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百合キス短編集:望まぬキスに囚われる女の子たち  作者: のは


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3/3

あかりと妖狐、吐息交わる誓いのキス

 キャンプ場で一組のカップルが楽しそうに笑い合っている。


 女の子の名前は星野あかり、20歳。

 都内の大学に通う文学部の大学生だ。


 黒髪を肩まで伸ばした清楚で優しい笑顔が印象的な彼女は、1年前に同じ大学のサークルで知り合った彼氏と、順調に付き合っていた。


 週末、二人は久しぶりの二人きりのキャンプに来ている。


 キャンプ場は山奥の静かな場所で、テントのすぐ近くに美しい湖が広がっていた。

 夜になると湖面が星を映し、幻想的な景色を見せてくれるとガイドブックに載っていた場所だ。


 焚き火の前で、あかりは彼氏の腕に寄りかかっていた。


「直人、焚き火の匂いって落ち着くよね。」


「そうだな、あかりとこうして来られてよかった」


「最近レポートで夜中まで起きてたから、こうして外でゆっくりできるの、すごく嬉しい」


「俺もだよ、今日はゆっくりしような」


 直人(20歳、同じ大学の経済学部)は、優しくあかりの肩を抱き寄せ、髪を指で梳いた。


「最近サークルとバイトで全然ゆっくりできてなかったから……こうやってあかりの隣にいられるだけで、なんかホッとする」


 あかりは照れくさそうに笑い、直人の胸に顔を埋めた。


「私も。直人がいつも優しくて、なんか安心するんだよね。来月は期末テストあるけど、終わったらまたどこか行こう?」

「今度は海とか……直人と一緒にいると、どこでも楽しいから」


 直人はその言葉を受けてあかりの額に優しくキスをする。


「約束な。テスト終わったら絶対また連れてくよ。あかりが笑ってる顔、ずっと見ていたいから」


 二人は焚き火の炎を見つめながら、他愛もない将来の話や、最近の大学の出来事、お互いの小さな好き嫌いを語り合った。


 時折、軽く唇を重ね、抱き合い、焚き火の暖かさと互いの体温に包まれながら、愛おしい時間を過ごした。


 焚き火が小さくなってきた頃、あかりはふと森の奥に視線を向けた。

 木々の間を、小さな影がこちらを覗いている気がした。


「……狐?」


 木々の隙間から1匹の狐がこちらを見ている気がする。

 一瞬だけ、その狐の目が金色に光ったように見えた。


 暗闇の中で、まるでこちらを値踏みするようにじっと見つめているような、不思議で不気味な輝き。

 あかりの背中に、ぞくりと冷たいものが走った。


「あかり、どうした?」


 直人が心配そうに顔を覗き込んでくる。

 あかりは慌てて首を振り、笑顔を作った。


「ううん、なんでもない。ちょっと森の方に狐がいただけ」


「熊とかじゃなくてよかったな。もう遅くなってきたしテントに入ろうか」


「うん、明日起きたら日の出見ようね」


 あかりは不思議な狐のことを頭の片隅に追いやる。


