: 囲井 鯀
―弐―
8/111

 無言さんは部屋の隅にあるデスクへ歩み寄り、中から紙の束を取り出す。


「これが今回の作戦の資料だ」

「ありがとうございます」


 渡された資料をぱらぱらとめくりながら、記憶していく。


「ここの地図って、いつのものですか?」

「帝国が一番最後に発行したものだ。街に落ちていた旅行雑誌から模写した」

「そうですか」


 口調が堅苦しい。無言さんは本当にオレ達の事を信用していないようだ。

 資料を置き、こちらも預かってきた資料を差し出す。


「これはオレと千夜の事が詳しく書かれた資料です。本人すら知らない情報も載ってると言われ、見てもらってわかるとおり、封を開けていません。この資料に書かれている内容は本来門外不出のもの。そして、オレ達二人に資料の内容を教えるか否かは無言さん、あなたの自由だ、と伝えるように言われました」

「……ふん、なんとも大公らしいやり口だな」

「全面的に肯定します」


 早苗さんらしいが、やり方が汚い。当の本人にこんなことを言わせるなんて、協力しないと潰すと暗に言っているようなものだ。

 オレから渡された資料を置き、無言さんは再びソファに座る。それをみて、同じようにオレもソファに座った。


「やれやれ、小僧達を信用しないと、俺の命が危ないようだな、クソッ」

「安心して下さい。オレも千夜も裏切ったりはしませんから」


 まだ命は惜しい。

 そんなオレの気持ちを汲み取ったようで、無言さんは苦笑いをする。


「――さて、俺は小僧達の秘密を知ったわけだ」

「秘密って程ではないと思いますけどね」

「あいつがここまでさせるんだ。それ相応のものだろう」


 過大評価し過ぎですよ、と。オレが言う。

 過小評価し過ぎだ、と。無言さんが言う。

 結局、どっちもどっちなのだろう。


「で、知ったからどうしようと言うんです?」



「俺について、少しだけ話してやろう。誰にも言っていない事実だ」



 すぅ、と。

 空気が緊張する。

 唾を飲み込み、姿勢をただす。

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