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絶望という光に恋を捧げて  作者: 人生の放浪者
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歴史は学べど人は愚か

皆さんにとって大切なものとはなんでしょうか。お金、友情、恋人、家族など様々なものが浮かんでくると思いますが、それは永遠なものなのでしょうか。いつかは失うものなのに、存在が当たり前だと思いながら生きていませんか。

人を好きになるというのはそれほど難しいことではない。それは恋愛だけでなく、友人間でも好感的な感情は少なからず抱くものである。でもなぜそれが男女間の友情だと成立しなくなるのか。成立してると思っているのは自分だけかもしれないのに。


2

少し長めの茶髪、白のパーカー、黒のパンツ、翡翠色の瞳。美しい顔立ちをした男の子のキャラデザが背景に映し出される。それだけでも十分魅力的なのだが、それ以上に配信者として1番必要とされる要素が私の耳に入り込む。


一言で表すなら癒し系。深く言うなら傷心しきった今の私を堕とすのには十分な声質であり、数多くの引き出しをもつ圧倒的なトーク力。罠にかかったような感覚に陥り、その声に引き込まれてしまった私は思わず指でスマホをなぞっていく。


初めまして、いい声ですね。なんてありきたりな言葉を送る。それを見た彼は少し慌てた様子で「ありがとう」と答えた。その様子を可愛らしいなと心の中で思いながら、イヤホンをつける。彼の声をもっとちゃんと聞きたい。

ゲームの話であったり、リスナーの相談であったり、身内ネタだったりと多種多様な話題を広げて配信は進んでいく。時々私もリスナーとしてコメントを送り、会話に参加する。名前を呼ばれ、コメントが読まれる度に胸が締め付けられ、快感を得た。


時間もだいぶ経ち、配信が終わりに差しかかる。無情にも音を鳴らす秒針が私に虚無感を与え、なんとも言えない気持ちが溢れそうになる。この人のことをもっと知りたいなって思った時にはSNSのリンクを全部踏み、フォローボタンが全て押されていた。それに気づいた彼が「フォローありがとう」と優しい声で言ってくれたのが今でも鮮明に覚えている。もっとこの人と関わりたい。


配信が終わると、私はすぐさまDM画面に移動する。「お疲れ様でした、とても楽しい時間だった」とこの昂った感情のまま続きを文字に流し込んでいく。どうしてこうも私は1つのことにすぐハマってしまうのか。学習って言葉を1度辞書で調べた方がいいのかもしれない。


これ以上大切なものを増やしても、また消えていくだけなのに

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