 二人は焚き火を消し、テントの中に入っていく。

 寝袋に包まり、直人の温もりを近くに感じながら、あかりはすぐに深い眠りについた。


 幸せな余韻の中で、彼女はあの狐の金色に光る目のことも、すっかり忘れていた。


 ---


 ——深夜2時過ぎ。

 テントのファスナーが、音もなくゆっくりと開かれる。

 そこには一人の少女があかりたちのテントに入ってこようとしていた。


 幻想的な雰囲気を纏い、目鼻が整ったどこかこの世のものではないと思わせる美しさをもった和装の少女。

 その少女が影のように忍び込み、あかりの隣で眠る直人を一瞥した後、あかりの寝顔をじっくりと見下ろした。


 焚き火の残り火が微かに差し込む中、少女が赤い火の玉のようなものを掌に小さく灯す。


 少女は懐から、小さな鈴のついた布を取り出した。


 おもむろに、あかりの細い首にその布を押し当てると布がシュルシュルと動きそっとあかりを起こさぬよう静かに巻きつく。

 同じ要領で直人の首にも鈴のついた布が巻かれた。

 鈴が微かに「ちりん……」と音を立てた。


「……」


 それが終わると、少女はあかりの顔をねっとりと品定めするように観察した。

 赤い光を近づけ、唇の形、厚み、色艶、微かな湿り気まで、時間をかけて眺め回す。


 指先をゆっくりと近づけ、唇の輪郭をなぞり、下唇の中央を親指の腹で優しく押し、弾力を確かめるように軽く押しては離す。

 柔らかく、ぷっくりとした感触に、少女の金色の瞳が妖しく細められた。


「なんて美しい人……」


 少女はゆっくりと顔を近づけ、寝ているあかりの唇に自分の唇を重ねた。

 熱く柔らかい唇が、彼女のぷっくりとした唇を優しく押し潰すように密着する。


 少女は角度を変えながら何度も唇をねっとりと押しつけ、上唇を優しく吸い上げ、下唇を舌先でゆっくりと舐め回し、唇の輪郭をねぶるように、執拗に味わい続ける。


 唇の柔肉が互いに沈み込み、形を変えるほど密着し、熱い吐息が唇の隙間から漏れるたびに、ねっとりとした感触が深まる。


 あかりは無意識のうちに小さく鼻を鳴らし、微かに眉を寄せながらも、深い眠りの中で体を少しだけもぞもぞと動かした。

 唇が熱を持ち、僅かな快感が、夢の中に甘く溶け込んでいく。


 少女は長い間、ただ唇を弄ぶように、味わうように、執拗にキスを続けた。


 やがて少女はさらに深く唇を押しつけ、あかりが寝息を吐くタイミングでその甘い吐息をゆっくりと吸い上げ、代わりに自分の熱く湿った息を、唇の奥深くまで注ぎ込んだ。


 そして、あかりの息を吸い、自分の息を吹き込むという、倒錯的な呼気の交換を行い始める。


「……ん……ふぅ……」


 重なり合った唇が熱くなり、敏感になっていく感覚と、自分の呼吸が支配されているかのような不思議な違和感で、あかりの意識が徐々に浮上し始めた。

 そして、ようやく目を薄く開いたあかりの視界に、金色の瞳と妖しく揺らめく赤い光が飛び込んできた。


「……えっ!?」


 あかりが何が起こっているのかわからず声を上げた瞬間、少女の目が金色に強く輝いた。


 ちりん……!


