9.
懐かしい木々の香り、禍々しい魔物の気配、物音一つしない静かな空間。
離れていた時間はそれほど長くなかったが、今まで毎日隣にあった気配に、帰ってきたと言う気持ちが湧き上がってくる。
他の人にとっては緊張が強いられる場所だが、私にとっては安心できる場所だ。
他の人がいる環境の方が、何があるかわからないため緊張する。
主に、間違えて咄嗟に殺さないか、と言う緊張だが。
私は領域に、気配を同化させた。
第一層では何も襲ってこなかった。
第二層に入ってしばらく経った時、上空から複数の飛行型魔物の接近を感知した。
羽ばたきからすると、鳥系統の魔物だ。
私はずっと愛用している剣を、異空間から取り出した。
私が剣を取り出したことで、周りも警戒を始めた。
それを横目に私は、空間を蹴り、上空に跳び上がる。
一閃。
落下する身体を蹴って方向転換。
二羽目。
切った身体を足場に、合計五羽のフレズベルグを仕留めた。
もちろん、身体が落ちる位置を計算しているので、同行者には血の一滴たりともかかっていない。
地面に降り立った私は、鮮度が悪くならないうちに解体して、異空間の放り込んだ。
同行者、特に兄たちは、ポカンと口を開けて、私を見ている。
兄たちを振り返った私は、二歩で兄を追い越し、三度剣を振るう。
重い音と共に落ちるのは、三切りになったアンピプテラ。
アンピプテラは気配を消す技術だけをとったら、領域で五本指にはいる。
ただ、強さはそれほど強くない。
気配を隠すのだけは、異様に上手いだけだ。
アンピプテラは解体せずに、そのまま異空間へ。
「油断したら、死ぬ。今回は私がいるから傷つけさせないけど、気を付けておいた方がいい。」
「さっきのは?」
「フレズベルグは鷲に似た大型の飛行型魔物。アンピプテラは蛇に似た大型魔物。鳥系統は羽、爪、嘴が、蛇系統は皮、血、内臓、骨が良い素材になる。」
「良い素材とは?」
「武器、防具、薬、毒。肉は私の、ここでのご飯だった。」
同行者たちは、驚く者、考え込む者、戸惑う者と千差万別だ。
「魔物の死体は、全て埋めるか焼いて処理していたな。」
「なんて勿体無い。」
本当に勿体無い。
強い魔物は魔法との親和性も高い。
良い材料になるのに、それを今まで全て無駄にしていたなんて。
知っていたら、私が全て引き取っていたのに。
今度からは、私が貰えるか父と交渉しよう。
それから私は、出て来る魔物全てを狩った。
途中からギディオンから制止が入り、結局行きたかった五層まで行くことができなかった。
残念。
今度は一人で来ようと決意した。




