7.
翌日、朝から家庭教師がきた。
基本の挨拶、話し方、マナー、歴史、数学…。
幅広く色々な分野を学ぶことができて、楽しかった。
けれど残念なのは、途中から、もう教えることはないと言われたこと。
学園を卒業できるレベルの勉強は終わったのだとか。
これ以上は専門家でないと、わからないとのことだった。
全ての教師から、本当に学習は初めてなのかと驚かれた。
そして天才だと褒められた。
私はどうしてそこまで褒められるのか、いまいちわからなかった。
そのことは父にも報告が入ったらしい。
夕食の談話室で、すごいと褒められた。
母も兄たちも、すごいすごいと言ってくれた。
約一名を除いて。
昨日よりも更に不機嫌になっている。
父に、何か欲しいものがあるかと聞かれた。
魔物狩りに行きたいと伝えると,見回り組と一緒ならと言う条件で許可された。
良かった。
あまり戦闘から離れていると、感が鈍ってしまうから。
三人の兄たちは、これには驚きと不愉快さを露わにする。
「え!?なぜ、僕とテオ兄上がダメで、あいつは良いんですか!?」
「お前たちは『終末領域』に行けるほどの実力がない。ルーナはそれがある。だからだ。」
「今まで必死で訓練してきた僕らが、昨日来たばかりのあの女の方が、強いと!?」
「ああ。それどころか、この辺境の中で一番強いだろう。」
「「「え!?」」」
父が言うことが本当なら、私に勝てる人間はいないようだ。
少し残念。
強い人間と、戦ってみたかったのに。
「なんで…お前なんかがっ!!」
あんまり敵意を向けないでほしい。
間違って、武器を手に取りそうだ。
私は右手を左手で押さえつけた。
「納得できないのなら、三人ともルーナに連れて行って貰えばいいわ。ルーナ、どうかしら?」
「勝手に動かないなら、六層位までなら、問題ない。」
「じゃあ、そうしましょう、あなた。」
「わかった、許可しよう。ルーナ、行く時は三人を連れて行ってくれ。」
「わかった。」
父母が何を考えているのかわからないが、私に否やはない。
四日後、見回り組と三人を連れて、『終末領域』に行くことになった。
何層に行こうか。
守りながらは初めてだけど、動かないでいてくれたら、問題なく守れるだろう。
何層に行くかは、見回り組次第かな。
楽しみすぎて、眠れないかもしれない。
こんな気持ちになるのは、ここに来たからだ。
連れてきてくれたガイには感謝しないと。