 あかりの首に巻かれた鈴のついた首輪が小さく振動する。

 たちまち、彼女の全身に金縛りの力が襲いかかった。


「——っ!?」


 あかりが声を上げようとしたその瞬間、全身が硬直し、指一本動かせなくなった。

 喉も声も封じられ、ただ目だけが恐怖に見開かれた。


 少女は唇をわずかに離し、粘つく唾液の糸を引きながら、優しく微笑んだ。


「起きたんだね、あかり。怖がらないで……僕はさっき会った狐だよ。君に一目惚れしたんだ」


 少女の声は甘く、まるで耳の奥まで染み込むような響く。

 金色の瞳が、赤い狐火の光に照らされて妖しく輝いている。


 あかりは金縛りで体が動かせないまま、恐怖で目を見開いた。


「ん……っ……! うそ……離して……!」


 少女は優しく微笑みながら、再び唇を重ねてきた。

 今度はさっきよりも深く、ねっとりと。


 少女の唇が、先ほどまでの口付けでぷっくり熱を帯び腫れたあかりの唇を強く押し潰すように密着する。


 すぐに少女の舌が、彼女の唇の隙間をねっとりと割り開け、内側の柔らかい粘膜を味わうように滑り込み、ぬるぬるとした熱い舌が、あかりの舌に絡みつく。


 舌同士が、ねっとりとした唾液をたっぷりと絡め合いながら、ゆっくりと、執拗に、ぬるぬると擦れ合う。


 少女の舌があかりの舌を優しく包み込み、ねぶるように動き、時には強く絡め取って吸い上げ、離してはまた深くねじ込んでくる。


 ぬるぬるした舌の表面が密着し、絡まり合い、互いの唾液が混じり合って溢れ、唇の端から一筋、彼女の頰を伝い落ちた。


「あ……んぐっ……!んん……っ……!」


 あかりの目から大粒の涙が溢れる。

 少女は唇をゆっくり離し、涙で濡れたあかりの頰を指で優しく拭いながら、甘く囁いた。


「婚姻の前に、身体を清めよう……僕の花嫁として、綺麗な状態で迎えたいからね」


 少女は金縛りの力を緩めず、あかりの裸体を抱き上げ、テントの外へ連れ出した。

 冷たい夜風が肌に当たり、あかりは全身を震わせる。


 少女はあかりを抱いたまま、テントのすぐ近くにある湖のほとりまで歩いていく。

 湖面は静かで、星の光を映して妖しく輝いていた。


 少女はあかりを生まれたままの姿のまま、冷たい湖の浅瀬に立たせ、水をすくって彼女の体を洗い始めた。


「んっ……!んんっ!!」


 掬った水を身体に塗りつけ、その柔らかさをねっとりと堪能する。

 冷たい水の中で、あかりの身体は意思とは裏腹に熱を帯びていった。


「あ……っ……やめて……!触らないで……!」


 少女の手はあかりの身体に指をゆっくりと滑らせる。

 優しくほぐすように、指先がくまなく這い回り、その裸体を何度もねっとりと刺激した。


「ほら……あかりの身体、こんなに熱くなってる……僕を感じて、興奮してるんだね」


 あかりは羞恥と恐怖で声を震わせることしかできない。


「いや……やめて……お願い……!」


 あかりの震える声が、静かな夜のキャンプ場に響いた。

 その声で、直人はテントの中で目を覚ます。


(……あかり? 今、声が……)


 身体が妙に重い。

 まるで全身が鉛になったような気がする。


 直人はぼんやりと上半身を起こし、テントのファスナーを少し開けた。


 そして——

 彼は自分の目が信じられなかった。


「あ……あかり……!?」


 湖のほとり。

 赤い不気味な光に照らされた水際で、あかりが全裸で、見知らぬ少女に抱かれていた。


 少女の手が、あかりの身体に伸びて弄んでいる。

 あかりの顔は恐怖と羞恥に歪み、首には小さな鈴のついた布が巻かれていた。


 直人の頭が真っ白になった。


「何だよ……あれ……何してるんだ……!?」


 彼は血の気が引くのを感じ、テントから這い出てあかりの元へ駆け寄る。


「お前何やってんだ!あかりを離せ!!」


 しかしその瞬間——

 ちりん……!


 少女の目が金色に強く輝き、直人の首に巻かれた鈴の首輪が小さく鳴り響く。

 全身に強烈な痺れが走り、直人の体は膝から崩れ落ちた。


 手足が一切動かなくなり、声も満足に出せなくなる直人。

 ただ目だけを大きく見開いたまま、湖畔の光景をただ見つめることしかできなかった。


「う……ぐ……あかり……!」


 喉の奥からかすれた声が漏れるが、ほとんど音にならない。


 あかりは直人の姿に気づき、必死に叫んだ。


「直人……!助けて……!動けないの……!直人っ!!」


 しかし直人は金縛りで微かに指先を震わせるだけだ。

 絶望と恐怖と屈辱に震えながら、自分の恋人が、全裸で少女に弄ばれている姿を、ただ見ていることしかできなかった。


 少女は直人の方を見て、優しく、しかし残酷に微笑んだ。


「そこで見ていてよ、君の大切なあかりが、僕の花嫁になるところを」


 あかりは涙を流しながら、声を振り絞った。


「いや……!私は直人の彼女なの……!あなたの花嫁なんかになるわけない……!絶対に……絶対にいや……!」


 その言葉を聞いた、少女はあかりに向き合うと、あかりの首の鈴が妖しく光る。

 そして、あかりの耳元で優しく、しかし残酷に囁いた。


「ふふ……どれだけ拒絶しようが無駄だよ。これから僕が、君の体も心も、全部僕のものに堕としてあげる。朝が来る頃には、もう恋人の名前も思い出せなくなるくらいに」


 その言葉を聞いた少女は、あかりに向き合うと妖力を込めた。


 ちりん……!


