プロローグ―弐―
なんて感じでプロローグです。
「神の集まる国、出雲、か」
瓦礫の山の中を歩きながらオレは呟く。
「見る影もなくなってしまったな」
隣を歩く千夜がそう返してくる。
「科学の力が栄えたのにまだ残っていたことにオレは驚きだよ」
「そうか? 私は科学の力があったからこそ、あれほどまでに栄えたからこそ、民衆の支持を多く得られていたのだと思うぞ」
確かに、出雲大社の周りには瓦礫は一つもない。出雲大社へ続く道もできる限り舗装されているようだった。そこは素直にすごいと思う。
見れば、ボロボロの鳥居もちゃんと修復されているようで、傷付いてはいるが、威厳ははっきりと感じられる。そこにある鳥居が特別なものに感じられてくる。
「……もしかしたら、出雲大社はまだ生きているのかもしれないな」
「神は民に支えられているからな。そう簡単には死なないであろう」
「かもしれないな」
「きっとそうであろう。でなければ、何千年もこうして残ってはいられない」
生きるも死ぬも、民次第。神様も大変だ。
そうしている間に、そこそこ大きな木の箱の前についた。
不思議な形をしている。木の格子が縦一列に十本程度並び、中身は空洞の用なのだが、それを隠すかのように格子の下に斜めに木の板が取り付けられている。
「…………?」
聞いてないぞ、こんなものがあるなんて。
ちらりと隣りを見ると、千夜は二回お辞儀をし、ぱんと渇いた音をさせながら四回手を叩く。少し動きを止めた後、今度は一度だけ頭を下げた。
「……何してんだ?」
「被にも分かり易く説明するなら――」
千夜は踵を返す。それに合わせて、オレも出雲大社の本殿を視界から外す。
「――『長手』」
「は?」
意味が分からない。
出雲大社って恋愛成就の神様がいるんですってー。
ところで「じょうじゅ」って「じょうず」って言いそうになりません?