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アンノウン  作者: ラウス
18/21

戦闘狂って怖いね

はいはい二カ月ぶり二カ月ぶり

亀更新にもほどがありますね、ええ


すいませんでしたぁあああああ!

「リリスさんって戦闘狂バトルジャンキーですよね」

「ん? まあそうだな、一応戦闘に特化されて造られてるからな、多少そういうとこあるかもな」

「多少……ですか」

「なんだその眼は」

「いえ別に」






*****





「ガルルァアアアアアア!」

「きゃー!」


 響く女性の声。魔獣が高い唸り声を上げて襲いかかってくる。

 女性は幼い我が子を抱き、刹那に降り注ぐであろう激痛、あるいは死に目を瞑る。


 ――しかし、激痛も、死も、襲ってこなかった。


 おそるおそる目を開けると、そこに見えたのは、赤。


 その赤色はとても綺麗で、麗美で、思わず見惚れてしまうほどに艶やかで。


 とても危険な、色だった。


「――大丈夫か?」


 その赤色――リリス・レッドバードは、魔獣を一撃で殺した後、ニヒルな笑みを浮かべて言った。


「は、はい……」


 それを聞いて赤色は、安心したような笑みを浮かべ、一瞬で去った。


 子を抱いた女性は、あまりの出来事にしばらく茫然としていた。





「キリがねー!」


 赤色の髪が揺らぐ度に、魔獣が一匹二匹と減っていく。


 着々と魔獣の数を減らしているリリスだが、一向に数が減ってる様子が無い。


 一体どれだけの数の魔獣がこの王都に送り込まれたのだろうか。


「ん? ……あで!」


 突然、何か壁のようなものにぶつかった。


「つ~~、何だ? 結界?」


 よく見ると、青白い薄い壁に囲まれていた。


「いや、これは――転移――――?」


 その結論に達した瞬間、リリスは王都から消え去った。





*****





 その頃、代理人は『避難所』と銘打たれた王都の一角に居た。


 体育館ほどの広さの空間に、現在百人ほどの戦えない人たち――女子供、けが人が集まってる。

 入口は騎士に囲まれて守られてるため、一応安全といっていいだろう。


 ここに居る人達を見回すと、皆不安そうな顔つきをしている。


 当然だろう、こんな状況で不安になる理由がわからないほど、代理人は壊れていない、狂ってもいない。


 不安には、ならないが。


 安心も、していない。


 リリスは世界最強だが、無敵ではない。


 最強が何時だって勝てるとは限らない、状況によっては負けることだってある。


 無敵の生物なんて、【世界最弱】である、リリットだけだ。


 っと、そこまで考えたところで、くぁっとあくびを漏らした代理人が、突然青白い壁に囲まれた。


 それが結界だと気づく前に、代理人の視界はブレた。


 そして、代理人の姿は避難所から消え去った。


 偶然にも、それを目撃したのは、一人もいなかった。



「うーん、新しい発見ですね」


 代理人には魔法は効かないが、空間を対象にした転移は効くのか。


 また一つ、賢くなった。


「それはそうとして……スイーツ(笑)さん」

「誰ッがスイーツ(笑)だゴラァ!」


 若干、というかかなりキャラが崩れてるふわふわフリフリワンピースキチガイ女もといスイーツ(笑)を軽く無視し、代理人は言葉を続ける。


「バトル展開ですか?」


 現在地は――かなり広い草原だ。


 地平線の向こうに王都が見えるため、そこまで遠くの場所に転移させられたわけでも無いらしい。


「こほん……ええそうよ、そして私の名前はスイーツ(笑)なんかじゃなくてリリシャンっていう可愛い名前があるのよ」


 そう言ってクリーム色の髪をしてワンピースを着た女性――リリシャンはピンク色の……子供向けアニメの魔法少女が持ってるような杖を取りだした。


「…………」


 短めの柄の先っぽにハートが付いてて、そこから左右に天使の翼っぽいのが生えてる、ものすごくコメントに困る杖だった。


「ふふん、このまじかる☆ステッキの餌食にしてやるわ」

「…………」


 壮絶だった。

 まさかここまで壮絶な性格だとは代理人も予想できなかった。


 鳥肌が立ってきたが、我慢我慢……絞り出すような声で、代理人は言う。


「……何故わざわざ私と……?」

「あの王都に今いる戦えるやつの中で魔獣には手に負えそうもないやつがアンタ達だけだったからだよ」


 アンタ、つまりリリスも何処かに飛ばされたというわけか。


 うーん、まあいいか。


「まあ……いいですよ、やってやりましょう。私は、貴女に初めて会ったときからずっと貴女を殺したいと思ってました」

「へえ……そんな風に思われるようなことした覚えは無いけど……行くよ」


 チャキっと、リリシャンはピンク色の杖――まじかる☆ステッキを構える。


「ファイアーアロー!」


 杖の先から炎の矢が放たれ、代理人に真っ直ぐ向かっていった。


 しかし、代理人に当たった瞬間に露散した。


「あり?」

「ああ、私には魔力耐性がありますから、上級魔法でも私を傷つけることはできません」

「はぁ? そんなの反則じゃない……いや」


 リリシャンは何かを思い出すような仕草をする。


「アンタ……【虚偽遣い】って名乗ってんでしょ? つまり、嘘吐きじゃない」

「おやおや、低俗な嘘吐きなんかと一緒にしないでください、私は由緒正しき、【虚偽遣い】ですよ」

「そんなのどうでもいいよ! ようするにどうせ嘘なんでしょ? 魔力耐性ってのもよぉ!」


 再び魔力を集め始めるリリシャン、まじかる☆ステッキの先っぽのハートがくるくる回り始めた。


「火よ、燃えろ燃えろ燃えろ、辿を衝き、血を焼け、髪を溶かせ――ラ・ディガ・ブレイズ――プロミネンス――!」


 代理人の頭上に小さな火の粉が現れ、それがリリシャンの言葉とともに、爆破した。


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