 あかりの首に巻かれた鈴の首輪が小さく振動した。


 同時に、少女の手が素早くあかりの口元を覆う。

 掌で口をぴったりと塞がれ、口での呼吸が完全に封じられる。


 あかりはすぐに自らの身体に起きている異常に気づいた。

 これも金縛りなのだろうか、鼻から全く息が入ってこない。


「……っ!?……っ!!」


 口も塞がれているため、息を吸おうとしても肺が膨らまない。

 息苦しさとパニックが一気に込み上げ、目が大きく見開かれた。


 少女は満足げに微笑みながらあかりの口元から手を離す。


「っぷは……!!」


 必死に解放された口から空気を取り込むあかり。

 少女はそんな様子のあかりを抱き上げ、冷たい湖の浅瀬に立たせた。


「これから、君を徹底的に堕としてあげる」


 そして、少女はあかりの体を冷たい湖の水の中にゆっくりと沈めた。


「やめっ……ごぼっ……!!」


 水が顔を覆っていく。

 息ができないあかりは、即座に激しい恐怖に襲われた。


 肺が焼けるように苦しく、意識が遠のきかける——

 すると突然ガバッと、少女が彼女を引き上げた。


「あ……はぁっ……! はぁ……んむぅ!」


 酸欠で真っ白になった頭が空気を必死に取り込もうとした瞬間、少女の唇が彼女の唇にぴったりと重なった。

 隙間なく、完璧に密着する唇。


 熱い少女の唇が、あかりの熱を帯びぷっくりした唇を強く押し潰す。

 息を吸う余地すら与えない密着。


 少女が深く息を吸い込むと、あかりの肺から甘い吐息が奪われ、代わりに熱く湿った少女の息と妖気が、唇の奥までゆっくりと注ぎ込まれる。


 倒錯的な呼気の交換。

 少女の息が肺の奥まで満たしていく瞬間、あかりは無意識に安堵を感じた。


 酸欠の苦しみから解放される感覚が、甘い波のように全身を包む。

 同時に、少女の息が体に染み込むような、不思議な熱と疼きが広がっていく。


 肺が少女の息でいっぱいになるたび、胸の奥が熱く疼き、乳首が痛いほど硬く尖り、秘部がじんじんと甘く疼いた。


(……生きてる……息ができる……この子の息が私の肺を満たしてく……)


 しかし安堵は長く続かない。

 少女は唇を離さず、満足げに微笑みながら、再びあかりの体を冷たい湖の中にゆっくりと沈め始める。


 再び水が顔を覆うと少女の唇は離れていき、再び息苦しさがあかねに襲いかかる。


 沈み込む時間は前よりも長く、容赦なく。

 肺が再び焼けるような苦しみに襲われ、死の恐怖が鮮明に蘇ってくる。


(また……息が……できない……怖い……死にたくない……!)


 あかりの意識は急速に薄れていき——

 再び引き上げられる。


 すぐに唇がぴったりと重なり、少女の熱い息が肺の奥まで注ぎ込まれる。

 酸欠の苦しみから解放される安堵と、少女の息で満たされる甘い感覚が混じり合い、あかりの体は無意識に震えた。


(この子の息が、入ってくるたびに……身体がジンジンして、熱くなる……)


 この繰り返しが、何度も、何度も続いた。

 引き上げられるたび、少女の唇がぴっちりと塞がれ、少女の妖気で満たされた息が肺に入り込んでくると、あかりの身体に快感と甘い安堵が訪れる。


(っ……!こんなのダメ!)


 脳に酸素が行き届き頭がクリアになってくると、未だに鼻での呼吸は叶わないが、金縛りの効果が徐々に薄れてきているのか僅かに身体を動かすことが出来ることに気づく。


「……っぷぁ……ぁ……ごぼっ!!」


 あかりがキスを拒絶して顔を逸らそうとすると、即座に冷たい湖に沈められ、息ができない恐怖と死の恐怖に苛まれる。


 少女の息を吸うたびにあかりの体は敏感になり、拒絶するたびに酸欠の苦しみが深くなる。

 恐怖と安堵、拒絶と依存が、彼女の心の中で激しく絡み合っていく。


(あかり……そんな……)


 直人は金縛りのまま、あかりが少女から受ける仕打ちを岸辺でただ見つめ続けるしかなかった。


 その様な口付けが何度も繰り返され、引き上げられるのも何度目かもわからなくなったころ、あかりはもう顔を逸らさなくなった。


「……ぁ……んっ」


 朦朧とした目で少女の唇を見つめ、酸素を求めるように自ら顔を寄せ、貪るように唇を求めて息を吸い込んでしまう。


 少女は満足げに微笑み、今度は情熱的でねっとりとした長いキスを返した。

 舌を深く絡め、唇を吸い、唾液をたっぷり混ぜながら、あかりの濡れた唇を味わい尽くす。


 金縛りのまま、岸辺でただ見つめ続けるしかない直人。


 ……しかし、突然。

 あかりの手足が、微かに動く。

 金縛りが、ゆっくりと更に解け始めていた。


 直人は一瞬、希望を抱く。


(あかり……!逃げろ……!)


