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お父様に、魔物の死体を捨てるなら欲しいと言ったが、保留にされた。
どうやら、魔物が利用できると知らなかったらしい。
お父様自身、辺境のために利用できるならしたいと言っていた。
お父様が必要なら、その分を貰う事はしない。
自分が取りに行けば良いだけだから。
それにあの討伐で、一人で『終末領域』に行く許可を貰った。
好きなときに、いつでも行って良いらしい。
ただ、行く時は一声かけるようにとだけ言われた。
それだけなら簡単だ。
また、解体と素材を使う場所を、兵舎の近くに用意してくれた。
これで自由に素材が使えると、とても嬉しかった。
交換条件として、素材の使い方を教えて欲しいと言うことだったけど、私は全然構わない。
だから素材を扱うときは、兵舎に声をかけるようにしている。
そしたら引退していた兵団のお爺さんたちが、素材の解体や調合なんかを見にくる。
もうすでに何回か実施していて、お爺さんたちが狂喜乱舞で喜んでいた。
画期的な発見なんだとか。
今はお爺さんたちも、解体や調合なんかに挑戦している。
私も時々呼ばれるので、その場で指導している。
兵士のみんなも、武器や防具が強くなって怪我が減ったと喜んでいた。
私も役に立てて良かったと思う。
ここに来てから、たくさんの感謝を貰った。
たくさんの感情に触れるようになった。
前の私も嫌いじゃなかったけど、今の私も嫌いじゃない。
これからも色々な変化が訪れるだろう。
それが、今は少し楽しみでもある。
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辺境伯城での生活が、日常となってきた今日この頃。
日課となった魔物狩りから帰ってきた時のこと。
「王族が来る?」
父の執務室に呼ばれて行った先で、父からそう言われた。
「ああ。辺境の確認に、定期的に来ることになっているのだが、今回はルーナを見に来るのだろう。」
「どうして、私を?」
「跡取りがいるのに、どうして引き取ったのか気になるのだろう。」
「そう。」
「まあ、普段通り過ごすといい。」
「わかった。」
王族が来るとしても、特に何かしないといけないと言うわけではないらしい。
普段通りでいいなら、まあ問題ないだろう。
私を見に来るらしいが、私には関係のないことだ。
私は父の部屋から退出した後、訓練場に向かった。
兄たちと領域に行ってから、フォル兄から度々、訓練をつけてほしいと言われるようになった。
何でも、私の姿を見てもっと強くなりたいと思ったのだとか。
私としても、手加減のいい訓練になるから、手合わせするようになった。
たまにテオ兄や兵士も参加することがある。
初めは私に対してよく思っていなかった人たちも、手合わせをする私を見て、態度が変わってきた。
今ではみんな、私に好意的で、たまにお菓子をくれたりもする。
「ここは実力主義で、強い人は尊ばれる土地だから。」
人々の変化、に疑問に思っていた私を見て、フォル兄がこっそり教えてくれた。
ただやっぱり、イライアスには相変わらず避けられているが。
前みたいに、敵意丸出しよりよっぽどいいので、放置している。




