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絶望という光に恋を捧げて  作者: 人生の放浪者
8/9

一緒にいれれば

8.


 少し遅れて彼が来た。笑顔で迎えたら自分が辛くなってしまうので、少し素っ気なく歩く。いつも手を繋いで歩いてた道が、とても長く感じて、気まずい雰囲気が流れていた。彼も少し、笑顔が少ない気がした。

何をそんなに彼の表情を気にしているのだろう、もう気にする必要なんてないのに。


 一緒にお昼を食べた。有名なバーガーチェーン店。私は食欲がなかったのでバーガーを食べなかったが、彼が私の大好きなバーガーを食べていて、心が苦しくなった。別れてから、好きなものが一緒って気づくのがこんなに心にくるなんて。


 食べ終わった後、ホテルの予約時間が1時間弱余っていたのでショッピングに付き合ってもらった。私が見たいものばかりだったのに何も言わずに着いてきてくれる。髪がいたんできたので私がシャンプーを見てると、髪を触ってくる。久しぶりにネイルをしたくてマニキュアを見ていると、手を握ってくる。肌が荒れてきたので保湿剤を見ていると、肌に触れてくる。そんなことされたら好きになってしまうので私は振り払った。そしたら君はデコピンをしてくるの。まだ好きな私をみてからかってるのかな。


 時間がたち、ホテルへ入った。荷物を置いた瞬間視界がベッドから天井へうつり変わった。バカでもわかる、押し倒されたのだろう。これから私は彼女から元カノではなく、そういう友達に変わるのだろう。涙は堪えた。彼が萎えないように。


 覚悟を決めているのに彼は押し倒したまま言葉を紡いでいく。復縁をしたいだなんて、先に捨てたのは君じゃないか。後輩ちゃんは恋愛感情の好きではなかった、寝落ち通話をしたら付き合ってた頃を思い出して寂しくなった。自分勝手なことをつらつらと噛まずによく言えたもんだ。もう無理だよって言ったあの言葉と顔、私は一生忘れることが出来ないのに、君はすぐ私を取り戻そうとする。あの冷徹だった目が、今はこんなにも涙を堪えて潤んでいる。ここで私が、もう終わりなんだよって答えたら、その堪えてた涙をながせてたのかな。

そんなことを思いながら、彼の期待に応えるように抱きしめて、身体を重ねた。


 1番虚しくて、1番心が満たされた1日だった。

彼と一緒にいれれば、何でも良かったの。

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