 だが、次の瞬間、彼は絶望の底に突き落とされることになる。


 あかりが自らの両手を、少女の首に回して始める。

 裸の体を少女に強く押し付け、まるで恋人のように抱きしめ合いながら、少女の唇に自ら顔を寄せ、深く、ねっとりとキスに応えていた。


「んっ……ぷちゅ……」


 舌を絡め、唾液を混ぜ、少女の息を貪るように吸い込み、自分の息を少女に与える。

 あかりの腰が小さく震え、少女の身体に自分の胸を擦りつけるように身をよじっている。


 直人は目を見開いたまま、声も出せなかった。


(……あかり……?金縛りが、解けてるのに……どうして……)


 あかりの目は虚ろになりもはや快感に飲まれている。

 その唇はもう、少女の唇から離れようとしなかった。


 あかりは逃げ出すどころか、自ら少女の首に腕を回し、裸体を密着させ、少女の息を求めるように深く、深く、夢中でキスを続けている。


 直人の心は、音を立てて砕け散った。


(あかりが……俺の目の前で……自分からあんなキスを……)


 彼女の唇は、もう少女の唇から離れられなくなっていた。

 冷たい湖のほとりで、あかりの心と体は、ゆっくりと、しかし確実に、妖狐のものへと堕ちていく。


 少女はキスに夢中になっているあかりの頰を、優しく両手で包み込む。


 ゆっくりと唇を離すと、熱く腫れたあかりの唇から長く粘つく唾液の糸が引いた。


「愛しているよ、あかり。今から、婚姻の儀を行おう」


 あかりは虚ろに潤んだ瞳で少女を見つめ、小さく、けれど確かに頷いた。


 その瞬間、周囲の景色が白い霧に包まれる。

 冷たい湖のほとりから、すべてが溶けるように変わっていく。

 気がつくと、二人は古い神社の本殿の奥深くに立っていた。


 薄暗い社殿の中、月明かりと灯明の炎だけが淡く揺らめいている。

 少女の姿はいつのまにか、あかりと同じく何も纏っていない生まれたままの裸体を変わっていた。

 しなやかな身体と、妖しく白い肌、腰のあたりでゆらりと揺れる九つの尾の影。


 その完璧な裸体を見た瞬間、あかりの胸の鼓動が激しく跳ねた。

 少女は優しく微笑みながら、あかりに近づく。


「僕の花嫁……愛している。永遠に、僕だけのものになって」


 あかりはもう、抵抗する気力を失っていた。

 自ら少女の首に両手を回し、裸の身体を強く押し付ける。


 熱を持った少女の身体が、あかりの柔らかい体を抱きしめた瞬間、二人は同時に唇を重ねた。

 濃厚で、ねっとりとしたキスを続けながら、少女はあかりの腰を抱え上げ、ゆっくりと自身抱きしめる。


「あ……っ……んん……!」


 幻想的で美しい裸体を持つ妖狐、その身体があかりを慈しみ、宝物を扱うように求める。

 二人の裸体が、ぴったりと一つに重なり合った。


 少女の胸があかりの柔らかい胸を押し潰し、あかりの腕が自然に動き、少女の背中に絡みつくように密着する。


「狐さんの……身体……熱い……!すごく、ドキドキする……」


 少女は腰をゆっくりとあかりに密着させ、キスをしながら、深く甘い抱擁を繰り返した。

 舌をぬるぬると絡め合い、唾液をたっぷりと交換し、唇を吸い、ねぶり、貪るようにキスを続け、あかりの唇を何度も、ねっとりと味わい尽くす。


 ちゅるっ……れろ……じゅるる……


 湿った甘い水音が社殿に響き渡っていた。


「あ……んっ……! 直人……ごめん……でもこのキス……すごく気持ちいいの……!」


