第4話 はぐれデントラーとの戦い
レフトゼロは、ガイゼギとアボゼギをギロリとにらみつけた。
ガイゼギとアボゼギ「す、すみません、レフトゼロさん」
アボゼギ「あの女、想像してたよりずっと素早くて、とても勝て……」
レフトゼロはふところからミニウェポンを取り出し、ボタンを押して空中へ放り投げた。レフトゼロの背丈ほどある槍だ。
レフトゼロ「貴様らと組んだオレが馬鹿だった。くたばれ‼︎」
ガイゼギ&アボゼギ「わぎゃああああああ‼︎」
ガイゼギとアボゼギのあばらを勢いよく刺した。槍を抜くと、2人はばたりと倒れた。
レフトゼロはミィテの方を見た。
レフトゼロ「女……貴様を八つ裂きにしてやる」
ミィテ「理由は? あたしの所持金とミニウェポンが欲しいの?」
レフトゼロ「理由などない」
ミィテ「気分を害した腹いせに、ってこと? ふーん、あんたも悪人ね」
レフトゼロはミィテに攻め寄った。ミィテは剣をかまえた。
レフトゼロ「くらえ‼︎」
槍と剣が激しくぶつかり合う音に驚いた野鳥たちは逃げ出した。
ドォーン‼︎
アスベルは大きな音がした方を見た。アスベルは木に登りミィテを探していた。
アスベル「あっちの方だ」
木から飛び降りて向かった。
ミィテは、レフトゼロの絶え間ない攻撃に圧倒されていた。
ミィテ「つよ…い……。あたしだって…上手のはずなのに……」
レフトゼロ「舐めてもらっちゃ困るぜ」
レフトゼロはミィテに槍の先を向けた。
レフトゼロ「さあ……終わりにしようか」
ミィテは苦い顔をしてレフトゼロをにらんだ。
その時!
アスベル「いたーっ‼︎」
ミィテ「アスベル!」
茂みから飛び出してきたアスベルに、ミィテは驚いた。レフトゼロはすかさず距離をとった。
アスベル「ミィテ‼︎ 無事で良かった」
ミィテ「どう見ても無事じゃないけど……ありがとう」
アスベルはミィテの手をひいた。
アスベル「俺、さっき出会ったデントラーのおっさんの仲間になったんだ。で、そのおっさんがデントレインでお前を山のふもとまで運んでくれるってよ。面白いだろ」
レフトゼロ「デントラー? デントレイン? …そうか」
レフトゼロの耳がピクリと動いた。
ミィテ「それは嬉しいけど…無理かも」
アスベル「遠慮すんなって。早く行こうぜ、かっこいいデントレインなんだ。案内する」
ミィテ「そうじゃないのよ。あいつ…レフトゼロからは逃げられない……」
アスベルはレフトゼロと目があった。
レフトゼロ「貴様、デントラーか」
アスベル「あ? 俺はキサマじゃねぇ。俺はアスベル。そう、竜剣のアスベル‼︎ 頂点に立つデントラーだ‼︎」
アスベルはニッと歯を見せて笑った。
レフトゼロ「ほーう、なかなかの自信だ。潰しがいがありそうだな。俺と戦え!」
アスベル「当たり前だ。どんなバトルも受けて立つぜ」
アスベルはこの戦いで、ドラゴニオンソードを完成させるつもりだ。2人は互いの武器をかまえてにらみ合った。
ミィテ「ちょっと待った。アスベル、あんたにアドバイスよ」
アスベル「なんだよ、あいつにボコボコに負けたくせに。まあ一応聞いてやるよ」
ミィテ「なんかムカつくわね…。いい? あんた、向こう水に走るような人間だから言うけど。あいつには当たって砕けろみたいな作戦は聞かないわ」
ガードをしつつ、攻撃する。そうすることで相手の攻撃のパターンを知り、隙をつくことができる。
アスベル「あっそ」
ミィテ「絶対わかってないでしょ! もう、知らないわよ⁉︎」
ヒューーッと音を立てて風が吹いた。
アスベル「よし、俺からだ。行くぞ!」
アスベルはレフトゼロ目がけて走った。
ミィテ「ああ、アスベルのバカ! あいつの攻撃を見ないで、ガードせずに突っ込むなんて」
ギギギギギギ‼︎
槍と剣がすれる。レフトゼロは槍を回転させ、シールドのようにしてアスベルの攻撃をはじいた!
レフトゼロ「はぁっ!」
ガシィィィン‼︎
レフトゼロは槍を力強く回し、アスベルを振り払った。
アスベル「どわあっ‼︎」
ズザザザッ‼︎ たんっ たんっ
アスベルは足を踏ん張り、なんとか体勢を整えた。
ミィテ「だから言ったでしょ! あいつは、真正面からの物理攻撃なんて効かない、鉄壁なの‼︎」
木の下でミィテが怒鳴る。
アスベル「うるせぇな」
アスベル(今すぐドラゴニオンソードを試しても、不発に終わるか……)
その時、ジギガンの言葉が頭をよぎった。