 少女の柔らかい体が、あかりの体に強く押し付けられ、温かく滑らかな肌同士が密着し、擦れ合うたびに甘い痺れが二人の間を駆け巡る。


「狐さんの……唇が……熱くて……柔らかくて……溶けそう……!もっと……もっと深く……!」


 少女はキスを深く続けながら、あかりの体をさらに強く抱きしめ、舌をぬるぬると深く絡め、唾液をたっぷりと注ぎ込み、あかりの唇を貪るように味わい続けた。


「んぅゔぅぅぅぅぅっぷぁっ!!」


 あかりは脳の許容量を超える快楽の洪水に反射的に唇を離す。

 その瞬間、あかりの視線が、社殿の片隅に固定されたままの直人と、ふと合った。


 直人の目には、絶望と悲痛と、信じられないという感情が浮かんでいた。

 あかりの瞳が一瞬だけ揺らぎ、罪悪感が胸を刺す。


(直人……ごめん……私……)


 しかしその刹那、狐の指があかりの顎を優しく、しかし強引に摘み上げ、あかりの顔を強制的に自分の方に向けさせた。


「君がその瞳に映すのは、僕だけでいい」


 少女の唇が、再びあかりの唇を深く奪う。

 熱くねっとりとしたキスが、彼女の意識を一瞬で飲み込んだ。


 舌がぬるぬると絡みつき、唾液をたっぷりと注ぎ込み、呼気を交換しながら、彼女の思考を溶かしていく。


「んっ……ぷちゅ……れぉ……」


 あかりの瞳が、みるみるうちに蕩けていった。

 直人を映していた視線は、少女の金色の瞳に吸い寄せられるように変わり、もはや直人の姿を捉えない。


 そこにあるのは、快楽と服従と、甘い依存だけだった。


「あ……んっ……!」


 少女は満足げに微笑みながら、愛を紡ぐ。


「あかり……愛している……僕だけの花嫁……この体も、この唇も、全部僕のもの……」


「ああっ……! 狐さん……すごい……身体が痺れる……!」


 あかりは何度も、何度も身体をピクピクと痙攣させながら妖狐の求めに応える。


「あ……んんっ……! 熱い……体中が……熱くなって……!」


 頭の中が真っ白になり、快楽の波に飲み込まれるたび、少女の首に回した腕に力がこもり、裸の体を強く押し付け、互いの肌をねっとりと擦り合わせる。


「こんなの……初めて……体が……勝手に動いちゃう……!もっと……もっと深く……私を……めちゃくちゃにして……!」


 少女の体温があかりの全身に染み込み、密着した肌が熱く滑らかに擦れ合うたび、甘い痺れが二人の間を駆け巡る。


「うぁっ……あかり……」


 不意に少女から嬌声が漏れた。

 少女も限界が近いのだろうということがわかり、あかりは自分の身体で少女を満足させていることに悦びを感じる。

 唇をゆっくりと離し、糸を引く唾液を眺めながら、妖狐は甘く囁いた。


「今から妖力を使って君に子を宿す。その前に僕と夫婦になることを、誓ってほしい。ここで、神前にて正式に夫婦の誓いを」


 裸で絡み合い、心を通わせた二人。

 少女はあかりを抱いたまま本殿の中央にある神前に進んだ。


 二人は神前で、互いの体を密着させた状態で誓詞を奏上する。

 少女がまず、厳かで美しい声で奏上を行った。


「我は、化け狐の末裔、永遠の契りを以て、星野あかりを妻とし、生涯、愛し、守り、共に生きることを誓います」


 次に、あかりが朦朧としたまま、しかしはっきりとした声で繰り返した。


「私は、星野あかり……あなたを夫とし、永遠にあなたの花嫁として生きることを誓います……私の体も、心も、魂も、すべてあなたに捧げます……あなたの子を産み、共に生きることを……ここに、神前に誓います……んむっ!!」


 誓詞が終わった瞬間、少女はあかりの唇を貪るように激しく求めてきた。

 二人の唇が、強く揉み合うように激しく重なり合う。

 柔らかく熱くなったあかりの唇が、少女の唇に押し潰され、形を変えながら深く絡みつく。


 少女はあかりの下唇をねっとりと吸い上げ、上唇を優しく噛むように味わい、すぐに舌を深く滑り込ませてきた。


「んぅ……ちゅる……」


 ぬるぬるとした熱い舌が、あかりの舌に絡みつき、ねっとりと執拗に擦れ合い、絡まり合う。

 少女の舌があかりの舌を包み込み、ねぶるように動き、時には強く吸い上げ、離してはまた深くねじ込んでくる。


「んっ……ぶちゅるるる……」


 互いの唾液がたっぷりと混じり合い、唇の端から溢れて頰を伝い落ちる。

 あかりは妖狐の激しい求めに必死に応えていた。


 虚ろになった瞳を閉じ、少女の首に両腕を回し、自ら唇を押し付けるようにして応じる。

 舌を積極的に絡め返し、少女の舌をねっとりと受け止め、自分の唾液を混ぜながら、夢中でキスを深めていく。


「ん……ちゅるっ……んんっ……!」


 湿った卑猥な水音が、薄暗い社殿に響き続ける。

 二人の唇は離れることなく、揉み合い、吸い合い、ねぶり合い、熱くぬるぬるとした舌が長く深く絡み合い、まるで溶け合うように激しく求め合っていた。


 そのキスの最中、不思議な力があかりの下腹部にゆっくりと広がっていった。

 身体の内側がじんじんと熱を持ち、甘く疼くような感覚が体全体に染み渡る。

 少女の力が、あかりの中に宿るような、満たされるような、甘く妖しい熱が、ゆっくりと、しかし確かに広がっていく。


「あ……んんっ……! 熱い……お腹の奥が……熱くなって……!狐さんの……力が……私の中に……!」


 あかりはキスに溺れながら、甘く震える声で喘いだ。

 少女は満足げに唇を重ね続けながら、あかりの下腹部に優しく手を当て、力を注ぎ込む。


(私の中に……狐さんの赤ちゃんが……!)


 あかりは自分の子宮に、たくさんの命が宿るような感覚を覚えた。

 人間との種付けでは通常ありえない数の着床。

 それを感じて、あかりは悦びに震える。


「すごい……狐さんの赤ちゃん、私の中にいっぱい宿ってる……嬉しい……」


 体が震え、強い絶頂に達しながら、再び少女の唇を自ら求めて重ねた。


「ん……ちゅ……もっと……キスして…私、もう……狐さんのもの……完全に……あなたの花嫁……あ……んっ……! 幸せ……狐さん……大好き……!」


 その時、少女はゆっくりと顔を上げ、直人の方を見た。


「僕の花嫁を連れきてくれてありがとう……君は、永遠に僕たち夫婦を見守ってくれ」


 ちりん……!


 直人の首に巻かれた鈴の首輪が最後に小さく鳴った。

 その音とともに、直人の体が石のように固まっていく。


 肌が灰白色に変わり、目だけが絶望に満ちたまま凍りつき、稲荷の石像へと姿を変えられてしまう。


 直人はもう、動くことも叫ぶこともできなかった。

 ただ、神社の片隅に置かれた石像として、永遠に、二人が交わる姿を眺め続ける運命となった。


 あかりは快楽に溺れていて、もはや直人の変化に気づきもしない。

 彼女は少女の首に腕を回したまま、再び唇を重ね、幸せそうに体を震わせながら、少女の胸に自分の裸体を擦りつけた。


 二人は月明かりの下、永遠に続くような、ねっとりとしたキスを続けながら、魂までも深く繋がったまま、ゆっくりと体を重ね合った。


 石像となった直人は、そのすべてを、瞬きすらできない目で、ただ見つめ続けていた。

 恋人が、自分ではなく少女の胸に頰を擦りつけ、恍惚とした表情で、甘い喘ぎを漏らしながら、何度も妖狐を求める姿を。


(あかり……)


 自分の存在など、すでにあかりの意識から消え去っていることを、痛いほど思い知らされながら。


「狐さん……愛してる……」


 あかりはもう、完全に妖狐の花嫁となっていた。

 直人の面影は遠く霞み、快楽と愛に溺れながら、永遠に少女と共に生きていくのだった。


 そして神社の片隅の稲荷像は、二人の夫婦の営みを、永遠に、ただ見つめ続けるしかなかった。

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